第174話

「これで良しと」


「ししょー、誰に手紙書いてるんですか?」


「ああ、幼馴染だよ」


「いいっすね、小さい頃チャンバラして一緒のご飯食べて、一緒にお風呂入って、友情を深め合った仲とかですね」


「何を勘違いしてるか知らんが幼馴染は女だぞ、まぁチャンバラはしてたがな」


それを聞いてピノとエマが渋い顔をした。

エマが真剣な表情で俺に言う。


「そ、そ、そ、その人は!タクトさんの彼女ですか?」


はぁ?俺はとんでもない事を聞かれ慌ててしまった。


「か、彼女じゃないよ!ただの幼馴染だから」


そう言うと、エマは渋い顔をやめてすぐに笑顔に戻ってくれた。


「なぁんだ、そうだったんですね。安心しました」


「何を安心したのかは知らないけど良かったよ」


ホッとしているエマとは正反対に、ピノは相変わらず渋い顔をしている。


「あのエマって人、狙ってるんじゃなくて本当に男性経験がないんですね。ししょーのあの顔は、ただの幼馴染じゃないって言ってるようなものなのに」


何やらブツクサ言っているが声が小さすぎて聞こえない。


「何か言ったか?ピノ」


「いえ、なんでもないっす。それより、ゴブちゃん達の食糧問題どうするんすか?このまま狩を続けたら魔物がいなくなるのは間違いないっすよ。魔物がいなくなるのは私達的には万々歳っすけど」


「そう、それなんだが、実はいいアイディアがすでにある」


「そ、それはなんでしょう」


エマが食い気味に尋ねてくる。

やっぱりゴロタ達の事が大事なんだな。ずっと移住を続けるのは彼らにとっても負担だからな。うんうん。


「今まで誰もやった事がないから未知数だが、きっとうまくいくと思う、俺の食料問題を解決する斬新なアイディア、それは魔物の家畜化だ!」


「魔物を!?」


「家畜に!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る