第6話 クソ幹部
ゴールズ視点
あのウランの野郎が本部に来ているのを見て俺はチャンスだと思った。
俺はあのいけすかないウランと言う野郎が大嫌いだ。
仕事が暇なので、いつも俺は地方の支部に視察と言って出張に行く。
幹部は出張料がかなり出るので出張は月に何度も行く。
田舎の支部にも結構かわいい女の子がいるもんだ。
そんな女に接待をさせ、気に入った子は後で秘書として本部に移動させる。
そして一通り楽しんだ後は指摘事項をいくつか見つけ、簡単な報告書を書く。
指摘事項がない時は、こっちで無理矢理でっち上げる。
そうやって地方支部の職員の給料を下げてやる。
こうやって鷹の爪の経費を削減してやる。
これが俺の大切な仕事だ。ガッハッハ!
しかしウランが仕切る第49支部に行くと、指摘事項が一切ない。
きっとうまく取り繕っているだけに決まっているのに、俺は指摘事項を見つけられない。
純粋な俺は狡猾なあのウランにいつも騙されているのだ!
なんて卑怯な奴!
俺はそーゆー卑怯な行いは許せないたちなので、無理矢理難癖をつけて、給料を下げでやろうとするのだが、
「実はそうおっしゃると思っておりまして」
とあのウランは言い、
「これを用意しております」
と俺の難癖を潰すようなアイテムを必ず用意していやがる。
俺は純粋で、人を疑わないやつだから、
「おお。そうか。それならまぁいいか」
と言って、結局指摘事項は無しになってしまう。
絶対にいつかウランの野郎はクビにしてやる。
しかし49支部はかなり業績が良いらしい。
あんな、鷹の爪の支部の中でも1番小さい支部なのに、本部と並ぶほどの業績を収めているらしい。
信じられない!何か汚いことをやってるに決まっている!!
支部の成績が良いせいで、俺はうかつにウランをクビにすることができない。
それどころか、あの支部にいるエルフの巨乳娘を秘書にしようとしたが、
「ウラン部長が、それはできませんと言っているので」
と言って初めて人事に断られてしまった。
ウラン、職権を私的に使いやがって!とんでもない野郎だ!
49支部の給与明細を盗み見たことがあるのだが、本部の職員よりかなりもらっている。
これはもう何かしらの不正をしているか、幹部の誰かが贔屓しているとしか思えない!
俺はそういう不正とか、贔屓とかが大嫌いなので、ここは一肌脱いで、正義の鉄槌を下してやろう。
ウランがいない時なら、簡単に指摘事項を見つけることができる。
できれば職員の1人や2人クビにする。
そしてウラン部長の立場が弱くなったところであのエルフを俺の秘書にと、無理矢理異動させる。
それが俺の計画だ。
大体なんであんな弱小支部の業績がいいんだ!
常駐する冒険者の数も多くないし、ダンジョンも4つか5つしか周りになかった気がする。
そんなダンジョンも少ない、人も少ない場所で業績が上がるってありえないじゃないか!
冒険者の腕が異様によく、英雄クラスが揃っているだとか、ダンジョンにいる魔物が恐ろしく強く、ドロップするアイテムの質が良いなんて事がない限りありえない。
そんな奇跡みたいなこと、あるはずがない。
おそらく49支部は近くに山も多いので、魔石が取れる隠れ鉱山があるのだろう。
魔石の持ち込みは一般人にも許可されているので、49支部はその買取で儲けているのだ!
楽して稼ぎおって!ずるい奴らだ!
49支部に行ったが、相変わらず指摘事項がない。
面白くない。
俺はエルフの体を見つめ、ゴクリと唾を飲む。
くそー!もう少しでこの女が俺のものになるって言うのに!
俺は最後の手段に出た。
トイレに行くと行って、ギルドの中を勝手に歩く。
絶対に難癖を付けてやる!!!
そして見つけたのだ。仮眠室に寝ているあいつを!
俺は完璧に仕事を終えて、意気揚々と本部に帰った。
その寝ている男をクビにしたばかりにとんでもない目にあってしまうことを、ゴールズはまだ知らない。
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