第146話 脳内を媚薬が駆け巡り、そして、最恐女が現れる。

 ゼヌニムはスルリスルリとボクの服を脱がせていく。

 ボクが着せられているのは病人専用服になっていて、ワンタッチでボタンなどが外せるためにこのような状態になっているようだ。

 ゼヌニムは容姿は幼女そのものだが、やはり淫夢魔だ、というべきなのだろうか。

 魔力を使っているのか知らないが、その体から想像もつかない力で押さえつけられているのがわかる。

 ボク自身、まったく身動きすらできないのだから……。

 逆らって期限でも損ねてしまえば、ボクの首ごと骨を折ることすらも可能なくらいの力だ。


「優一くんって、ココ弱いでしょ♡」


 と、蕩け堕ちそうな脳を必死に耐えているボクに対して、ゼヌニムは不気味な笑顔を振りまきながら、そう言うと、ボクの体に彼女は密着させてきた。

 クリュクリュリュ!!!


「ふあぁぁぁ……♡」


 いやいや、気持ちいいからってそんな声だすんじゃねー!

 ゼヌニムはボクの乳首に対して、自身のを擦り付け、甘い吐息をボクの耳元で漏らす。

 ボクは思わずゾクリと体が震えあがる。

 こ、この感覚は一体何の震えなんだ!?

 恐怖? それとも快感?


「アハハ……違うよ? 恐怖でも快感でも何でもないよ? 優一くんが感じているんだよ……。そして、幸福を味わっているの?」

「こ、幸福だって?」

「そうだよ~? 優一くん、乳首弱いでしょ?」

「————!? そんなの今まで思ったこともない!」

「だろうねぇ~。でもね、こうやって、私のと擦り合わせると……」

「……んんっ!?!?」

「ホラ、気持ちよさそうだよねぇ~」

「実は優一くんの隠れ性感帯なんだろうねぇ~」

「そんなの発掘してもらわなくていい!」

「あれ? 今まで彼女にもしてもらえてないの?」

「——————!?」

「やったぁ~」


 さらにいやらしい笑みを浮かべるゼヌニム。

 ボクは何やら不穏な空気に恐ろしくなってしまう。


「あの女を出し抜いてやったのね?」


 何やら千尋さんに勝ったかのような誇らしげな顔をしている。

 いったい、どういう関係なのだろうか……。


「さあ、あたしの体全身を使ったマッサージをしてあげる~」


 一見すれば、犯罪臭が漂う光景だろう。

 高校生のボクに小学生のような幼女が裸で抱き着き、体を擦り付けているのだから……。

 しかし、ゼヌニムの唾液による媚薬効果は確実に脳内にいきわたり、自身の判断はおぼつかなくなってきている。

 それだけではない。

 ボクの体が全身性感帯になりつつあろうとしている最中に、ゼヌニムの凝り固まったピンクな突起物でボクのものと相撲を取るようにクニュクニュと絡めているのだ。

 我慢をしつつも声が漏れずにはいられない。

 それに、だ————。


「あたし知ってるんだぁ~♡ 君、声フェチでもあるでしょ~♡」

「—————!?」


 ボクが全身をくねらせて何とか、ゼヌニムの声を耳元で聞かないようにしようと必死になるが、それをすればするほど、ゼヌニムとの乳首相撲が展開され、ゼヌニムは淫靡な声を漏らす。


「—————————!!!」


 ボクはその声に脳内が蕩け堕ちそうになる。

 だ、ダメだ……。全身が抗えないことを理解して、この快感を受け入れようとしている。

 体は小刻みに痙攣をし始めているし、ロングソードは今にも暴発しそうだ。

 こ、これで最後までヤらせてもらえないのは、マジで地獄だ……ってボクは何を考えているんだ!?


「んふふ~♡ そろそろ、こっちも限界かなぁ~?」


 そう言うと、ボクのロングソードを服の上からツツーッと指で下から上へなぞりあげる。

 それだけでもゾクゾクと快感が押し寄せてくる。

 もしも、家でされていたら、「んほぉ~!」と声を出していたところだろう。


「おや? まだ、耐えられるというのぉ~? もうちょっとクソ雑魚っぽくてもよかったのになぁ……。どうしてそこまで耐えられるのかしら~」

「そりゃ、ボクにも理性がありますからね……」

「おかしいなぁ~。もう十分に脳内にまで媚薬が行き渡っているのになぁ~。どうして堕ちないのかなぁ~」


 ボクは敢えて何も答えないでいる。

 脳内ではグルグルと目が回りそうなくらい媚薬が駆け巡り、すべての神経が性感帯になりつつあることも気づいている。

 が、このままでいいわけがない……!

 だって————、


「優くん? これってどういう状況かしら?」


 そう。こうやって恐ろしい声が脳内に響き渡ってくるのだから……。

 ボクの彼女はヤンデレだ。だから、怒らせたら怖い。


「あら? 無視するの? いい度胸しているわね?」


 ああ、もう間近で千尋さんの憤怒が聞こえてきちゃったよ……。ボクの脳細胞もついにおかしくなり始めちゃったかな……。

 千尋さんの怖さを分かっているからこそ、幻聴が見え始めてしまったのかもしれない。


「ちょ、ちょっと~、アンタがどうしてこんなところにいるのよ~!?」


 ゼヌニムの恐怖にまみれた声が聞こえる。

 ん? 恐怖? どうして、ゼヌニムが恐怖を覚える必要があるのだろうか……。

 ボクは朧げな意識のもと、目の前のゼヌニムを見ると、ボクの後ろの方を何かに怯えるように見つめているのがわかる。

 何やらすでに余裕すらないような感じで。


「あら? アンタ、ゼヌニムじゃないの。懐かしいわね」


 あれ? 何だか、千尋さんの会話すら幻聴で聞こえるようになってきちゃったんだけど……。

 と、思った瞬間!

 ゼヌニムはボクから素早く離れ、その恐怖のものに対して、対峙する。


「あら~? 私とやり合おうっていうの?」

「………ま、負けないわよ………」


 ボクはゼヌニムが敵視しているものを見るべく、そっと後ろを振り返る。

 と、そこには——————。


「優くん? あとでた~っぷりとお話を聞きたいと思うから、すこ~し、勃たせたままで待っていてね?」


 超絶笑顔(でも、何だか闇が見えるんですけど!?)の千尋さんがそこにはいた。

 ボクは「ひぇっ!?」と小さく声を上げてしまう。

 しかも、勃たせたままとか無理なんですけど!?

 そのヤンデレ前回な表情を見せつけられて、ボクの股間が元気なままでいられるはずがないんだけどぉ~~~~~~~~!!

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