第121話 作戦①

情報作戦の効果は抜群だった。

元々今の教会に不満を持っていた貧民層がいるのも大きかった。


教会の様子を逐一観察もしていたが、職員の数は明らかに減り、残った職員も問い合わせに忙殺される始末。

なんと警備兵までもが、今は市民対応をさせられているという。


ウランは孤児院でふーっと深く息を吐いた。


「良かった。ここまでは計画通り」


するとその数日後だった。ジェイドに対する指名手配が教会が出たのだ。

指名手配の情報が出てから、状況が一変するのは早かった。


何せ10億という途方もない額だ。

それどころか有力な情報にも報酬が支払われるという。

教会に苦情を言っていた者たちは、目の色を変えてジェイド探しへと移行した。


短絡的な彼らの行動は実に単純なものだった。


「ジェイドを出せ!」


そう言ってゴチンコのギルドに石が投げ込まれる。

ジェイドはゴチンコのギルドに所属しているのだ。人々がそこに殺到するのは当然の事であった。


ウランはアリサからの報告で、ゴチンコのギルドが襲撃にあった事実を伝え聞いた。


「そうですか、分かりました。また報告お願いします」


そう言ってアリサとの会話を打ち切り、また一人ふーっと息をつく。


「ここも計画通り。さぁ、第2段階に移りましょう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る