第54話 少女は甘い甘い夜を過ごす♡(改)

 目の前には愛しい美少女がいる。

 吸血本能に目覚めていないときは、黒髪のロングストレートがさらっと風になびく。

 学校での清楚可憐な美少女だ。

 そんな彼女が、ボクに哀願するような瞳で抱き着いてくる。


「眷属に……なってもらえるんですね……?」

「うん。千尋さんの初めてがボクでいいならね?」

「そんな訊き方しないでください。むしろ、私は優一さんだからこそ、初めてがいいんです。それに二度目はありません。私は優一さんしかシたいと思いませんから」

「—————!?」


 そんなこと言いながら、ボクの腕に豊満なお胸を押し付けてくるのはズルい。

 ボクの男としての性がここで反応しないわけがない。


「あら? いい香りが漂ってきていますね。私に興奮してくださっているんですね?」


 挑発的ともいえる、その言動にボクが理性も限界に迫りつつあった。

 今までは耐えてきた。

 でも、今日は違う。自分にも覚悟を決めていた。


「もちろんだよ。ボクは千尋さんのことが好きだからね」


 そういうと、ボクは彼女の唇に自身のを重ねる。

 ちゅ……………

 彼女はそのキスを受け止めるように瞳を閉じる。

 そっとボクが唇を離すと、彼女はゆっくりと瞳を開き、


「優一さんのペースでいいので、リードしてくださいね」

「うん」


 ボクはもう抑えきれなかった。


「ねえ、舌を絡めたキスをしよう?」

「……はい!」


 彼女は素直にボクの方に舌をぺろりと出す。

 ボクはそれに自身の舌先を絡めるようにしていく。

 ちゅぱちゅぱ……れろれろ……んちゅんちゅ……

 溢れ出る涎をお互い気にせず、舌を絡めてキスをしあう。

 涎以上に脳内に活性物質が激しく分泌されているのだろうか……。

 そのまま、ボクは彼女の首筋に軽く口づけをして、優しく愛でる。


「んあっ♡」


 彼女は我慢できずに吐息を漏らす。

 思わず仰け反りそうになるが、ボクがすでに腕を背中に回しているため、逃れることができない。

 可愛い? 愛らしい?

 そんな簡単な言葉で表現するのは勿体ないくらいだった。

 いつしか、彼女の体が大きく震える瞬間があった。

 ボクはそっと彼女を見つめると、頬をピンクに染めて、肩を震わせるように息をしていた。

 彼女は呆けた表情で、ベッドに横になっている。

 気持ちよさが何度も襲ってきて、少し考えることを止めているような……そんな感じであった。


「優一さん? そろそろ覚悟を決めませんか————?」

「…………うん」

「大丈夫です。ここまで準備万端にしていただけたんだから、きっと上手くいきますよ」


 彼女曰く、どうやら眷属になるためには、ボクと彼女が交わり、ボクが果てると同時に、彼女がボクの首筋を噛んで血を吸わなくてはならないらしい。

 ボクは彼女の下腹部に自身のを宛がう。

 彼女はボクのモノに少しばかり驚きをしめしたが、決心して「どうぞ」と言ってくれた。

 ボクはついに彼女とひとつになった——————。

 彼女が血を見るのが嫌うことから部屋の明かりを暗くして、月明かりだけがテラスの方から入り込んでいる。

 部屋は薄暗く、でも、月明かりでなぜか神々しくも見えた。

 彼女は何度も身悶えして、ボクにキスをせがんだ。

 そして、ボクと彼女はその瞬間を迎えた——————。

 月明かりに照らされた寝室で、ボクが彼女を抱きしめて—————。

 同時に彼女はボクの首筋を優しく噛みつき、血を吸っていた。

 両方から搾り取られるような快感が走り、頭が真っ白になりそうになる。

 いつしか、彼女の吸血行為も終わり、彼女とボクの視線が交わる。

 少し口の端から垂れている紅蓮の一筋の線が、ボクのものを吸ったという証だった。


「今日のは一段と美味しかったです……。それに今、お腹の中がとてもあったかいですね」

「ち、千尋さん……」


 千尋さんはボクの左手を手に取り、薬指を見せてくれる。


「ほら、これが私と優一さんのつながりを表す指輪です。これは吸血鬼一人ひとりちがうものなので、誰の眷属であるかがわかるのです。それにこれは普通に生きている分では、人に見えることはありません。私たち吸血鬼のみが見ることが可能なものです」

「つまり、ボクが千尋さんのものだってことがわかるんだね。何だか結婚指輪みたいだね」

「け、結婚………!? はい……。まあ、そういうことです」


 すると彼女はほっとしたのか、ボクに倒れこむように抱きしめてくる。

 確か彼女は最初の吸血の儀で人を殺めているんだったよな……。

 ボクを殺したくないという気持ちでめいっぱい緊張していたことだろう。

 そのままボクはベッドに押し倒されるような感じになる。


「ゆ、優一さん!?」


 自分の性欲の強さに情けなくなってしまう。

 いや、これはすべて千尋さんや麻友が普段からボクの周囲で、ボクに対してあんなことやこんなことをしてくるから、貯まっていた証拠だ……。(自己逃避)


「千尋さん、ごめんなさい!」


 ボクらはそのまま第二ラウンドへと突入した。

 あれ? これって千尋さんが言ってた、真夏の危険なアバンチュールってやつなのかな?

 今のボクはそんなことを気にしている場合ではないくらい、彼女を愛しまくった。

 長い長い甘い夜はまだまだ続いたのだ———————。

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