第94話 甘い朝チュンと妨害フラグ。
チュンチュン………
爽やかな日差しが部屋に降り注いでいる。
あれ……。昨日、ボクはカーテンを閉めずに就寝したんだっけ……。
朦朧とする意識のなか、ボクは昨夜のことを思い出そうとする。
————————!?
と、そこでフリーズした。
そりゃそうだ。
ボクの目の前にいるのは、学校では清楚可憐と名高い美少女……錦田千尋さんがいたのだから。
いや、いたくらいでは驚くこともない。
だって、ボクらはすでに同棲生活3か月目に突入しているのだから……。
とはいえ、さすがに………………。
ボクは自身の視線を下の方に移動する。
どうやら、ボクは何も服を身に着けていないらしい。
と、うっすらと彼女の絹のような体も視界に入ってくる。
当然、そこには彼女のふくよかな双丘がお出ましだ。
毎日、布団で本番まではいかずともイチャイチャしているからか、最近、胸のサイズが大きくなってきているらしい。
清楚可憐とのギャップで萌え(燃え)てしまいそうなのに、これ以上、彼女にそのような武器を与えてしまって、ボクはちゃんと理性を保つことができるのだろうか。
当然、答えは「否」だ———。
ボクはその瞬間に昨日のことを思い出して、顔を真っ赤にしてしまう。
そうだ。昨日、ボクと千尋さんは玄関に入るなり、千尋さんから甘えられて、キスをしまくった。
そのうち、彼女の甘い吐息に誘われるように、ボクは彼女と一緒にお風呂に入って、思い出すだけで恥ずかしい痴態をそこで晒したような気がする。
お互いの体を洗いあうなんて、そんなことする高校生がどこにいるんだよ!?
て、ここにいるんだけどね……。
そのうち、ボクは彼女の艶めかしい肢体に興奮させられてしまい………、事に及んでしまった。
お風呂場で2発、寝室に戻ってきて、夜景を見ながら2発、極めつけでベッドインしながら、3発………。
我ながら、よくもまあ、性欲が爆発してしまったものだ……。
つい、ムラッとしてヤッてしまった……。今は反省している。
が、彼女の寝ている姿を見つつ、どうしても、視線はエッチな胸に向いてしまう。
ああ! ボクの理性、仕事してよ——————っ!!!
「あっ………」
思わずボクの下腹部がお元気になって、何かに触れる。
と、目の前の美少女はピクンッと反応する。
長いまつ毛に二重の瞼がふっと音もなく開いた。
何もかもを見透かしたようなその瞳は、すべてを悟っているようだった。
彼女が右手の人差し指で、ボクの唇を触れてくる。
「……エッチだな……。私の旦那様は……」
そんなこと言わないで欲しい。
こっちは我慢しようとはしている。でも、千尋さんのような可愛い美少女の裸を見て、反応しない方がおかしいじゃないか!?
「それに、こんなにしてしまって………。昨日はあんなにも愛してくれたのに、まだ足りなかったかな?」
「そ、そんなことない……。ただ、千尋さんが……」
「私がなぁに……?」
意地悪なところは本当に悪魔のようなところがある。
エッチな小悪魔(吸血鬼)な千尋さんはボクに体を寄せてくる。
「こうやって触れ合うとあったかいね」
「な、夏だから、汗をかいちゃうよ?」
「問題ないよ。すでに昨日、この部屋で5回もシちゃってたら、汗もかいちゃってるもの……。もう一度、お風呂に逆戻りしちゃう?」
そういうと、彼女は空いた左手でボクを刺激する。
ぉ、ぉぅ………!?!?!?
「朝から、激しくない?」
「朝から元気すぎるものを私の肌に擦り付ける方が、もっと問題のような気がするけど? まだ、ヤれそうなの? 本当に元気ね……」
千尋さんは呆れたようにニヤニヤしながら囁いてくる。
あうっ。乱暴に刺激しないで—————!?
ボクは理性などどこへやら……。彼女と唇を重ねていた。
んちゅ……ちゅぱちゅぱ……んちゅ……れろれろ…………
唾液を交換するような蕩けるようなキス。
彼女の舌とボクの舌が絡み合う。お互いを欲するように————。
「本当にエッチなんだから、優くんは……」
「そういうちぃちゃんの体がボクを誘惑させるのも、いけないんだよ……」
「じゃあ、お互い様ね………」
お互いでふふっと微笑むと、そのままキスを再開する。
ボクらは朝から何ていやらしいひと時を過ごしているのだろうか……。
ああ、まだ夏休みはようやくお盆を迎えようとしているころ。まだ、夏休みは半分もある。
ボクらにとって、こんな甘い日々がまだまだ続くなんて、なんて嬉しいことなんだろう……。
て、あれ? こんなことを考えると、いつも何か、良からぬことが起こるんだよなぁ……。
「優くん、何か今、フラグを立てちゃったでしょ?」
「………え? どうして?」
「だって、来訪者ですもの……」
千尋さんは折角のイチャイチャを邪魔されたとあって、小さく舌打ちをする。
部屋の玄関の方から、女の子の声がする。
不法侵入!? と、思われるかもしれないが、ウチの家に勝手に入ってこれるのは、ボクら以外にももう一人いる。
そう。幼馴染の麻友だ————。
『だから、ダメだって……。朝は絶対に機嫌悪くしちゃうよ~?』
『いいんです! あたしにとって、これは絶好のチャンスなんですから!』
『チャンス!? 一体、何をする気なの!?』
どうやら、ボクの中ではすでに侵入者二人の身元はバレた。
一人は麻友。そして、もう一人は——————、
「お兄ちゃん! おはよーっ! って、な、何してるのぉぉぉぉぉぉぉっ!?!?!?」
「ホラ……。だから、朝イチはよくないって言ったでしょ?」
ボクと千尋さんがダブルのベッドで薄い掛布だけでたたずんでいるのを見て、恐れおののいてしまう妹・美優。
「だ、だって……お兄ちゃんと千尋お姉さまが裸で……はうっ!?」
美優にはあまりにも刺激が強かったのかもしれない。
その場で卒倒してしまった。
「ねえ、どうしてこの子、部屋に入れちゃったの?」
「あー、もう、手に負えなくなったのよねぇ………」
千尋さんの冷静なツッコミに対して、麻友は本音で返してしまったのであった。
いや、その前に、どうして妹がここにいる!?
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