第4話 コテージのひとときはたまらない

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ミッションクリア! マスターナイフを手に入れた!         

効果:どんな魔物でも解体できる。

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「うむ、良き!」


 コテージの中には説明通り、一通り揃っていた。

 私は服や下着をその辺に脱ぎ捨てて、一目散に風呂へ向かう。

 ボタンを押すと一瞬でお湯が溜まる仕様らしく、私はたっぷりと浸かった。


「まず30分は浸かる! 温まった後で髪と体を洗って仕上げに浸かる!」


 体の芯から温まるとはこのことだ。

 さっきまで死闘を繰り広げていたんだから、今との落差はすごい。

 そういえばあの猪に突進されてめちゃくちゃ痛かったけど大丈夫かな。

 ジンジンと痛むけど死ぬほどじゃない。

 でもどこか痛めてるかもしれないし、医者もいない。

 コンテニューなんてないし、死んだら終わりだからさっきの行動は軽率だった。

 たまたま勝てたからいいけど、もしやばいのが来たらと思うと――。


「なんとかなったからよし!」


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新たなミッションが発生!         

・マスターナイフで魔物を解体する。報酬:ヒラリボン

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 外にいるヘビーボアを解体するか。

 このスキル、手に入るアイテムの効果が直前までわからない。

 欠点といえば欠点だけど、逆に言えば手に入れる楽しみがある。

 異世界の皆さんのスキルがどんなものかわからないけど、これで文句を言ったらバチがあたるよ。

 風呂から上がってさっそく外に出てヘビーボアの解体に挑む。

 マスターナイフを握りしめると――。


「う、うぉぉーん!?」


 手が勝手に動いて、スムーズに解体ができる。

 頭の中に一通り解体のやり方が入ってくる感覚だ。

 あの巨体を解体するのにものの数分、部位ごとに綺麗に切り分けられた。


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ミッションクリア! ヒラリボンを手に入れた!         

効果:防御+15 速さ+40

   回避率が大きく上昇する。

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「リボンか。私に似合うかなぁ?」


 誰に気を使うわけでもなし。

 迷わずリボンを身に着けてから、ヘビーボアの肉を調理した。

 生まれてこの方、料理なんかやったことないけど焼くだけなら簡単だ。

 ジワジワと音を立てて、肉汁がフライパンの上に溢れてくる。

 猪の肉は元の世界でも好まれている食材だけど、果たして味はいかに!

 できあがったヘビーボアのステーキは実に香ばしそうだった。


「んぅっ! んっ!」


 一口、噛むと程よい弾力性を感じる。

 調味料なんか使ってないのに、塩加減さえ感じられる肉の旨味だけでおいしい。

 心配していた癖や臭みがほとんどなく、あっという間に平らげてしまった。

 残った肉はコテージの保冷庫に保管しておけばいいか。

 風呂でさっぱりして、お腹がいっぱいになったところで私はまた冷静に考える。

 ヘビーボアの突進はたぶんステータスのおかげで助かった。

 となると、火宿りの杖がなくてもある程度は戦えるという仮説が成り立つ。

 じゃあ剣術でも学ぼうか?

 ここは慎重になる必要がある。

 いや、決して訓練がだるいとか言ってるんじゃない。

 時間をかけるべきか? と考えると、もう少し様子を見たほうがいいのかな。

 クリア報酬でこの先、火宿りの杖みたいなお手軽アイテムが手に入るなら必ずしも訓練の必要はない。

 この辺りはやっぱりこの世界の人達を見て判断するべきだ。

 あのお城の兵士はいかにも強そうだったけど、他の人はどう戦っているか。

 兵士と考えたところで思い出したら腹立ってきた。

 あの王様、今の私のスキルを知ったらどう思うんだろう?

 戻ってこいとでも言うのかな? 今更、遅い。


「もうね、私は止まらないよ。ミッションある限りね」


 今日のところは本当に疲れた。

 パジャマなんてものがあるはずもなく、私は下着のままベッドに潜る。

 明日のことは明日の私にパスしよう。


                * * *


「出口がぁーーー!」


 あった。割といい加減にさ迷ったのにこれは奇跡です。

 魔の森とかいうひどい場所から出た先は大きく広がる平原だった。

 とはいっても、人が歩いた道みたいなものがあるからあれに沿って歩けばいい。


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新たなミッションが発生!         

・ゴブリンを1匹討伐する。報酬:攻撃の実

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「よしよし、ゴブリンちゃん。かかってらっしゃい」

「ごぶぶ」

「はい?」


 ゾロゾロと歩いてきたのはなんと10匹。

 某RPGでも序盤でスライムが画面いっぱいに並ぶと全滅に及ぶ。

 1匹でいいんですよ。1匹で。


「ファファファファファファファファファファイアボボボボボボボボボォーーール!」


 火宿りの杖を振りながら逃げ打ちした。

 戦うと逃げるのどちらかの選択肢しかないRPGとは違う。


「ごぶでふ!」

「なんか言った!?」


 気のせい。

 このゴブリンとかいう魔物はスライムより強いらしく、火宿りの杖の一発じゃ倒せない。

 そうなれば当然、反撃を受けるんだけど私は身軽にそれをかわした。

 ヒラリボンのおかげで当たる気がしない。


「ごぶればはぁッ!」


 最後の一匹が汚い断末魔の叫びをあげた。

 でもこれだけ動いたのに不思議と息切れしていない。

 ステータスアップのおかげかな?


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ミッションクリア! 攻撃の実を手に入れた!         

効果:攻撃が+10される。 

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「今回はちょっと割に合わなかったかなぁ」


 こういうこともある。

 気を取り直して、私は道に沿って歩みを再開した。

 このまま歩けばどこかの町に着くかもしれない。

 ミッションは私の意思で発生しないから、とにかく歩いていろんな場所に行くしかなかった。

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