2.ボクは少女に恋をしているのか。
第25話 少女の眷属になりたいボク。
もう、彼女と付き合い始めてから、2週間も経った。
とはいえ、ボクからはまだ、彼女に対して何も動きを示していなかった。
つまり、ボクからは彼女に対して、お返事をしていないまま、ずっと続いていたのだ。もちろん、彼女たちの取り決めそのものも――――。
ボクの血液及び精気に関する取り決めが作られてからというもの、きちんと取り決めに従った吸血および精飲が行われてきた。
いやぁ、さらっと言いつつも正直、何だかこの異常さを正常に関してしまえるようになったボクは、どこかおかしいのだろうか……?
不安になって、そんなことを千尋さんに相談したら、
「そんなことありませんよ? 世の中にはたくさんの人がいるわけですから、案外私たちのような生活をしているのも普通かと思いますよ。ほら、世の中にはエッチが好きすぎてたまらない夫婦もいるそうですよ」
いや、ボクらは高校生なんだから、そもそもそういう生活の人と一緒にしてはいけないような気がするのだが……。
いつも一緒のベッドで寝ていると彼女はエッチはしなくても、ボクを抱きしめてくる。
ボクは手を出さないまでも、性欲が高まっていくのは自覚してしまう。
腕が彼女の柔らかなお胸に挟まれてしまい、その感触に理性が吹き飛んでしまいそうになる。
いや、ダメだろ!
とはいえ、ボクの股間は今はパンパンなんですけど!?
ボクは今、どういう表情をしているんだろうか。かなり厳しい表情をしているのだろうか。
やっぱり我慢している表情なのかな……。
ボクがキュッと目を閉じた後、ふっと開くと、そこにはいやらしい笑みを浮かべる千尋さんがいた。
「あれ? もしかして、気持ちいいですか? これ?」
「ふえっ!?」
ボクは思わず身体が硬直してしまう。
それを見越した彼女は、ボクにくっつきながら、身体を上下に揺さぶる。
フニュニュン……クニュニュン……
あまりにも刺激的な、そして卑猥な柔らかさがボクに理性に直接攻めてくる。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと!?」
「今日は紳士協定では、吸ってはいけない日なので、熟成することにしますね」
あー、これはすでに吸血鬼モードになっていますね。
彼女の瞳が、真っ赤な血のような赤に染まっている。
「あ、あの……離してもらえませんか?」
「ダメです。だって、気持ちいいんでしょ?」
「あ、はい……そうですけれど……」
「ですけれど?」
「何だか、落ち着かないです……」
「ここがですか?」
さわさわさわさわさわ…………
うひょ~~~~~~~!!! ちょっと待って!? そこを刺激するのは紳士協定違反じゃないですか!?
「あ、あのぉ……」
「はい?」
あー、こういうのを悪魔の笑顔って言うんだろうな。
てか、さわさわをできればやめてほしいんですがぁ……。
「あれ? さっきよりもおっきくなっている感じですねぇ~♡」
「………そ、そうですか!?」
「何だったら、麻友みたいにしてみましょうか?」
それって、つまりは精飲するってこと!?
それはさすがに………。
ボクは少しその提案に対して、ネガティブな表情をする。
「うふふ♡ あんまりお気に召されなかったみたいですね。じゃあ、これでどうですか?」
彼女はそのままボクの首に両腕を回して、そのまま唇を重ねてきた。
ちゅっ…………ちゅぱ、くちゅ、んちゅ………
久しぶりな感じだ。
彼女は血が吸えないストレスをキスで誤魔化すように、舌を絡めてきた。
長いようで短いキスを終え、彼女が名残惜しそうに唇を離すと、余韻のように唾液が糸を引いていた。
「2週間ぶりのキスはどうですか?」
「な、何だかエロくなってません?」
「あら? そう思います? でも、それは間違っていますよ。より好きが強くなったから、キスも濃厚になってきているんですよ」
「そ、それは凄く嬉しいです」
「優一さんは私に対して、まだお返事をいただけていませんけれど、私を追い出さないということは、十分に可能性があるということだと、私は信じています。焦ってはいませんから、お互いの大切な決断ですから、自分たちのペースに合わせてで、構いませんから。ね?」
何だか、彼女の優しさに逆に、胸がじわりと痛む。
いつまでも待たせるのは、ボクとしても良くないことは分かっている。
「ねえ、千尋さん?」
「はい」
「千尋さんと愛を深めるには、眷属になるという方法はどうかな?」
「ええっ!? け、眷属ですか……!?」
「う、うん。あれ? 吸血鬼って眷属にして仲間を増やしたりするんだったよね?」
「あ、はい……。そうです。そうですけれど……、優一さんって大胆ですね……」
「あれ? そうなの? 眷属になるってそんなに凄いことなの?」
「はい。もう、めいっぱい凄いことです。十分に大人の仲間入り果たせちゃいますよ!」
「ええっ!? 眷属になるだけで!?」
「はい。それで、優一さんは私の眷属になりたいのですか?」
「うーん。眷属って、完全に支配されて、自我も破壊されちゃうの?」
「あー、それは違いますね。本来の眷属というのは隷属とは異なります。今、優一さんがおっしゃったのは、隷属のほうです。こちらは、自分の肉体の一部を、隷属させたいものに、喰わせれば完成します」
「あ、そうなんだ。じゃあ、眷属は?」
「け、眷属は……、またの機会に教えます。私も眠たいので! おやすみなさい!」
彼女は顔を赤く染めつつ、早口でそうまくし立てると、そのまま掛け布団にもぐりこんだ。
一体、どうしたというのだろうか。
ボクは自我が保てるならば、眷属になりたい。
そうすることで千尋さんと一緒にいられるのならば、それもいいかもしれない。
そう思って提案しただけなのに………。
まだまだ奥が深い吸血鬼の世界に、悶々としつつ、ボクも睡魔に逆らえず、そのまま暗闇に沈み込んだ。
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