第123話 世界最強の孤児院
クレハはウランに戦力を削ぐ作戦を任せている間に、アサ、ヨル、サヨに掛けられている服従の呪いと、大司教がかけた洗脳を解くことに注力した。
ヒルとローラの協力もあり、3人の呪いと洗脳は比較的早くに解くことができた。
サヨなどは洗脳と呪いが解けてすぐにクレハに懐いた。
「おばあちゃん♩大好き♡」
そう言ってクレハの膝にゴロゴロと転がる。
「おやまぁ、可愛い事言ってくれるね」
そう言ってサヨの頭を撫でていると、アサが物陰でコソコソとクレハとサヨを見ていた。
プライドの高いアサはうまくクレハに甘えられないのだ。
気配を消していたはずのアサだったが、クレハにはすぐに気づかれてしまう。
「アサ、アサもこっちにおいで。アタシはアサともっと仲良くなりたいんだよ」
アサはそれを聞いて笑みを抑えきれずクレハに近づく。
「く、クレハがそう言うなら、仕方ないわね」
ヨルはというと、ヨルは孤児院の小さな子供たちに勉強や魔術を教えていた。
「なるほど、ヨル兄さんが魔術の発動をキャンセルさせていたのはそう言う原理だったのですね!でもそれだと魔力の流れは……」
「うん、いい所に気がついたね、それは……」
難しい話をするヨルに孤児院のちびっ子が群がっていく。
「ヨルにぃにあそんでー」
「ずるい!ヨルにぃーはボクとあそぶんだぞ!」
「ヨル兄ちゃん!本読んで!」
「ヨル兄!勉強教えて!!」
ヨルは彼らを見つめ、表情一つ変えずにメガネをクイっと動かした。
「私の体は一つしかないから、申し訳ないが全て同時にはできない」
そう言うと子供たちはシュンと肩を落とし残念そうな顔をする。
それを見てヨルが力強く答える。
「だが私の計算によれば、効率的に事を進めれば今日中に全ての目標を達成する事は可能だ。皆、いい子に待っているんだぞ」
ヨルがそう言うと子供たちは「わぁー」と歓声を上げた。
「ヨルにぃにだいすき」
そう言って一番小さな女の子がヨルにぎゅっと抱きつく。
相変わらず無表情なヨルであったが、ほんの少しだけ、口元はほころんでいた。
その後ウランの作戦は進み、教会の戦力は東西南北に分断された。
この時を待っていたと言わんばかりに、クレハはさらに動く。
「ブレーメンの子供たちは、全員うちが保護する」
そう。アサ、ヒル、ヨル、サヨはブレーメンの最強戦力であるが、もちろん彼ら以外にもメンバーはいるのだ。
ブレーメンのメンバーの派遣されるルートは、元ブレーメンが4人もいるのでほぼ特定できた。
クレハは彼らを無傷で捕まえ全員呪いと洗脳を解き、保護する事にしたのだ。
その作戦にはアサ、ヒル、ヨル、サヨ、全員が協力したいと申し出てきた。
クレハは最初は断ったのだが、4人の熱意に負けて許可した。
4人の協力もあり、なんとブレーメンのメンバー全員を捕まえることに見事成功した。
無事に洗脳も呪いも解け、合計13人もの子供がクレハの孤児院に増える事になったのだ。
いきなりこれだけの子供が増えれば、元々あまり経済状況の良くないクレハの孤児院の経営状態的は厳しいはずだった。
しかしクレハは心底楽しそうに笑っている。
「こんなに家族が増えたよ!嬉しいねぇ、賑やかになるねぇ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます