第77話 少女はイキ果て、もう一人の少女は……を手にする。
ボクは体をブルブルっと震わせた。
下半身から脳髄まで響き渡りそうになるくらい快感が走ったからだ。
「優一? 何だか、あたし、都合よく利用されてない?」
「ま、麻友!? そんなことないよ……。今日はもともと麻友の日だったんだろ?」
「うん、まあそうだんだけどさ……」
そういうと、さらにバキュームを見せつける。
体の奥底から吸い取られているようだ。
「ぬぉおおぉぉぉぉぉぉぉ…………」
一瞬、白目を剥いてしまいそうになる。
いや、本当にこの子、最強すぎるんだが……?
「ふぅ~、今日のはかなり濃厚だったねぇ~。いつもこれくらいだといいんだけど、今日はお母さんと千尋にニャンニャンされた結果かな?」
「お母さんにはされてない! それにちぃちゃんだって、ボクがしてあげたくらいで、イキ果てちゃったから……」
そういうと、申し訳なさそうにベッドの上に横たわっているものを見る。
「あー、まあ、幸せそうな顔して、果ててるんだからいいんじゃない? それにしても、あのエロランジェリーの威力半端ないわね……。優一がそこまで欲情しちゃうなんて……」
「いや、まあ、そもそもちぃちゃんがエロいのが問題なのかな……って」
「あー、分かる! 本当にこの子エロいよね。これはお母さん譲りだと思うの」
「いい加減、私も会話に混ぜてくださらないかしら……」
「「ぬおうっ!?!?!?」」
突如の声に驚きを隠せないボクと麻友。
振り向くと、ドアを半開きにして、恨めしそうにこちらを覗いている。
「あ、いけない。ずっと待たせていたんだったよ」
「いや、さすがにまずいでしょ……」
テヘッと照れる麻友に対して、ボクは呆れるしかなかった。
千尋さんはベッドでそのままにして、ボクと麻友、そして千尋さんのお母さんはリビングで相まみえる。
お母さんはすでに服を着替えているが、姿見の術を解いてもそれほど千尋さんと変わりないくらいに似ていた。これはおばさんとは言えないでしょ……、と。
ボクはホットコーヒーを用意して、それを提供する。
「あ、これ美味しいやつでしょ? ありがとう! 優一!」
麻友はいつも通り、カラカラと笑いながら、コーヒーを受け取る。
さっきまでボクのものに食らいついていたとは、想像しづらいけれど、実際に吸い付かれていたのだ。
「あら、このコーヒー、美味しいわね」
「いや、それほどいい豆ではありませんので……」
「あの子はあなたとの生活を楽しんでいるようね」
「え、あ、はい……。まあ、ボクは女の子との生活は今まで、麻友とくらいだったので、色々な意味で新鮮です」
「あなた、これまで一緒に棲んでたの?」
お母さんに睨みつけられて、うひっ!? と半身ほど退く麻友。
「千代さん落ち着いて……。同棲はしてませんでしたから……。夕食を作りに来てあげてたくらいですよ。私も一人暮らしなんだから、それくらい許してほしいっす」
「そうよね……。あなたの家もなかなか大変だものね……」
あー、これ、色々と察している感じだな……。
きっと、麻友の家庭事情もしっかりと分かっているって感じだな。
「本当は、私もこの家で棲みたいんですけどねぇ……。千尋がなかなか怖くって」
「まあ、あの子は独占欲が強いからねぇ。さっきの様子を見て、凄く分かったわ」
「あはは……」
ボクは愛想笑いをする。
まあ、千代さんにさっき噛みついていた千尋さんの様子を見ていたら、なんとなくわかるなぁ。
「でも、あなたもわざわざ彼のものを吸うために来るのは面倒じゃないの?」
「ええ、まあ、そうですね。たまには優一と晩御飯を一緒に食べたいなぁ……ってこともありますよ。意外と一人暮らし、寂しいので……」
「じゃあ、簡単に来れるようにしちゃえばいいじゃない」
「え!?」
「そ、そんなことできるの!?」
ボクと麻友は同時に驚く。
そりゃそうだ。簡単に来れるようにするってどういうこと?
どこでも〇アのようなものが存在するというのだろうか……。
「この家と麻友の家を接続すればいいのよね?」
「あ、はい……そうです」
何だか、申し訳ないという表情をしつつも、接続してもらえるのならば、と流れに身を任せる麻友。
「あ、でも、娘が幸せタイム中はダメよ?」
「も、もちろんです……!」
千代さんは、「では、繋げるわね」と部屋の中央で呪術を唱え、黒と紫の炎が千代さんの体から巻き上がる。
いや、火災起こるのかな!? それはちょっと止めてね!!
ボクの心配を他所に、麻友が書いた彼女の住所の紙をその炎にくべる。
黒紫の炎は、その紙を一気に燃やし、その塵を千代さんは左手に用意した石に吸い取らせる。
いったい、これは何が起こっているんだ!?
「ふぅ~。できたわよ」
「こ、これは?」
「転移用の魔石よ。これに念じれば、この部屋とあなたの部屋を行き来することができるわ」
「それはかなり便利ですね」
「そうよ? 本来、魔術というのはこういうことをするために使うものなんだから」
「あ、ありがとうございます!」
麻友は平伏して、ありがたく魔石を頂戴していた。
それにしても、これで突如、麻友が来れるってことは、それこそ、以前あったような鉢合わせが起こることもあるのだろうか……。
ボクは心配がさらに増えたような気がした……。
「でも、本当にそれだけでいいの?」
「ほえ?」
魔石を再度取り上げられて、面食らった麻友が、千代さんを見上げる。
その時、ボクは気づいた。麻友を見る千代さんの瞳が何か企んでいるように潤んでいたことを————。
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