第98話 救世主は必ずやってくる。お約束通りに———。

 ああ、どうして男というのはどうしてもこう、美少女の裸なるものを見てしまうと、理性よりも本能に従ってしまうものなのでしょうか。

 ボクは恐ろしい表情をする彼女をなだめて、一応、何もしないから、という条件を付けたうえで、家族水入らずのお風呂タイムへと突入した。

 が、そこで待っていたのは、抑えきれない自分の本能————!

 目の前に大きなたわわに実ったメロンが腕に挟まれつつ、ボクの方に向かってくる。

 それだけではない。湯けむりで部分的に隠れているのも、なかなか性欲を駆り立てられてしまう。

 ああ、どうしよう。興奮しているってきっと外でバレているよね……。

 だって、いつもボクの気持ちが昂ると同時にフェロモンのような匂いを発しているらしいから……。


「お兄ちゃん? どうしたの? すっごく難しい顔しているよ?」

「そりゃ、美優がこんなに可愛い女の子に育っていて、男としてどういう気持ちでいればいいのか分からないからね……」

「ん? やっぱり美優の身体ってエッチなのかな?」

「うーん。まあ、子どもっぽいというよりかは、大人になりつつあるって感じかな?」

「やっぱりそうかな? おっぱいも急に育ってきたんだよね」


 そういって、彼女は惜しげもなくそれを持ち上げる。

 たわわに実ったそれは、重力に逆らえず柔らかそうに形を変える。

 て、それがエッチなんだよ!!!

 ボクのモンスターがタオルの下で吠えようとしている。

 ああ、どうして午前中に疲労感が出るまで吸われたのに、男というのは正直なのだろうか……。

 それよりも自分の性欲に悲しくなってしまう。


「み、美優? お兄ちゃんも男なんだから、そういうことを目の前でしちゃダメだよ」

「あれ? やっぱりお兄ちゃんも興奮しちゃうの?」

「そ、そりゃ……、妹とはいえ、魅力的な体に育っているからね」

「んふふ♡」


 うーん。なかなか下衆な表情で微笑んでくるじゃないか。

 絶対に何か裏がありそうな顔をしている。


「でも、ボクには彼女がいるからね」

「ああ、千尋お姉ちゃんだよね? 可愛いよねぇ……。本当にお兄ちゃんにもったいないくらい!」

「そういうことは言わないでよ……。ボクも彼女から告白されたとき、すっごく不安になっちゃったもん。本当にボクでいいのかなって……」

「そうなの? あんな可愛い子から告白されたら、普通は付き合っちゃうでしょ?」

「う、うん。そうなんだけど……。ボクだと、つり合いが合わないかなって……」

「それでどうしたの? もしかして、自分の良いところを見せようと頑張ったの?」

「うん。そうだよ。頑張った」

「で、認めてもらえたの?」

「うん。認めてもらえた」

「そっかぁ~」


 これで妹も納得してくれるとありがたいのだが……。

 しかし、そんなに上手くいくものなのだろうか……。


「でもさぁ………」


 あー、嫌な予感がする————!?


「お兄ちゃんも性欲には抗えないよね?」

「み、美優ぅっ!?」


 この子はいつの間に、こんなにエッチな知識を植え付けられてしまったのだろうか。

 まあ、我が家のことだから、母さんも姉貴も基本的にはそっち系のメディアなお仕事をしている。

 せいぜい、実家でまともなのは父さんくらいなものだ。

 これはさすがに参った……。

 いつの間にか、目隠し代わりにしていたタオルが取り除かれてしまう。

 そこには立派になってしまったボクの化身がいた。


「おおうっ!? お兄ちゃんっていつの間にそんなに大きくなっていたの!? これはなかなかエグイ……」

「ぼ、ボクのをそんなにマジマジと見るなよ! てか、み、美優は何をしようとしているんだ!?」

「そんなの決まってるじゃない?」


 と、言いつつ、ボディソープを泡立てて、美優自身の体に塗りたくる。

 もうこれはマジでヤバイ……。

 絶対にこの後、ボクの体に起こることは予想がつく…………。


「こうやって洗ってあげるの!」


 そういうと、美優の豊満なバストがついにボクの体に擦り付けられた!

 ボクはその柔らかさに驚きと衝撃と、そして興奮が同時に脳内を攻めてきた。

 そして何より他の要素に打ち勝った興奮がさらに化身を育て上げる。

 うあああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………

 ボクは抗えずに思わず声を出してしまう。

 むにゅむにゅむにゅにゅにゅにゅ!!!

 ああ、もうダメ——————っ!?

 何もされてない(されてる)のに、どうして気持ちがこうも高揚してしまうんだ!?

 ボクの中にある欲望はムクムクと起き上がってきてしまう。


「ゆ、優くん! 大丈夫ですか!?」


 ナイスタイミングで千尋さんが浴室のドアを開けて飛び込んでくる。

 いやぁ、本当に助かった…………。

 ……………………ん?

 でも、どうして、千尋さんは何も服を着替えていないのだろうか……。

 ボクの目の前には、少し恥ずかしがりながらも、タオルでどこも隠そうともせず、絹のような白い肌をさらけ出した千尋さんがいる。

 もちろん、本来画すべき部分も丸見えだ………。


「ち、ちぃちゃん!?」

「や、やっぱり、優くんを誘惑してましたね! この泥棒猫!」

「んにゃ!? しまった……。バレたか」


 あのぉ……ボクの思いを無視しながら話を進めるのは、止めてもらえませんかね……?

 清楚可憐な巨乳美少女の千尋さんと爆乳美少女の妹・美優の女の戦いがボクを挟みつつ、ついに始まるのであった—————。

 て、始まって欲しくないんだけど!?

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