tender
彼への対応で涙が滲む
自分の力に限界を感じて
直接言えたならいいのだろうが
“怖くて”俺には言えない
間に入ってくれる人がいたら
でも、今、ここには
間に入ってくれる人はいない
泣きそう
そしてきっとあなたも俺への対応に限界を感じているのだ
差別を社会の問題だと捉えず思いやりの話だと思っているから
でも、優しさには限界があるから
“言える”人は少ない
みんな“言えない”
だから例えばネットで鬱憤を晴らす
そしていつの間にか分断社会に
話を、してはいないから
自分の心としっかり話し合っていないから
見せかけの思いやりで相手と接して
それではいつしか限界が来て泣きそうになって
または怒る
“俺は同性愛者を排除も差別もしてない”
その割には同性婚成立を応援したりはしない
確かに個人的な人間関係の上では“親切”だろう
でも、カミングアウトしにくい社会自体は動かない
今後、性別を問わない結婚が可能になったら
あなたは“おめでとう!”と祝うのだろう
むしろ消極的だったくせに
“このまま”がいい、と、思っていたのにね
差別について無知で構造について無理解で
だから個人的な性格としては同情的な気持ちでいる
だからこそふとした発言が問題発言になる
そしてしっかり取り組んでいる人から批判殺到
それがまるで番人のように世間には映る
実際は社会構造を無視しているからなのだが
とにかく“せっかくの味方を敵に回した”と
差別を“優しさ”で解決できると思ってるから
その関係性はとても弱く、脆く、扱いにくい
触ると痛いし触れると人の心を傷つける
それでも言いたいことがあるのは変わらない
だから陰で発散するばかり
で、解決には至らない
“言いたいこと”とはなんだろう?
それはとてもシンプルな幼いこと
それは“なぜできないんだ!”
“どうして俺の言う通りにできないんだ!”
みんな、そうみんなが泣きそうになってる
どうすればいいかわからなくて
自分が無知であると気づきたくなくて
自分が大切な人を差別している、という現実を見たくなくて
俺もあなたも彼もみんな限界が来ている
今まで見えなかったもの、見ないようにしてきたものが
“見える”ようになって別のやり方をしなければならなくて
それは“このまま”とは全く異なるやり方になることで
それを“怖れて”いるのは、俺も同じだ
差別は思いやりの問題ではなく社会構造の問題
人間はそもそも、もともと、バラバラ
人生いろいろで物事はケースバイケース
それがわかれば次のステップへ進めるだろう
進めるだろうがそれはたぶんゴールじゃないんだ
単一性でも多様性でもない“何か”があるはずなんだ
たぶんもっといいやり方は絶対にあるはずなんだ
そのためのステップを徐々に踏めればいいと思う
その次のステップへ––––
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