第168話 ゴールズがまだ諦めていないってマジですか?
「ねぇ知ってる?鷹の爪の噂」
「知ってる知ってる。なんか店の近くにある木を枯らして落ち葉が落ちないようにしてたって」
「それじゃないよ、冒険者の半分以上が辞めたって」
「ああ、あれね。もうあれは潰れるよね」
「ねぇ待って、あれ見て」
「やだ、浮浪者じゃない。目を合わせちゃ駄目よ。行きましょ」
「やぁーねぇー。王都にもいるのね」
2人の女性が見た浮浪者とは他でもない。
鷹の爪の創設者の息子にして、鷹の爪の元幹部、ゴールズの落魄れた姿であった。
何もかもを失ったゴールズは王都の目立たない路地裏でゴミを漁り、目の前に缶を置き、施しを受けて日々をなんとか過ごしていた。
ゴールズは虚な目で空を見ながら、ぽつぽつ呟く。
「……終わった……」
死ぬことも考えたが、それはできなかった。
絶望しながらも、ゴールズはタクトに対する怒りで今にも狂ってしまいそうだったからだ。
タクト、ピノ、バルバトスに復讐しないことには死んでも死にきれない。
ゴールズは3人への復讐の方法に頭をフル回転させた。
「……復讐……だがあんな化け物に対抗できるような奴……いや……一人……いる?」
急にゴールズの頭に浮かんだその男は、世界中の誰もが知る、あの人物だった。
「勇者マルス……そうだ、勇者マルスを鷹の爪に勧誘できれば……」
具体的なアイディアはなかったが、ゴールズには失うものもなかった。
「とにかく勇者マルスを探して話をするしかない!」
ゴールズは缶に入っていた金を握り締め、立ち上がった。
「都合よく、勇者マルスがタクトやピノ、バルバトスに恨みを持ってくれていれば俺の誘いに乗ってくると思うんだが……そんな都合のいい事があるはずもない……とりあえず探すぞ!勇者マルスを」
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