第63話 少女たちの密会④
私は親指と小指を伸ばして、サイズを言い表す。
目の前にいる麻友は、両手で口を覆って、表情を隠そうとしているが、頬が若干、朱に染まっているところから見ると、さすがに淫夢魔としては、興奮は抑えられないといったところだろうか。
てか、私たちはまだ陽が一番高いところまで昇り切っていないというのに、なんて話をしているんだ。
「てか、麻友はそもそも優くんのを搾精しているんでしょ? サイズくらい知ってるでしょうが」
「ま、まあ、そうなんだけど、あたし、ああいうエッチなのダメなの知ってるでしょ?」
「ああ、両親がヤリマンだったから?」
「言い方~~~~~! 真昼間の公衆の面前で、何てこと言うのよ」
「ああ、ごめんごめん」
私は軽く謝る。
いや、だって事実じゃないか。
麻友がそもそもエッチができないのは、両親に問題があるのだ。そもそも麻友の場合、お母様が淫夢魔の女王的な立場の人なんだとか……。で、ちなみにそのお母様に見初められてしまったのが、実業家として知られているお父様なんだけど……。
実は彼女のお父様は別にもともと実業家ではなかったらしい。そのぉ……言いにくいのだが、実はエッチな映像に出てくる男優さんだったらしい。
しかし、お母様と出会ってから、即引退して、今は実業家になっているとか、本当によく分からない人生だなぁ……。
てか、お母様、「あげまん」だったのね………。
で、そんなエッチが大好きなお父様と淫夢魔の女王であるお母様がヤることと言えば、まあ、アレになるわけだ。
それが彼女が物心つくようになってからも続いたらしい。
結果、それがトラウマのように心に刻まれてしまい、麻友はエッチなことは一切手をだしていない。
それどころか、搾精をする際には、部屋を暗くしないとできないというトラウマぶりだ。
正直、淫夢魔として生きていくのも難しいのではないのだろうか。
てか、改めない限り、彼女の後に血を残すことはできないだろうね。
「でもまあ、もしも……もしもだけど、あんた処女を奪われるとしたら、優君がいいのかしら?」
「……………(ボッ!!)」
麻友の顔が真っ赤になってしまう。
え……それだけでオーバーヒートするの? そんなの優くんの裸を見たら、どうなるのかしら……。
「てか、あんたねぇ……。もう少し、耐性をつけなさいよ。何だったら、エロ本とかあげようか?」
「い、要らないわよ! あたしがどうしてそんなものを見なきゃいけないっていうの?」
「そりゃ、あんたがあまりにも、エッチなことに対する耐性がないから……」
「そ、そんなもの付けたって何の役にも立たないじゃん!」
いや、普通に麻友にとっては役に立つだろう。
きっと、子孫を残すためには、エッチができないと残せないと思うのだが……。
まさか、この淫夢魔、子どもはキスをしたら、コウノトリが連れてきてくれる、とでも思っているのではあるまいな……。
「そもそもセックスなんて、快楽の共有のためのものでしょ? 子作りで大切なのは、キスだもの!」
「あ~~~~~~~~、やっぱりそういうタイプ?」
「………え? 何? 何なのよ?」
「いや、まさか、そんな古典的な手法で子どもができるんだって思っているんだと、ちょっと感動した」
「うわ。すっごくバカにされたような気がするんだけど」
「うん。とってもバカにしている」
「キィィィィィィィィィッ!!! どうして、こうも減らず口が叩けるのかしら!」
「いや、減らず口の前に、麻友の偏った知識を正してあげなくては、と。今、すごくやる気が芽生えてきた」
「ちょっと、あんた、あたしのことどういう目で見ているのよ」
「ものすごく憐れんだ
「…………泣いてもいい?」
「いや、泣く前に真実を受け止めてほしいんだけど……」
「そもそも真実って何よ!」
「いや、だから、子どものでき方」
私はそっと麻友の耳元に口を近づけて、ボソボソと周囲には聞こえないような声で、子作りとは何たるか、そしてどのような作法によって作られるのか、を伝える。
最初は、「ふむふむ」と訝し気に聞いていた彼女も、作法になると顔を真っ赤にしながら、オーバーヒートしそうになりつつ、私の話を受け止めていく。
「———と、まあ、こうやって子どもは生まれるわけなのよ。分かった?」
私はすべてを話し切って、「どやぁ」という表情を麻友に向ける。
しかし、当の麻友に関しては、そのような余裕すらない。
もはや、信じたくない話が次々と脳内に流れ込んできて、彼女の中にあった誤った知識が新しい知識によって上書きされていく。
それは耐えがない恥ずかしさを生み出す。
まあ、そりゃセックスだからねぇ…………(シミジミ)。
「ど、どうして、今までお父様とお母様は教えてくれなかったの……?」
「いや、きっと普段していることが、子作りだと思われたら、色々と今後のトラウマになってしまうとでも、思ったんじゃないのかな?」
「いや、普通に知識としてそれを知らなくても十分にトラウマになっていたんだけど……」
「そ、そんなに激しかったんだ………」
「ま、まあ、AV男優と淫夢魔の女王ですからね」
「10回はデキそうね!」
「いや、数えたくなかったから、無視してその日は家でしてたわ」
「と、いうわけで、麻友も子孫を残すためには、覚悟が必要って感じだよねぇ~」
「ううう……。まさか、あんたからそんなことを教わるとは……。今にも入れる穴があれば入りたい」
「優くんに入れてもらえる穴はあるじゃない」
「あんた、本当に学校では猫かぶってるわね。よくもまあそんなエッチなことをサクサクと言えるわね……」
麻友は私を蔑んだ目でにらみつけた。
いや、まあ、だから、あれはキャラ作ってるから仕方ないんだけどね……。
て、こればっかりは優一さんにも見せれないけれどね……。
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