第3話 スキル中毒になりました
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名前:マテリ
性別:女
LV:14
攻撃:107+13
防御:90+1
魔攻:58
魔防:40
速さ:112
武器:火宿りの杖
防具:スウェット
スキル:『クリア報酬』
称号 :『捨てられた女子高生』
『スキル中毒』
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「はぁ……はぁ……しゅごい……とまらないよぉ……」
私、マテリは変な森の中で快感を得ています。
気持ちよすぎてやめられません。
次から次へと与えられるミッションをこなしていたら、ステータスアップアイテムがかなり手に入る。
ミッション内容はその都度、変わるし狙っているアイテムが手に入るかどうかはランダムだ。
でもやればやるほど上がる数値に私はすっかり虜になっていた。
余計なお世話チックな称号が一つ増えたけど、何かしらに影響しないことを願う。
「それで、出口はどこ?」
ちゃんと森を抜け出そうとしたよ?
でもね。ミッションが与えられて視界の端にスライムがいるとつい、ね。
スライムはいいんだけど、リトルゴーレムとかいう魔物はちょっと危なかった。
背丈は私とほぼ変わらないんだけど、人型の岩が襲ってくるのはなかなか怖い。
火宿りの杖でなんとか倒せたけど、私の予想としては物理防御がすごい高い系の魔物だと思う。
その過程で考えたんだけど、私のステータスとレベルについてだ。
レベルは魔物を倒すほど上がっていくのは間違いなくて、これに応じてステータスが上がる。
だけど計算してみると悲しいことに、私のステータス上昇率はそんなに高くないように思えた。
この世界の基準がわからないから結論は出しにくいけど、大体1レベルにつきステータスが1上がるかどうか。
下手したら何も上がらないステータスもあるし、某シミュレーションRPGの老騎士みたいな成長率だった。
どうやら私は勇者でも何でもない。
ただの女子高生であって、これでステータスがグングン上がるようなら逆に不自然とも言える。
さすが体力テストが中の下だけあるね。
つまりこのステータスはほぼステータスアップアイテムの恩恵だ。
まぁでも。ステータスですべて決まらないと信じてるし、スキル込みで考えれば私はたぶん強キャラだと思う。
それにもう一つ、レベルの恩恵を発見した。
まだ確定じゃないけど、このレベルはおそらく敵との戦いに大きく影響している。
私のレベルが高ければ、敵に大きくダメージを与えられるからだ。
例えば検証してみると、ほぼ同じステータスでもレベルが上がればリトルゴーレムを一撃で倒せるようになった。
それに不思議と敵に対する恐怖心も薄れたし、余裕をもって戦える。
たぶんだけど魔物にもレベルがあって、その差が開いているほど何らかの補正がかかるんだと思う。
つまり私よりレベルが高い相手に挑むと逆に不利になる。
まさにレベルが違うというやつを味わうかもしれない。
そんな検証はいいとして。
「森を脱出しよう」
何も食べてないしフラフラだ。
これで出られなかったらどうする?
RPGのキャラみたいに日付が何度変わっても戦い続けられるわけじゃない。
空腹と体力は死活問題だ。
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新たなミッションが発生!
・ヘビーボアを討伐する。報酬:魔法のコテージ
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「う……うおおぉぉぉーーーーーーーーーーーー!」
きったぁぁぁんじゃないのこれぇ!
食べ物はともかく休める場所が手に入る!
だけど、どんなアイテムかは貰ってみるまでわからない。
ヘビーボアで私に光が差す!
「ヘビーボアかかってこぉぉーーーーーい!」
森の中で叫ぶなんて自殺行為だ。
だけど一刻も早くミッションを達成したい。
こいこいこいこい! 火宿りの杖で焼き殺してやる!
「あ、あれ?」
森の奥から何かが走ってくる。
まさか呼んだからってすぐ来てくれたわけじゃないよね。
それにあれは大きすぎる。普通に木とか突進でなぎ倒してるんだけど。
「や、ば、ば……」
逃げ腰になった私に猛烈な突進をかましてきた。
全身に激痛が走って地面に転がってしまう。
「いっだぁぁい……」
現れたヘビーボアは堂々たる角を揺らして、私を踏みつぶそうとしてきた。
とっさに転がって回避すると猪の足が地面を踏みぬく。
これ、勝てるやつ?
「ファイアーボール! ボールボールボールボールボールボール! ボォォォーーーール!」
ヘビーボアにありったけの火の玉をぶつける。
よろめいているけど、なかなか倒れてくれない。
手を止めるな。止めたら私が死ぬ。
この体力はコテージできっと回復できる。
「ボォーーーーーーーーールゥゥーーーーーーーーーーーーー!」
ヘビーボアがようやくぐらりと揺れて巨体を横倒しにした。
ピクピクと少し痙攣するヘビーボアに私はダメ押しの追撃をかます。
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ミッションクリア! 魔法のコテージを手に入れた!
効果:どこでもコテージを展開できる。
厨房、風呂、ベッド完備で何度使ってもなくならない。
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「やったぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
私は叫んだ。
手にしたのは小さなコテージのミニチュアだ。
持ち運び自由でこれをどう使うのかはわからないけど、今は叫んだ。
これで今日のところは休める。
今の私に食料問題という概念はない。
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新たなミッションが発生!
・魔法のコテージを使う。報酬 マスターナイフ
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この優しいミッションはご褒美かな?
手に入ったオアシスに対する喜びを噛みしめて、私はコテージをセットした。
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