淫夢魔（サキュバス）な幼馴染と吸血鬼な彼女

第102話 ボクの性欲。少女たちの欲情。

「おおっ！　優一！　そこにいたの～～～？」

　これまた元気な声がボクの名前を呼ぶ。

　そこには麻友と千尋さんの姿があった。

　麻友はボクの方を見ながら、手を振っている。千尋さんはというと、周囲の男性の視線が気になるようで、少しおどおどとしている。

「あ～、こっちですよ～！　先輩～～～～っ！」

　美優が大きく手を振る。と、同時に胸も揺れる。

　ぷるん！　ぷるるん！

　止めてあげなさい……。君は何も思ってなくても、周囲の人たちは大ダメージを喰らっているから。

「それにしても、何だかナンパ目的な男が多くて困るわぁ～」

「ほ、本当だよね……」

　麻友の指摘に、千尋さんもおずおずと答える。

「もしかして、声かけられたの？」

「うん。すでに何組かに……。美優ちゃんは大丈夫だった？」

「うーん。あたしは声かけられなかったですね。きっと、私の体形だと魅力がないんですよ。くすん……」

　がっくりと肩を落とした瞬間に、胸が弾むってどんなお胸なんだろうか……。

　てか、それよりも美優！？　目の前の先輩方を見てみ？

　ハイライトを失った瞳が君を貫く勢いで見つめてるよ！？

「み、魅力がない……？」

「ですよね？　そんな大きな武器を持っているのにね……」

　お二人とも怖いです。

　ナンパされたのに敗北者になっているのって、これどういうことなんだ！？

「ま、それよりも————」

　さすが麻友は切り替えが早い。

「どうどう？　このあいだ、美優ちゃんと一緒に水着を新調したんだぁ～？」

　品を作って見せつけてくる健康女子・麻友。

　さすがに運動系の部活をやっているということもあって、ボディラインは綺麗に引き締まっていて、健康的な美しさ、エロさを感じる。

　水着もビキニタイプのものだが、上は布生地を捻ったような作りになっているタイプで、肩ひもがなく、それも少しエッチに感じてしまう。

「麻友はさすが運動部って感じのスタイルの良さだよね。でも、その布地はなんかすごい作りになっているね……」

「んふふっ！　何だったら、優一の前でポロリしてあげてもいいんだよ？」

「えっ！？」

　思わず絶句してしまう。

　と、同時にボクの隣にいた美優が「きゃっ！」と声を上げて、両手で恥ずかしそうに口を覆う。

「まさか、これってナチュラルなん逆NTR？」

　違います！　絶対に違います！　そういう発想にもっていくのは止めなさい。

　ボクと麻友は幼馴染です。少しおかしな契約がボクの彼女と結ばれているけれど、微妙に健全とは言えない（！？）幼馴染です！

「おいおい。美優ちゃん？　そういうことは人前で言うもんじゃないよぉ？」

「いや、麻友の発言もどうかと思うぞ？」

「あはは……。こうやって嫉妬させないと、あんたの彼女はこういうところでは積極的にならないからね」

「も、もう！　それ、どういう意味よ？」

　さっきまでおどおどとしていた千尋さんが少しムキになりながら、麻友を小突く。

　そんな千尋さんの水着は、あまり肌の露出をしていないワンピースタイプのものであった。が、普通のワンピースだとお子様といった感じに見えたかもしれない。でも、彼女のそれは違った。

