第155話 絶体絶“精”のピンチ

 どうしよう………。

 ボクの脳内にはアドレナリンがドバドバと溢れ出ていた。

 と、同時に全身の血流は激しさを増し、特に下腹部に重点的に集まってきていた。

 もちろん、すでに今日、千尋さんと5発もしたのだから、そんなに溢れ出すはずがない……と言いたかった。

 しかし、拘束されているボクの隣にいるのは、千尋さんのお母様……。つまり、聞いた話では、淫夢魔と吸血鬼の混血ということになる。

 だが、今は淫夢魔の血が暴走している様子で、ボクを見る視線は明らかに、危ない。

 自身の身の危険を感じて、身震いすると、


「んふふ♡ 優一くんって、おっぱいが好きよね」

「え…………?」

「いつもあんな微妙な形のものばかり吸っていたら、さぞかしや飽きが来てるんじゃないかしら」

「し、失礼ね! 私のおっぱいはお母様と違って感度がいいの!」

「ち、千尋!? 自分で言っていて、恥ずかしくないの!?」


 あ、麻友にツッコミを入れられている。

 まあ、確かに親の前で、自分のおっぱいの感度が最高なんですとか発言するのって、相当の恥ずかしさを感じるはずなんだけど……。

 ボクは少し赤面している千尋さんを見つめると、


「ボクもちぃちゃんのおっぱいは好きですよ。あ、あと、吸った時の感じ方とか声とか……」

「ゆ、優くん!? そ、そこまでは言わなくていいのよ!? 私でも恥ずかしいことは恥ずかしいんだから!!」


 ええっ!? そうだったの!? 恥ずかしさなんて感じていたんだね!(失礼)

 しかし、そんな彼女のツッコミの横で、千代さんは意地悪く微笑んでいる。


「そう。優一くんのここが元気になるためには、千尋ちゃんの喘ぎが必要なのね」

「うあ。言い方が最悪なんですけど?」

「———ならば、とーっても簡単だわ」


 そう言って、千代さんは指をパチンと鳴らす。

 と、同時に千代さんの背後から無数の触手がはい出し、千尋さんを拘束する。


「ちょ、ちょっと! お母様、何をするの!?」


 千尋さんは必死にもがくが、ぬるぬると粘着物質の付着した触手がすんなりと千尋さんを離してくれるはずもない。

 そのまま誘引されて、ボクの傍に連れてこられる。


「ゆ、優くん……」

「ち、ちぃちゃん……」

「あー、勝手に二人でイチャイチャし始めようとしないでね。今は私のターンなんだから」


 千代さんはそう言うと、一本の触手がスカートの裾から入り込む。


「………んふぅ♡」


 千尋さんの表情が苦悶に染まる。

 嗚咽とも似た喘ぎを発し続けながらも、少しずつ顔が朱に染まりつつある。


「い、いきなり深い…………」

「そういえば、さっきたっぷりとシてもらっていたんだっけ?」

「………な、何が……言いたい……のよ……」

「きっと千尋ちゃんの子宮にたっぷりと残っているんじゃないかって思ってね」

「——————!?」


 何を意図しているのか千尋さんも察したみたいだ。

 ボクも察して、千代さんを睨みつける。が、その瞬間に千代さんの目に射抜かれた。

 ドクンッ!!!

 と、心臓が跳ね上がる。

 ————ま、まずい!?

 思いっきり瞳を射抜かれた。「誘惑」をまとった瞳で………。

 おかげで、ボクの心臓は普段よりも高鳴り、同時に、脳内は理性よりも本能優先に動き始めようとする。

 刹那。

 千尋さんがボクのほうへ倒れ掛かるように触手が誘導してくる。

 ズンッ!!!

 と、いう衝撃が彼女に走ると同時に、彼女の漏らす声色が変わる。


「……お゛。お゛~~~~~~~~~~~~っ!?!?!?」


 耳元で彼女の声が脳髄に直接攻めてくる。

 ボクの血流はさらに加速してしまう。


「ほうら。じゃあ、優一くんの大好きなものよ」


 千代さんの甘い声に、ボクの理性はほぼ崩壊して、蕩ける表情のまま、目の前に出されたピンクの突起物に唇を近づけ、そのまま吸い付いた。


「ん~~~~~~~。やっぱり若いわね!」


 何という甘美な甘さ。

 口の中に広がる甘さは、さらに本能を焚き付け、赤子のように食らいついた。

 飲めば飲むほど、自分が自分でなくなっていく。

 そんな自分の耳元では、女の子の蕩けた声が響く。

 自分の中で、もう爆発しかけていた。

 ヤバイ……。すでに先走り始めている。


「本当にいい子ねぇ~。娘の声でここまで反り勃つなんて……。それにこの匂い。私の淫紋にまで影響を及ぼすなんて……」


 耳元で千代さんの囁きが聞こえる。

 ボクも普通ではいられない。

 このままでは吸われる……!

 と、ボクがかすかに残った意識の中でそう思った刹那。

 パリンッ!!!

 ガラスの割れるような音が響くと同時に、


「ちょ、ちょっと、な、何なの!? これは!!」


 千代さんの叫び声が聞こえる。


「何よ! これ! ちょっと!? そ、そんなところに……は、入ってこないの……んほぉぉぉぉぉぉっ!?!?」


 千代さんの喘ぐ声が響き渡ると同時に、ボクは拘束から解放される。

 そのまま床に叩き付けられ————

 ぽよよんっ!!!

 マシュマロのような柔らかい何かがボクを包みこむ。


「ナイスキャッチ! さすが美優ちゃん!」

「麻友ちゃん! あたしも役に立ったね!」


 どうやら、マシュマロは美優の爆乳だったようだ。

 そんなことより、千尋さんは無事だろうか……。千代さんに何が起こったのだろうか……。

 ボクはそう思いつつ、意識を失った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る