第122話 最愛の二人は、ノーマルではなかった。

「あー、さすがに見るのは止めといたほうがいいと思うよ……」


 麻友ちゃんが何やら頬をポリポリと掻きながら、呟く。

 あたしはそんなことお構いなしだ。

 まあ、別の意味で言うと怖いものなしなのかもしれない。


「でも、あの二人が一緒に同じ部屋に行っちゃうとか絶対に何かあるに決まってるじゃないですか!」

「いや、あるだろうけれど……。さすがには邪魔しないように心がけてるからさぁ……、いくらあたしでも」


 どういうことだ?

 麻友ちゃんは何だか意味深なことを言ってくる。果たして、何が行われているというのか……。


「あー、本当に見ない方がいいよ? ドン引きしちゃうよ?」

「ドン引きって何ですか!?」

「いやぁ、そのままの意味なんだけどなぁ……」

「だって、考えてみてくださいよ。あの二人は、まだ幼児体形なんですよ?」

「まあ、そうだけれど、ちょうど小学生の高学年くらいの体形していたよ? だから、優一も精通したわけだし……」


 そう言って、麻友ちゃんはペロリと舌なめずりをする。

 確かにそうだった。さっき、あたしのお胸に挟まれたお兄ちゃんは、おっぱい星人と化して、理性よりも性欲が上回ったのだ。

 まあ、小学生の男の子ってたいてい、エッチなことはおっぱいから興味を持ち始めるんだよね。(美優ちゃん調べ)

 だから、おっぱいの弾力を刷り込んだら行けるかと思ったら、ガチでイケた。

 もう驚くくらい元気になっていた。まあ、サイズは小さかったけど……。

 それを麻友ちゃんは、弄んでお兄ちゃんの一番搾りを堪能したのがついさっきの話だ。

 それを見ていた千尋お姉さまがひどく落ち込んでしまい、それを気遣ったお兄ちゃんと今、二人の寝室にこもったのだけれど、さすがに普段のようにいきなりがっついている訳あるまいし……。

 あたしはそう思いながら、スライド式のドアをそっと音もなく開ける。

 ちょうど、部屋の真ん中にあるダブルのベッドに腰を下ろして、お兄ちゃんが千尋お姉さまを励ましているような感じだ。


「ほら、何もないじゃないですかぁ……」

「いや、まあ、今は優一が優しいから、って感じなんだけどね……」

「このまま、キスをして解決って感じでしょう」

「いや、絶対にそうはならないと思う……」


 どうして麻友ちゃんはゲンナリとした表情でこんなことを言って来るのだろうか。

 励ましているいい感じじゃないか。


「おおっ!? お兄ちゃんに千尋お姉さまが寄りかかって甘えてる! めっちゃ可愛い! 尊い!」

「いや、なんかおかしくなってきてない? 美優ちゃん……」

「あ、ごめんなさい。ちょっと推しを応援する視点になってました……」

「何それ……」

「まあ、いいじゃないですか! おおっ!? ついにキスしますよ! ほら、やっぱり普通じゃない……です………か……?」


 あたしは思わず言葉が途切れかけてしまう。

 そりゃそうだ。

 だって、お兄ちゃんが千尋お姉さまを押し倒したのだ。

 それだけではない。

 いきなりセーターをまくり上げて、肌着までめくりあげたのだ。

 そこにあるのは千尋お姉さまの絹のような白い肌————!

 やはりお胸は小学生サイズと言ったところかな……。激しくナーフされていて、まな板もいいところだ。

 しかし、お兄ちゃんはそのまま—————。


「キスの場所が違う!?」

「だから言ったでしょ……。あの二人は根っからの変態よ……。それにお互いを知り尽くしてしまってるんだから、ああもなるでしょうね……」


 ちょっと!? 麻友ちゃん!

 どうして、そんなに悟った表情で語ってるの!?


「んふっ♡ あんっ♡」


 少し考え事をしていたのを引き戻したのは、千尋お姉さまの喘ぎ声だった。

 なんてエロいの……。

 身なりは小学生なのに、こんなにエロい声を出すなんて、十分に犯罪だわ!

 しかも、それをお兄ちゃんの攻めで出しちゃうなんて……。やってるお兄ちゃんも十分にエロい。

 ついにあたしは目が離せなくなってしまった。

 ゴクリ…………。


「何か固いものが当たってる……」

「本当だ……」


 ま、まさか、お兄ちゃん!? さっき、あれだけの量を麻友ちゃんに吐き出したというのに、もうお元気になっているの!?

 どんな精力してるのよ! 体内でマカでも生成しているの!?

 それにお兄ちゃんはさっき、麻友ちゃんに吸い取られて以降、服を着ていないせいか、下半身が丸出しだ。


「うわ。おっきぃ……」


 あたしの耳元で麻友ちゃんの呟きが聞こえる。

 そ、そうね。確かにあたしのお胸で元気になったけど、比じゃない。

 小学生であんなに大きくなるの!?


「美優ちゃん、言っとくけど、優一はね、確かにおっぱい大好き人間だよ。もう、変態って言っていいくらいにね。でもね、それ以上に千尋のことが好きなの。千尋の喘ぎ声だけであれだけのモノにしてみせるっていうのは、本当に愛し合ってる者同士って感じなのよね」

「で、でも……」

「ま、あたしも優一のことは諦められないから、こうやって『契約』を結んでいるんだけどね」

「何だか悔しいですけど、あれにはさすがに勝てませんね……」


 あたしは何だかしんみりとしてしまう。

 が、そのあとの光景にあたしと麻友ちゃんは釘づけにされてしまう。

 もちろん、お兄ちゃんが千尋お姉さまとひとつになったのだ。

 千尋お姉さまは、すっごく幸せそうな表情で受け止めていた。

 と、思った刹那。

 お兄ちゃんが小学生とは思えない腰の動きを見せつけてきたのである。

 小学生の姿をした変態二人組の激しい愛し合い方に、あたしと麻友ちゃんは茫然としてしまう。


「……こ、壊れりゅぅ~~~~~~~~~~~~っ♡」


 千尋お姉さまは顔を紅潮させて、瞳を蕩けさせて、叫ぶ。

 お兄ちゃんはそれでもとめどなく叩きつけた。注ぎ込んだ。

 それから1時間ほどしてようやく二人の愛の語らいは終わりを迎え、


「……しゅ……しゅきぃ………♡」


 と、メス堕ちした千尋お姉さまがお兄ちゃんを抱きしめながら舌を絡めたエロいキスをしていた。


「ほらね? 普通じゃないって言ったでしょ?」

「こ、これは創作意欲が湧くんですけど!?」


 あたしは何か違うものに目覚めてしまいそうになっていた。

 これを二次元かさせれば、東京ビッ●サイトでも売れるのではないだろうか!?

 その光景を目に焼き付けるだけ焼き付けて、合掌するのであった。


「ああ、尊いなぁ……」

「ねえ、本当にキャラ大丈夫?」


 麻友ちゃんの心配する声を余所に、あたしは先ほどの光景に興奮が収まりそうになかった。

 いや、だって小学生のイチャラブ○ックスとか……。その手の趣味に目覚めてしまうじゃない……!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る