第134話 修業は苛烈を極めて、エロくなる(ぇ

 熱いっ!!!

 全身が煮えたぎるように熱い。

 これは血が沸騰しているのかとすら勘違いをしてしまいそうになる。

 魔力がグルグルと全身を駆け巡っている。

 たったそれだけ、と言われれば、それだけの話かもしれない。

 しかし、私の体には多くの魔力量がある。それを解放しようにもヌメヌメのスライムが妨害して、発散すらできないでいる。

 発散されない魔力は再び自分の体の中を駆け巡り、抑えようにも抑えが利かなくなる。

 それにスライムの動きがおかしい。

 熱を帯びてきてからというもの、体に張り付くように、そして吸い付くように蠢いている気がする。


「お、お父様!? こ、これはどういうことなんでしょうか?」


 私は精神を何とか保ちながら、お父様に問いかける。

 お父様は自分の娘の姿を見つつ、少し顔を赤らめている。

 はて? 一体、何がどうしたというのか……。


「千尋ちゃん……エロ過ぎ……」

「————————!?」


 今はそんなこと言ってる場合じゃない! と、一発叫んで魔力の弾を打ち込みたかったが、スライムが邪魔をして、それを許してくれない。

 それどころか、私の怒りが込みあがったことで、魔力が増幅され、さらに体が熱くなる。

 するとスライムはさらに体に吸い付いてくる。


「はぅあっ♡」


 私はついに喘ぎ声を出してしまう。

 ああ……お父様の前で何たる醜態なの……?

 いっそ、殺してほしいとすら思ってしまう。


「ち、千尋ちゃん……すでにエッチな体になっていて、驚いちゃったけど、あなたの体は優一くんのものだから、お父さんはまかり間違っても過ちは犯さないわ」


 ぜひともそうして欲しい。

 こんなところで、お父様に近親相姦のされるなんてまっぴらごめんなのだから……。


「……おっ!? お父様、これを抑えるには……、んふっ♡ どうしたら、いいのですか……?」


 さっきから、何度かスライムが気持ちのいいところに吸い付いて、体が小刻みに痙攣してしまっている。私は涙目になりつつも、なんとか、お父様にアドバイスを頂戴する。


「やることは一つよ。魔力を抑え続けるってこと」

「おほっ!? 抑え続ける?」


 今、間違いなくスライムが体内に入りかけたんだけど!?

 スポーツウェアの隙間なんてほとんどないのに……このエロスライムは……!


「そう。そのスライムは千尋ちゃんの魔力に反応して、どんどん過激になっていくの」


 最悪か? 何てモノを娘の体に塗りたくったんだ……。

 お父様の言うように魔力を抑えようと必死に体内の奥底に魔力を押し込むイメージをする。

 うん。体内の熱が徐々に穏やかになってきている。

 目を閉じて瞑想をするように、心を落ち着かせていくと、魔力も次第に収まってくる。

 うん。これなら何とかなりそうかも……。

 そう思った瞬間に、スポーツウェアの胸元にスライムが吸い付いてくる。

 運悪く、スポーツウェアと肌の隙間に入ったみたいで、ヌルヌルとした感触を直に感じてしまう。

 さらにそのスライムが胸の先っちょから滴り落ちる母乳に気づいたらしい。

 私の母乳って私の体内で生成されるから、魔力が少し帯びているのかもしれない。

 スライムは消えてなくなろうとしていた魔力を見つけたことで嬉々として吸い付く。

 び、敏感になってるのに————!?


「んふっ!? あぁんっ♡」


 体を痙攣させてしまう。

 あ、これイっちゃってるぅ~~~~!!

 さっきまでの集中力が一気に消え去り、下半身に起きている変化にもスライムは気づいたのか、私の敏感になっているところに集中的に襲い掛かってくる。


「……も、もう、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 ビクン、ビクンッ!!!


「おふっ!? おほぉ……♡」


 私ははしたなくも体を仰け反らせながら、痙攣してしまう。

 ああ、意識が遠のいてしまう……。

 ダメ……。スライム、気持ちよすぎ……。

 あれ? 私、何のために、こんなことしてるんだっけ……?

 脳裏に助けを求める声が聞こえてくる……。

 えっと、誰—————?


 ———ちぃちゃん……!


 聞いたことのある声………。


 ———ちぃちゃん! 助けて!


 ぼんやりと見える姿に懐かしさを覚える……。


「あれは……優……くん?」


 その瞬間に、私の意識はハッと覚醒した。

 そうだ。今、魔力を練っているんだ。その訓練中にこんな状態になるなんて……。

 助けるために、頑張ろうとしてるのに———!

 集中力を高めないと!

 魔力を体の奥底に収束させるように集中する。

 感覚が研ぎ澄まされてしまった先程とは異なり、体の感覚がそれほど感じることすらない。

 自身の体がまるで、全く波打ってすらいない水面みなものように落ち着きを取り戻す。

 そうだ。この感覚か………。

 何かを掴んだような気がする。

 私はそっと瞳を開ける。

 もう、さっきまでのような体に与えられていた快感はない。


「へぇ……凄いわね。さすが千尋ちゃんってところかしら」

「褒めても何もないですよ。それにお父様の前ではしたない姿を見せてしまったのですから、今すぐお父様の記憶を消したいくらいです」

「さらっと怖いことを言わないの……。まあ、千尋ちゃんの絶頂ってお母さんに似てるから、私もちょっと吃驚しちゃったわ」

「お父様? 娘のエロい姿をじっくりと観察するのは止めてくださいね……」

「ストップ! 千尋ちゃん? 魔力を使えないからって、物理的にやろうとするのはやめなさい!」

「まあ、いいです。とにかく、これで終わりですよね?」

「あれ? 言ってなかったっけ? これを付けたまま、3日間生活してもらうわよ?」

「えぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?!?」


 こ、このエロスライムと一緒に3日間も一緒に過ごすですって!?

 ちょっとでも、魔力を刺激するとかしたら、さっきと同じことが起こるの!?


「そ、それはちょっとやばくない? 私、学校があるんだけれど……」

「まあ、何もなければ問題ないはずよ!」

「その笑顔は絶対に何かあるってことじゃない!?」


 私は果たして学校で3日間、清楚可憐な錦田千尋を維持することができるのかしら!?

 不安でならない3日間が始まってしまった。

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