第79話 彼氏を抑えるのは彼女?
ちょ、ちょっと待って…………。
私は確か、優一さんに甘えてしまって、そのあとあ~んなことやこ~んなことをしてもらって、何度も何度も気持ちよくさせてもらって、意識が飛んだはず……。
いや、今、冷静に思うと、すごく恥ずかしいことのような気がする。
まあ、それは百歩譲って良しとしよう。
だが、目が覚めて、リビングに来てみるとそこはもう地獄絵図だった……、と言ったら誰が信じてくれようか。
麻友が恍惚とした表情でリビングのソファに倒れこむように、その美しい肢体をおしげもなく晒している。
かと思えば、フローリングの方にはM字開脚状態のお母様がビクビクッと何度も痙攣しつつ、仰向けに倒れている。
当然のように二人共の体は汗でしっとりと濡れていて、それと……何やら白いものが付着したり、漏れ出ていたり……。
て、まさか————!?
私はそこにその犯人がいないことに気づく。
いやいや、まさかのまさかだけど、昼間にここまでするか!?
それに、あのお母様をここまで屈服させられちゃうなんて………。
「私の彼氏、恐るべし……。て、感心してる場合じゃなかった。優くんはどこにいるんだろう……」
私は部屋から出た感じはなかったので、浴室でシャワーでも浴びて、賢者タイム中かと思い、声をかける。
「優くん、ここにいる~?」
『え!? あ、ちぃちゃん!?』
すっごい動揺している……。まあ、そりゃそうよね……。
私のことが大好きとか言いつつ、ここまで大胆に浮気したわけだから……。
それに私のお母様にまで手を出しちゃうなんて、正直、優くんが人妻ものまで行けちゃうタイプだとは思わなかった……。
て、そういう話じゃない。
「ねえ、開けても大丈夫?」
『ボク、普通に全裸だよ?』
「うっ……。それは確かにまずいかな……。さすがに恋人同士でもいきなりというのは私も性じゃないから」
『そ、それは助かります……』
私はそういうと、浴室のドアの近くに腰を下ろす。
「で、この状況なんだけど————」
『ご、ごめんなさい!』
「あー、まあ、謝ってほしいという気持ちはあるけれど……、あれは無理じゃないかなぁ……」
『え?』
優一さんは、どうして怒られないんだろうと、不安そうな口ぶりだ。
いやぁ、さすがに私も正直、他の女に手を出した……、しかもよりによって、麻友とエッチをしたということは、怒るべきところなんだけど、相手が悪すぎたと思うしかなかった。
と、いうのもお母様は淫夢魔と吸血鬼のハーフ。つまり、淫夢魔としても最強なのだ。
だから、気に入ったものを手に入れるときは、絶対に手を抜かない……。
それがたとえ、私の彼氏であっても……。
その証拠に、部屋にお母様が作った媚薬ポーションの匂いが残っていた。
もう、少量だったので、私にはそれほど効果が出ないけれど、あのようなものを生身の人間が嗅がされたとなれば、精力も異常値をたたき出すだろう。
「お母様に襲われちゃったんですよね?」
『え、うん……。最初はね……』
「まあ、リビングの様子を見れば、大体想像はつきます。それに麻友が自らああいうことをしないということは私も知っています。彼女はもともとトラウマ持ちでしたからね……」
『そうだよね……。でも、あのとき、ボク自身も理性とか体とか制御できなかったんだ……』
「だって、あの媚薬、魔王でも堕とせるってお母様が豪語してましたから」
そうなんだよねぇ……。そんな強烈な媚薬を嗅がされたら、優一さんなんか一たまりもないよねぇ……。
「でも、今日は私は怒りません。怒るなら、今日はお母様に対してだもの」
『へ……?』
「だって、そうじゃないですか……。優くんは理性で何とかしようとしていたっていうのは、今の話を聞けば分かりますから」
『……あ、ありがとう。ちぃちゃん』
「大丈夫ですよ。こうやって理解しあうのも、恋人同士では大事なことだって、私、思いますから」
ガチャ………
「で、ひとつ、折り入ってお願いがあるんだけど……」
突如、浴室のドアが開き、優一さんが出てくる。
「どうしたんで………ふえぇぇぇぇぇっ!?」
私が彼の方を振り向くと、そこには逞しい「優くん」がいた———。
ちょ、ちょ、ちょ、ちょ———————!?
「何度やっても収まらないんだ……」
「か、解除する方法がきっとあるはずなんですけどぉぉぉぉっ!?」
思わず、目の前のモノに恐れをなした自分が声を上ずらせてしまう。
こ、これはいつものサイズじゃないよ!?
「お母さんは最愛の子に搾り取ってもらえればいいって……」
「いやいや……ちょ、ちょっと待って!? こ、こんなの、私、壊れちゃうよ!?」
「で、でも、このままじゃあ、収まらないんだよぉ……」
いや、そりゃ分かるけど……。それにいつも以上に、優一さんの匂いが凄くて、媚薬を嗅がされたような気持ちに徐々になっていってるってーの……。
「わ、分かったから、落ち着いてくださいね! 優くん!」
「落ち着ける余裕はないよ!」
優一さんは私を押し倒して、そのまま荒々しいキスをしてくる。
ああぁぁぁぁぁぁ……。激ししゅぎるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……。
も、もう、抗えない……。こんな激しいの来たら———!!!
「もう、我慢できないよ!」
体は正直であり、かつ繊細であっ—。ビクビクッ! と痙攣を起こし、脳髄が灼けるような錯覚を覚える。
あ……、もう…………。
彼に思い知らされてしまう。
私は優一さんの彼女なんだって—————。
「こんなの危険日だったら、間違いなく愛の結晶ができちゃうよっ!?」
私のそんな救いを求める叫びに対して、優一さんは答えるはずもなく、本能のままで私は屈服させられたのであった。
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