第145話 第二の悪魔にハメられる!

 さすがにすぐに自由の身になれるとはボクも思ってはいなかった……。

 それもそのはずだ。

 だって、ボクは何の変装もしているわけではない。

 ということは、闘争がバレて手配書が一括送信されれば、ボクは周囲の人から見れば、逃走犯であることはすぐにバレてしまうのだから。

 とはいえ、もう少し時間を稼ぎたかった……。

 まさか自分から罠にはまってしまうなんて思ってもいなかたが……。


「ねえねえ、あたし、ゼヌニムっていうの~。優一くんは~、今の気分はどうかな?」

「……………」


 ロリッ娘とはこういうものをいうのだろうか……。

 いや、もしかすると最近一部の人たちに人気だというksgkなのだろうか……。

 身長は140センチくらいで金髪がストパーでも当てたかのようにサラッサラ。

 微笑み方は何とも意地悪な感じではあるものの、容姿はまだまだ小学生かと思えるような感じだった。


「優一くんってナアムのを退けたんでしょ~?」

「……え!? あ、ああ……」


 果たしてあれはちゃんと退けたと言っていいのだろうか……。

 そもそも勝利ととらえていいのだろうか?

 ボクにとっては、あれは、明らかに敗北に近いような気がしてならない。

 その……まさかのボクのロングソードが勃っていたのだし……。

 もう少し長引けば明らかにボクは堕とされていただろう……。

 途中であの怖い表情が自分に向かって、掛けてこなければ、間違いなく負けていただろう……。

 ありがとう……千尋さん……。


「でも、おかしいよねぇ~。だって、優一くんっておっぱい大好きでしょ? 大体、君があの吸血鬼に対して愛撫しているのもかなり長いしさ~」

「ちょ、ちょっと待って!? 何で知ってるの!?」

「そりゃ、見ていたからに決まっているじゃない?」

「そ、その……行為を?」

「いえ~す! もう、彼女のピンク色のちょっぽりをちゅぱちゅぱと何度も何度も執拗に吸い付いたり、なめたり、甘噛みしたりって————」

「どぅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?!? そ、それ以上は言わなくていいよ!?」

「そう? まあ、とにかく、あの吸血鬼の始祖がまさかあのような愛撫でメスになるとは思いもしなかった……」


 ふふんと鼻息を荒くしつつ、思い出して興奮でもしてしまっているのだろうか……。

 それよりも、あの情事を見られていたということにボクは凹んでしまいそうである。

 まあ、間違いなく、今の発言を千尋さんが聞いたら、憤怒で自身を制御できなくなったまま、このゼヌニムに攻撃を仕掛けていたことだろう。

 自分の恋路を邪魔する奴に対しては絶対的な冷徹さを持ち合わせているからなぁ……ボクの彼女は……。

 て、こんなことを考えていたってこともバレたら、ボクの命……いや、精気が尽き果ててしまう。


「ちなみに、実はあたしも~、さきっちょには自信があるの♡」

「ふあっ!?」


 ボクはもう一度、発言を聞きたくなってしまいそうになった。

 そりゃそうだろう。

 目の前には、幼女(中身はそうではないのだろうけれど……)がブラウスを脱ぎ、下着すらも脱ぎ捨てている状態が展開されているのだから!

 て、ボクは幼女趣味はな~~~~~~~~い!!!


「ちょ、ちょっと待って!? ボクは君みたいな————」

「幼女は襲わない……とでも?」

「え? うん! そ、そうだよ!」

「本当に?」

「—————!?」


 ボクは呆気にとられる。

 だって、さっきまではボクと彼女の間には2~3mほどの距離があったはずだ。

 それが一瞬のうちに、ボクの目の前に彼女の顔が近づいてきて、そのまま、ボクの唇を奪っていったのだ。

 ぬちゅ……ちゅぱ……れろれろ……

 ゼヌニムは容姿に似合わないキスをし始める。

 舌を絡め、そして、そのまま唾液交換までし始める始末だ。

 ボクは彼女を引き離そうとする。が、彼女はいつの間にか、腕をボクの首に回して、そのまま抱き着き、引きはがせないようにしていた。

 とはいえ、この程度のキスならボクだってこれまでも彼女としたことがあるから————。

 そこでボクは気づいた。

 ぼ、ボクのロングソードが、俄然やる気になっているということに————。


「いやん♡ あたしのお腹に何だか、硬いものが当たってるぅ~♡」


 ゼヌニムはわざとらしく、そう言い放つと、そのまま再び唇を重ねる。

 ボクはこのキスをただのキスと思っていた……。

 それが間違いであることを今気づかされた。

 彼女も淫夢魔の一人なのだ!

 となれば、彼女の体液は男にとっては媚薬になってしまう。

 特にそれが唾液や愛液ともなれば、精神汚染レベルの媚薬となってしまう。

 以前、ボクが小さいころから麻友が精液搾取をしていたという話をしていたときに、どうしてそんな幼いころからそれが可能だったのか聞いたことがある。

 すると、彼女は自分の唾液が媚薬になるから、それでボクのをハムハム、ジュボジュボすると媚薬で刺激されて、すっごいのになるらしい。で、それを続けることで、きちんと搾取に成功するらしいのだ。

 それをすっかりと忘れていたのが、自分にとっては敗因に近いものだ。


「それだけじゃないよ?」

「———————!?」

「あたし~、優一くんの弱点見つけちゃったんだぁ~」


 ゼヌニムは首に絡めた腕をほどくこともなく、ボクの目と鼻の先で意地悪く微笑んだのであった。

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