第87話 決して許してはいけないものに出会ってしまった

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ミッション達成!タルタロスの羽衣と血塗られた魔法記録書を手に入れた!

タルタロスの羽衣

効果:防御+150 魔防+500 闇属性のダメージを吸収して攻撃ダメージに変換する。

血塗られた魔法記録書

効果:読むと血塗られた魔法の歴史を知り、魔法の威力が大幅に上がる。

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「読もう読もう」

「マテリ! 後にしてくれないか!」

「は? 本気で言ってます?」

「いや、あの……。後にしてほしい。お願いだ」


 クリード王子がどうしてもというから読書は後にしよう。

 で、私のミッションライフを止めるほどのことがあるのかな?

 そうか。まだなんかいたんだ。

 このズガイアだっけ。

 さっきから攻撃しまくってるのに全然倒れないんだけど。


「この私も舐められたものだな。そこのマテリとかいう小娘、おそらくはかなり有用なスキルをぐああぁっ!」

「うーん、全力なんだけどなぁ」

「だから……舐めるなと言っている! ダークキネシス!」

「お?」


 体が勝手に動いて、頭が変な方向に曲がろうとしている。

 うーん。新感覚、マッサージにいいかも?


「ミリータちゃん。フィムちゃん。どう?」

「あー、肩が凝ってたからちょうどいいべ」

「ギプスをつけている感覚ですね! でもちょっと力が弱いかな?」


 確かに。

 フィムちゃんが言う通り、これじゃ刺激が弱い。


「ズガイアさん。もう少し強めにお願いできる?」

「ぬぉぉ……バカな……。あのレベル50を超えるサイクロプスですら身動きが取れぬダークキネシスが……!」

「ほら、がんばって!」

「おのれぇーーー! 魔力……最大出力!」


 お、いいね。

 程よい刺激になるし、体中がほぐされていく。

 これ魔法だよね?

 私はアイテム頼りだし、フィムちゃんは魔法剣使い。

 ミリータちゃんは魔法を使えないから、一人くらい純粋な魔法使いがほしいかもしれない。

 なんて気持ちよくなっていたら、クリード王子がズガイアに剣を突きつける。


「ズガイア。降参しろ。ここにいるマテリ達はお前が勝てる相手じゃない。それに古城の外のアンデッドも」


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ミッションクリア! 以下のアイテムを手に入れた!

亡者の骨×2000、亡者の包帯×1300

亡者の牙×700、亡者の布×400、亡者の十字架×240

亡者の欠片×330、亡竜の角×40、血の糸×20

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「ワンコありがとぉぉーーーーーー!」


 手元にたくさんの報酬達が現れた。

 もうね、この瞬間のために生きてると言っていい。

 なんかもう後はどうでもいいかな。

 例えばこの亡者の骨とかさ、頬ずりしたくなるよ。

 すりすりすーりすりすりすーり。


「いいよぉ……しゅきぃ……」

「おい、貴様……」

「あはぁっ……」

「貴様ァアアァー!」


 なに、うるさいな――。


「ダークキネシスッ!」

「あ、ほ、報酬が!」


 ズガイアの魔法のせいで、せっかくのたくさんの報酬が散らばってしまった。

 あの、ねぇ?


「下らん。そんなものであれだけのアイテムがばらまかれたのか……。マテリ、お前は魔道士協会によって完全にマークされるだろう。危険度はSSSトリプルエスだ」

「あーあ……」


 私達で急いで広い集めようとしたら、また散らかってしまった。

 ねぇ?


「そしてお前は知ることになる。なぜ魔道士協会がこの世界に根を下ろしているのか……。それが大樹となり、世界と密接な関係にあるのか。その一端がこの私だ……見るがいい」


 報酬ちゃん、報酬ちゃん。

 かわいそうに。私が今、拾い集めてあげるからね。

 ポーチに丁寧に収納してあげるからね。


「マテリ! ズガイアは魔道真解をする気だ!」


 ズガイア、ね。

 うん、わかった。ズガイアね。


「刮目せよ! これが選ばれし魔道士の到達点……魔道真解ッ! ノーライフキングッ!」


 ズガイアから黒いオーラみたいなのが放たれて、それが城の外にまで漏れ出た。

 風圧を受けた後、室内が一気に破壊される。

 足場が崩れて、私達は咄嗟に安全地帯にまで走る。


「ついに解放したか……。僕も実物は初めて見る。マテリ、あれが魔道士の最終到達地点だ。その姿は自らの魔法の極致とも言われていて、人知を超えた力を持つ」


 そこにいたのは古城の室内よりも大きくなったズガイアだ。

 大きい王冠をかぶったドクロの王様。ダークリッチとでも呼べばいいのかな?

 どうでもいいや。


「矮小なる者達よ! 今、ここに死の世界……冥界の王が顕現したと知れ! 我は死の王……ノーライフキングなり!」

「なんだあれは!」

「で、でけぇ!」


 古城が壊れたせいで、外にいる冒険者や騎士達がダークリッチを見上げている。

 どうでもいい。


「死を……我を畏怖せよ! 今より、貴様らの命は我が手中にある! 死を司るノーライぶあぁわっふぁぁぁッ!」

「うるさい」


 報酬達を散らかしたドクロにファイアボォをぶち込んでやった。


「何がノーライフさ。私のミッションライフを邪魔しやがって……本当に……ほんっとうに。本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に……ッ!」

「マ、マテリが……キレた。ズガイア! 悪いことは言わねぇ! とっとと謝るべ!」


 謝って許すとでも?

 許すわけないじゃん。許さないよ?

 許さない。許さない。許さない。

 許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない。

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