第96話 妹のおっぱいに彼女は本気を出す。
ボクは右手をひらひらと振りながら、
「ちぃちゃん……。それはないって! なあ? そうだろ?」
ボクが妹・美優の方を向きながら、同意を求めようとすると、美優がボクと目線を合わせてくれない。
え……。いやいや、ちょっと待て————。
「み、美優さん? 千尋さんが言ったことはさすがにないよね?」
「……え? あ、うん……。さすがにないよねぇ~。妹が兄を好きになっちゃうなんて、そんなラブコメみたいな展開……。さすがにないよねぇ~」
美優さん? どうして声が上ずっているのでしょうか?
ボクは君のことを妹だと思っていて、彼女だと思ったことは一度たりともありません。
てか、何で耳が赤くなってきているの?
「美優は小さいころ、ボクの後ろを追いかけるようについてくる可愛い妹だったんだけど……。さすがに恋愛感情は—————」
ボクがそういうと、美優も、
「う、うん! そうだよね。いやぁ、まさかお兄ちゃんのことが好きとか……い、言うわけないだろ!」
うあ。典型的なツンデレだな。
「ねえ、これって……」
「うん。ツンデレだね」
麻友さんと千尋さん、お願いだから、ボクがわざわざ心の奥底にとどめておいたことを、軽く喋るの止めてくれません!?
「ち、違うんだからね! ち、小さいころからお兄ちゃんの後を追いかけていたけど、そのうち、お、お兄ちゃんのことを見つめると、胸のあたりがドキドキしちゃうの……。で、でも、だからってこれが恋なんて言わないんだからね!」
「…………え。」
いや、普通にそれはよろしくないですね……。心臓病でしょうか……。
て、そんなわけあるかーい!
これは千尋さんの言う通りなのだろうか……。
本当に妹はボクのことが好きなのか? え、でも、それって千尋さんにとっては最悪なケースなんじゃないの?
麻友に関しては、最近、納得したばっかりだけど、妹・美優はずっと会えなくて、気持ちが高まっていたうえで、この間、実家で会えたのだ。きっと思いも、爆発していることだろう。
それでいて、気持ちを押さえつける気は本人には、当然のように持ち合わせていない。
つまり、ブレーキの壊れた恋愛弾丸列車状態だ。
ボクは千尋さんの方に視線を送る。いわゆる、救援信号ととらえてもらっていい。
が、千尋さんはというと、首をかしげて、何か問題でもあるんですか? と言わんばかりに目を点にしてる。
ヘルプ! ヘルプミー!
「ところで、今日はどうしてこちらへ?」
さすがにこのままの空気ではよくないと思ったのだろう。
結論を後回しにして、千尋さんは美優に対しての質問をした。
「え? あ、実はね。来年、高校に入るじゃない? そこで、お兄ちゃんの学校のオープンスクールもちょうどあるころだから、こっちで少しの間、お世話になるの!」
いや、妹よ。そんなにはにかんだ可愛い笑顔を見せないでおくれ……。
そこでボクはハッと気づいた。
先日、実家に帰った際、すぐに帰京することになってしまったが、妹は何も悲しむ素振りや泣きつくこともなかった。
ボクはその時、千尋さんの半眷属化したことによる性格の変化がそれをもたらしたと思っていたが、事実はそうではなかったということだ。
つまり、妹はすぐにボクの高校のオープンスクールに来ることができるから、別にその時にごねる必要は何もなかったわけだ。
いかにもしたたかな妹のなせる業といったところだろう……。
だけど、突如としてお兄ちゃんと千尋さんが同居している家に殴り込まなくてもいいんじゃないのか?
おかげでもう少しで彼女とエッチなことができたというのに、お預けを喰らってしまったではないか……。
ボクはどうしてもそちらのモヤモヤが消えそうにない……。
「と、いうことは当分はこちらの方にいらっしゃるということですね」
「うん! そのつもり! と、いうことで、少しの間、部屋を借りるね!」
「「ええっ!?」」
予想はしていたが、まさかの予想通りに展開に思わずボクと千尋さんは疑問の声を上げる。
「いやいや、両親から宿泊費とかもらってるんだろ?」
「そんなの貰ってないよ」
「何で!?」
「お母さんから何て言われてるんだよ!?」
「あー、お兄ちゃんの家に泊まれば宿泊費がかからないからいいよね、って」
「あらら……。これは千鶴さんにやられちゃいましたね」
「まあ、そりゃそうだよな……。そもそもこのマンションだって、両親が払ってるわけだし……」
「では、美優さんはこちらの部屋を使ってください」
と、千尋さんはもともと美優が使っていた部屋を案内する。
部屋は美優が使っていた当時のものは引っ越しとともに移動しているが、たまに麻友が泊っていったときのために布団だけは用意されている。
こたつ机もあるため、普通使いに関しては問題ないと言える。
「おおっ! この部屋、使わないでいてくれたんだね! サンキュー、お兄ちゃん!」
そういって、美優はボクに抱き着く。
相変わらず殺人級の爆乳の持ち主である。
夏の薄着ということもあって、その感触が直に…………。
「ん? 直に?」
「あっ! しまったぁ~♡ ブラジャー着けるの忘れちゃってた」
いや、普通にてへぺろっ! じゃねーんだわ!
後ろから凄い表情をした千尋さんがいるんだが?
「優くん? ちょっと今後のことでお話があるので、こっちの部屋に……。美優ちゃんは、そこの部屋を使いやすくしてくれていいからね。ささっ、優くんはこっち♡ 麻友も一緒に来てね」
「はぁ~い♡」
うはっ!? 彼女の圧が怖い。麻友も瞳の部分に♡マークが浮かんでるよ!?
て、確か、今日は麻友の日———!
どうして千尋さんが一緒に絡んじゃうの?
美優はボクが何を焦っているのかあまりわかっていないらしい。
「じゃあ、お兄ちゃん、感謝するね~!」
そういって、部屋に入っていった。
ボクはそのまま寝室に引きずり込まれる。
すでにそこは結界に覆われていて、彼女たちは一糸まとわぬ姿で、舌なめずりしていた。
ああっ!? どうしてボクの身体って素直なんだろう……。
すでにボクのモノは、元気溌剌な状態に—————。
「朝の続きを————」
「今日はあたしのために————」
「「い~~~~っぱい搾り取って気持ちよくしてあげる♡」」
「っあぁぁ————————————っ!!!」
ボクの悲鳴は防音結界に阻まれて、隣室の美優には聞こえることはなかった。
こ、この感覚は初めて二人の本当の姿を見た時以来だぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます