第31話 普通の女の子に戻るってマジですか?
アリス視点
「も、もう一度よろしいですか!?」
はぁ?この受付の女ちゃんと耳ついてんのかしら?
「だ、か、ら!アリスちゃん『鷹の爪』辞めまーす♡何度も言ってんでしょ」
受付の女の子は氷魔法で凍らされたみたいにピタッとフリーズしている。
「え、うぇ、ふぁ、あの、はい、でも、でも!でも!アリスさんが辞めるって、ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと上に確認させて下さい」
何回噛むのよこの娘。
「確認もなにも、冒険者がギルドを辞めるのは自由でしょ。私別に鷹の爪と専属契約結んでないから」
「か、考え直していただけませんか?わ、私クビにされちゃいますよ!」
この娘、今にも泣き出しそうで、捨てられた子犬みたい。
「うふ♡あなたの泣きそうな顔、かわいいわね」
そんなやりとりをしていると、どこから話を聞いていたのか、わらわらと私の親衛隊数人が集まってきた。
「あ、アリスさん、鷹の爪辞めるってマジですか?」
「本当本当、最初は手紙で辞めるって書いて、それだけで終わりにしようと思ってたんだけどね♪一応Eランクの頃からお世話になってたわけだし、義理たてて直接来てやったわけ。アリスちゃんやっさしー♡」
「な、なんでですアリスさん!」
「もうイベントやらないんですか!?」
なんかめちゃめちゃ動揺してるわね。
「ごめんねみんな♪私もう、あなたたちみんなのアリスちゃんじゃないのよ♡」
「ま、まさか!あのルーキー大会の……」
「はーい♪私アリスちゃんは、愛しのジェイド様がいるゴチンコのギルドに移籍しまーす♡」
ざわ…
ざわ…ざわ…
「お、俺も鷹の爪辞める!俺もゴチンコのギルドに行く!」
「お、おいお前正気か!アリスちゃんは他に好きな人できちゃって、そいつを追ってギルドを出てくんだぞ、ついてったってお前の事なんか」
「バッキャロー!!!!」
あら、なんか殴り飛ばされてる。穏やかじゃないわね。
「な、なにすんだ」
「お前のアリスちゃんに対する想いはそんなものだったのかよ!」
「え?」
「俺たちアリス親衛隊にとって一番大事なのは、アリスちゃんの幸せだろ!アリスちゃんの恋を全力で応援する、それがこれからの俺たちの仕事じゃないのか?」
「……アバッキオ……お前ってやつは……すまん、俺が間違ってた。目が覚めた!俺も鷹の爪……辞めるぜ!」
「隊長……」
「副隊長……」
こいつら隊長と副隊長だったの?知らんかった。
「他の皆んなは無理にギルドを移籍する必要はないから。これは俺とアバッキオが決めた事だ、みんなは……」
「なに水臭いこと言ってんだよ!」
「その声は!アリスダンスの振り付け担当!ロ、ロナウド!」
「死ぬときは一緒、そうだろ相棒」
「お、お前は!手先が不器用で、一人だけアリスグッズが作れなくて泣きながら二徹した、ブランド!!」
なんかドンドン増えてくんですけど。
私の親衛隊ってこんなにいたの?
「俺たちアリス親衛隊251名は、全員鷹の爪を抜けてゴチンコのギルドに移籍する」
「みんな……」
251人もどこにいたんだこいつら、ゴキブリかよ。
アホくさ。
もうほっとこ。
「ま、とりあえず辞めるって事で、バイバーイ⭐︎」
「ま、待って!考え直して下さい!アリスさーん!!」
「受付のお姉さん。251名分の鷹の爪離脱手続きお願いします!」
「う、嘘でしょ……」
この日からアリス鷹の爪離脱の噂は王都以外にも徐々に広がっていき、鷹の爪崩壊の大きな要因になるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます