第120話 ボクはやはり抗えないのか……。
「で、この状況をどうするっていうのよ?」
麻友が頭を抱えながら、ボクらに対して悪態をついた。
まあ、理解できなくもない。
元旦早々、初詣で、何やら怪しい巫女に襲われて、それを千尋さんが軽くひねってやったかと思えば、突如のボクらに対する呪いを掛けるという所業に打って出たのだから。
それをウチの家に新年の挨拶ということで、麻友は実家のパーティーが終わってきてくれたのだが、出迎えたのが小学生の体格になったボクだったというわけだ。
「まあ、最初はさすがに目が点になったけど、今はもう慣れた……というよりも自身で納得させたから大丈夫よ。でも、この呪いって一体何なのかしら……」
「確か麻友って呪いが好きなんだったわよね?」
千尋さんがコーヒーを啜りながら、麻友に対して話をふる。
麻友は出された紅茶を一啜りすると、
「そうね。呪いと呼ばれるものは大好きよ。でも、これは初めての症例かも」
麻友はそっとボクに近づいてくる。
「ゆ、優くんには手を出さないでよ? 色々なことを試したいなら、私でしなさいよ」
「あら? どうして焦ってるの?」
「ま、麻友ちゃん……それは仕方ないんだよ。ホラ、ナーフされてるから……」
と、言って、美優はご自慢のお胸を撫でる。
「あ~」
「『あ~』じゃない! 今はこんな体形になっているけれど、もともとはそこそこのサイズあるし!」
「まあ、今は完全に貧乳よね……。おっぱい好きな彼氏としてはどうなの?」
「えっ!? ボクに振るの!?」
「そりゃ、ここにおっぱい星人と言えば、優一しかいないじゃない?」
「ま、まあ、そうだけど……」
「て、バカなこと言ってないで、本当にこの呪いをどうやって解くのか考えないと……」
千尋さんはごもっともなことを言うが、少し必死なところから言うと、やはり胸のことを気にしているのだろう。
「で? 愛を証明するんだっけ?」
「そう。異種族だから、そもそも愛がなくて、単に喰う喰われるの関係だと思われてるみたい」
「まあ、最初はそうだったんでしょ?」
「ち、違うわよ……。失礼ね」
「じゃあ、最初から付き合おうと思っていたの?」
「うーん。最初出会ったときはそんな感じじゃなかったかな……。でも、見てる間にだんだん好きになってきちゃって」
「千尋お姉さま? これって惚気を始めるんですか? あたし、そういうの聞きたくないんですけど」
「も、もう! 聞いておいて何でそんなこと言うのよ!」
「いや、聞いたのは麻友ちゃんだから……」
サラッとツッコミを入れる美優。
そんな美優はボクの方に近づいてきて、ソファでボクを抱きしめる。
し、身長的にちょうどお胸が頭の部分にぃ~~~~~~~~っ!?
ぬおっ!? 沈み込む!!
「ちょ、ちょっと! 美優ちゃん! そ、それは—————!?」
もろに焦りだす千尋さん。
そりゃ、そうだろうなぁ……。だって、ボクは類いまれなるおっぱい星人なのだから。
「まあ、いいじゃないですか。こういう感覚を早い段階から刷り込んでおくことも大事」
「何で母親気分なのよ!」
「お兄ちゃんもこのままでいいよね?」
「うん。」
あ、やべぇ……つい本音で言ってしまった。
ボクは視線を千尋さんに向けると、何かドス黒いオーラのようなものが体からユラユラと湧き出ているような気がする。
「あとで覚えてなさい……」
あー、これはボク間違いなく死んじゃうやつだね。
性的に死んじゃうのか肉体的に死んじゃうのか知らないけれど……。
「まあ、千尋、ないものは仕方ないんだから、今は美優ちゃんの好きにさせておいてあげなよ。兄妹のスキンシップだと思って」
「スキンシップが娼館レベルだから言ってるの……」
「まあ、そのうち授乳プレイとか始まりそうで、心配になるよ……。幼馴染としては」
「はぁ……。でも、本当に困ったことになったのよ」
「色々と試してみたの?」
「うん。普段しているように一緒に寝てるし、キスもしたし……。で、でもね……」
「ん? でもね?」
「エッチだけできないの……」
「しないの? じゃなくって?」
「そう。できないの……」
「何で? 普段、あんなにパコパコしてる千尋たちらしくないじゃない?」
「ちょっと!? 言い方がもう少しあるでしょう?」
「あー、ごめんごめん」
「優くんとエッチをしたら、さらに愛が深めるんじゃないかって思って、布団でお互い同意のうえでしようとしたんだけど……」
「だけど?」
「優くんの勃たないの……」
「はぁ!?」
「えーん。どうしよう? やっぱりおっぱいがないからかな? やっぱりそうなのかな!?」
「いや、そんなことはないだろう? だって、それなら今の状況なら………」
と、言って麻友はボクの方を見る。
いや、厳密に言うとボクの股間の方を見る。
そして、そのままボクの方に近づいてきて、そのままズボンをザッと勢い任せに脱がしてきた。
「ま、麻友!? 何するんだよ!?」
「あんたは黙ってて!」
「ゆ、優くん!?」
千尋さん……。できればボクの名前はボクの方に向かって言ってくれると嬉しいんだけど……。
「優くんはおっきくなってる……」
「へ?」
ボクは気の抜けたような声を出してしまう。
そう。美少女(一人だけ幼女)3人の視線はボクの股間に釘付けだ……。
「ほほう。これはこれは……」
「お、お兄ちゃんの可愛い♡」
「ゆ、優くん!? やっぱりおっぱいだったのねぇ~~~~~」
一人(麻友)は、何やら吹き出しそうになりながら、見つめている。
一人(美優)は、とがったように細長いボクの化身を見て、微笑んでいる。
最後の一人(千尋さん)は、美優のお胸で大きくなってしまったボクの化身にショックを受けている
うわぁ……。何だかすごく
ど、どうやって誤魔化せばいいんだよ!?
千尋さんは今にも瞳から涙が溢れだそうとしていた。
ご、ごめんって……。本当にボクはおっぱいに弱いんだぁ~~~~~~~っ!!
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