第126話 ひとつひとつがエロい彼女。
昼休みは彼女にとっても一休みできるようだ。
屋上の人から見えにくい出入口の反対側にボクらは腰を下ろして昼食を堪能している。
今日はボクが弁当を用意したので、ややボリューム感がある。
「今日のお弁当も美味しいです!」
「本当? 気に入ってもらえてよかったよ」
「それにしても少しボリュームが多くないですか? まあ、美味しいので全部食べれちゃうんですけど」
「あはは……。いや、子どもにミルクを上げるとなると、栄養が必要なんじゃないかなって思ってね」
「まあ、それはそうなんですけどね……」
「やっぱり体質が変わっちゃうのかな……?」
「よくわかりません。そもそも私自身が妊娠したわけじゃないので、その辺での体調の変化というものは実感できていませんね……。まあ、母乳が出るようになった分、若干、体調の変化は感じてはいますけれど」
「やっぱりそうなの?」
ボクが問うと、彼女はお弁当を平らげて、お茶を飲み干し、一息ついてから、
「ところで、朝の話なんですけど————」
「赤ん坊の話?」
「はい」
「確か時空の歪みとか言ってなかったっけ?」
「そうです。私たちの間に歪みが発生したと私の中では推測しています」
「どうしてそんなことに……」
「きっとあの巫女の呪いなのではないか、と」
「てことは、アイツらは呪いを二つも用意した、と?」
「そう考えています。愛し合わないといけない。でも、愛し合うと二つ目の呪いが自動的に発動する、みたいな感じで」
「本当に嫌がらせだな……」
「ええ、まあ、私も手が込んだ嫌がらせだと感じてます」
「じゃあ、ジュニアは……」
「もしかすると、私たちの将来の赤ちゃんという可能性もあるかな……って」
あ、そこは真顔じゃなくて、少し照れちゃうんだ……。
まあ、確かにボクらはまだ結婚はしてないし、学生ということで付き合っているという形だけど、将来的にボクは彼女と結婚したい、一生一緒にいたいと誓ってるんだよね。
だから、おのずと子どもだってできることを意味している。
そうなると、あの赤ちゃんが時空の歪みの関係で未来からやってきたと考えても、違和感はない。
いや、むしろそうでないと、あのボクら二人に似た赤ちゃんはいったい誰の子どもなんだよ! と焦ってしまう。
「しょ、将来的には、あんな可愛い赤ちゃんが私たちの間に生まれたら嬉しいんですけどね!」
千尋さんの反応を見ていると、赤ちゃんが欲しいということは隠さないけれど、何だか恥ずかしいという気持ちが溢れていて、可愛らしく思えてしまう。
「と、とにかく。あの赤ちゃんが未来から来たというのであれば、時空の歪みを利用して元の場所に返してあげないと、未来の私が戸惑っているんじゃないかなって」
「それはそうだよね。だから、その方法が見つかるまでは、赤ちゃんの母親代理としてしっかりと育ててあげようって思うんです」
そう言うと、彼女は残っていたお弁当を残さず食べきった。
「ご馳走様でした。まあ、この場で言うのもあれなんですけど、最近、しっかりと食べているからかもしれないんですけれど、お胸が張ってしまって……」
ゴクリ………。
まさか、こんな清楚可憐な美少女からそんな言葉を聞くことになるとは思ってもいなかった。
思わず視線が千尋さんの胸に行ってしまう。
いや、エッチな意味じゃなくて、興味という意味でとらえてほしい。
決してやましい気持ちは………ないはずだ。
この歳で母乳プレイとかしてはいけない!(いや、さすがにひかれるだろ!)
「あ、あんまり見ないでください……。普段より少し胸が大きくなっていると私も思うんですよね……」
だからか!
クラスメイトからやたら、千尋さんからエロスを感じると言っていたのは、そういうことか……。
少し胸が大きくなったことと、体調の変化が微妙な仕草に現れていたのだろう。
だから、人妻の艶やかさのようなものが、周囲に伝わっていたのかもしれない。
「ま、まあ、そう言われたら、クラスメイトが少しざわついていた感じがあったけれどね」
「やっぱり!? そうですよね? 私も少しばかりは感じていたんです」
「普段から様々な視線を感じてはいたので、それには慣れていたんですけれど、今日の視線は何だか少し違ったので……」
「まあ、ボクが言うのもあれだけど、今日のちぃちゃんは何だかエロスを感じるというか……」
「え、エロス!?」
「しっ! しぃ~~~~~~~っ! 声が大きいよ」
「そりゃそうじゃないですか……。今までは優くんからも、『エッチだね』って言われたことはありますけれど、エロスなんて……。人妻の魅力がムンムンってことですか?」
「え!? あ……うん……」
ボクは曖昧な返事をする
心の中では、激しく頷いていた。
「その曖昧な返事は何なんですか?」
「え? あの……正直言うと、普段のちぃちゃんも可愛くてすごく好きなんだけど、こういう大人な魅力もあるんだなって……。実は最近、かなり悶々とした気持ちが………」
ああ、ボクは本当に性欲おバカなのかもしれない。
見れば見るほど、千尋さんが愛おしくなてしまう。
そのうっすらと濡れた唇が艶めかしく感じる。
ボクの胸の鼓動が大きくなり始める。
大きすぎて、千尋さんに聞こえてしまっているのではないかと、感じてしまうくらいに……。
そんな彼女が何か言いにくそうにボクの耳元に口元を近づける。
「ど、どうかしたの?」
「あ、あの……言いづらいんですけど、今も胸の張りがきつくて……」
彼女は自身の張ったことにより少し大きくなった胸を服の上から持ち上げる。
いつも以上にボリューム感のあるその胸は、エロスを感じないわけがない。
「今日はお胸に母乳漏れ防止用のパッドもつけてるんですけど……」
と、彼女は恥ずかしげもなくボクに見せてくる。
ちょ、ちょっと!? ここは学校ですよ!?
ちらりと見えるお胸はいつものそれとは違う柔らかさに驚いてしまう。
「ち、ちぃちゃん!? ちょっとエッチすぎるよ!?」
柔乳とブラジャーの隙間には、彼女の言うパッドが見える。
ボクは顔を真っ赤にして、明後日の方向に視線を向ける。
「もう! どうして今はそんなに照れるの?」
「そりゃ照れるだろう! い、いきなり胸を見せつけられると思ってなかったし……」
「あはは……そうだよね。まあ、お乳が張っていることは間違いないから、少しトイレで搾乳してから教室に戻ることにするね」
「さ、搾乳!?」
「ほらほら、いちいち驚かないの」
いやいや、普通に彼女の冷静さには驚くしかないだろう?
ボクは彼女のさっきの言葉を言い間違いかと思ったくらいだ。
「よいしょっと」
そそくさと服の中に胸をしまい込むと、何事もなかったように弁当の包みをもって彼女はたちあがる。
「じゃあ、またあとでね」
そういった時に校門あたりがざわついているのに、ボクらは気づく。
「ね、ねえ、あれって美優ちゃんじゃない?」
「あれっ……。本当だね……」
「どうかしたのかしら……」
「ちょっと行ってみようか」
ボクの提案に彼女はこくりと頷き、そのまま昇降口へとボクらは駈けていった。
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