　大事な部分は厚めの布地でおおわれているが、それ以外の場所は、まるでランジェリーのような編み方になっていて、透けるように肌が見えている。

　それこそ、本当に吸血鬼のお姫様といった感じの水着だった。

「ど、どうですか？　美優ちゃんや麻友に比べると、肌の露出は少ないですけれど……」

「そんなこと関係ないって、ちぃちゃんの肌はあまり他の男たちに見られたくなかったからね。今日も白い肌が綺麗だし、ワンピースから透けているのも何だか魅力的だな……」

「何だか、評価がエッチです……」

　少し膨れたようにそう言い返してきたが、彼女の表情は少し頬を赤らめていて、口元がヒクヒクと動いているあたり、まんざらでもないといったところなのだろう。

　それに気づいた麻友が、

「よかったねぇ～？　麻友はこの水着、悩んでたんだもんねぇ～」

「ま、麻友！？　余計なこと言わないで！」

「まあ、あたしは千尋に白のスク水着せたかったんだけどね」

「白の————！？」

「スク水————！？」

　ボクと美優はさすがに驚きの声を上げるしかなかった。

　ボクの想像力……いや妄想力は一気に千尋さんの姿を白のスク水姿に変えてしまう。

　そして、恥じらいながら、

「ど、どうかな？」

　と、モジモジしながら訊いてくる。

　ボクはそっと後ろから抱きしめて、

「可愛くて、エッチでちぃちゃんの全部が好き」

「あんっ♡　嬉しい」

　そういうと、彼女がボクの唇を求めるように瞳を閉じる。

　ボクはそのままそっと舌を入れて、彼女はちゅぱちゅぱと吸い始める。

　ボクは彼女のお胸が窮屈そうに入った水着を指で撫でる。

　彼女は敏感な部分にそれが触れると、甘い吐息を漏らしながら、体を小刻みに震わせていた。が、抵抗する意思はなさそうで————。

「ねえ、シャワー室に行かない？」

「え？　もう？」

「だって、ここでは人に見つかっちゃったら、恥ずかしいもん」

「分かったよ……。ボクももう我慢できそうにないから……」

「んふふ。さすが、私の旦那様………」

　彼女は頬を赤らめながら、その瞳は嬉しそうに濡れていた。

　うーん。最高。

　しかも、案外白い水着って、体のラインがしっかりと見えちゃうんだよねぇ……。

　だから、抱き心地とか実はいいんだろうなぁ……。

「お兄ちゃん？」

「んあっ！？」

　ボクは妹の声によって、いきなり妄想の世界から現実に引き戻される。

　ぼ、ボクは何てことを想像してしまっていたんだ！

　ここは公共の憩いの場であるプールなんだぞ！

　家族連れもいるというのに………。まあ、妄想くらいは………。

「優一？　その……妄想するのはいいけれど、それだけ香ばしい匂いをあたしたちの目の前で出すのは止めてほしいかなぁ……。特に外ではね……」

「え、ええ……そうですね。私たちの体は優一さんの出すフェロモンは、媚薬にもなってしまうってことを分かっていただいた方がいいかと……」

　麻友と千尋さんは少し顔を赤らめつつ、理性と戦っているような表情をしていた。

　あ、しまった————。

　ボクはその瞬間に察した。

　そうだったよね。ボクがエッチなことを考えると当然発情してしまう。そうすれば、自ずと彼女たちだけがわかる特有の「匂い」が振りまかれるわけだ。

　それを目の前でたっぷりと臭わされるということは、とどのつまり、媚薬を鼻孔近くで漂わせるのと同意なのだ。

「ご、ゴメンね……」

「ま、まあ、いいわよ」

「あ、あとできちんと責任は取っていただきますけれど……」

　麻友はボクの下半身をチラチラと視線をやりつつ、我慢していた。

　千尋さんはもう夜に責任を取ってもらう気満々の言い回しだ。

　あう……。安易に想像するんじゃなかった。

「でも、ここまで優一が思ってくれるってのなら、買った意味はあったな」

「えっ！？」

「あっ！　麻友！？　それを言わないでくださいよ！」

「あはは……いいじゃん、別に。きっとこの勢いだったら、それを使う日は激しい夜になりそうだな」

「も、もう！」

「その時はぜひともあたしの日にしてくれよ？　優一の濃厚ミルクを頂戴したいしね」

「とことん、自分勝手なんだから、麻友は………」

　いやいや、本当に白いスク水買ってたの！？

　神よ！　いや、吸血鬼の王よ！（あれ？　千尋さんのお父様？）

　ボクを見捨てないでくれたのですね！

　ボクは必ずやその水着で、最高の夜を作り上げますとも！

　ボクが感動している横で、少し話に乗れていない妹が、

「うーんっと、いったい、何の話なんだろう？」

　と、首を傾げるのであった……。

　ぷるん！　ぷるるん！

　傾げるだけで揺れるおっぱいって———————（略）。