第59話 浸透勢力
スラム街の子供、カルタスに仕事を依頼してから5日が経った。
その間、午前中はコロンとイースを連れて街の外で射撃訓練をして、午後は商店や市場を巡って買い物を楽しんだ。もとい、物資補給だ。
危機感が足りんですと?ごもっとも。
でもさぁ、アスランの商会にいると、剣聖様やイケメン騎士様に絡まれそうなので、出来る限り一緒に居たくない!
君子は危うき(本当に危ないオッサン達なのだ!)からは、全力で逃げるモノだ!
そのかわり、フィンさんも同行した。ここ重要だからね!
正直、フィンさんたちと合流した今、イースに銃器の訓練をする必要があるのかと思うのだが、イースもTAC-50を撃ちたいとゴネるのでこれまで通り一緒に訓練している。
そしてその日、城門外での射撃訓練を終えてカムランの街にJLTVで戻ると、入門税を払い終えて車に乗り込もうとした際、門の内側で座り込んでいるカルタスを見つけた。
一瞬カルタスと目があったので、軽く頷くとカルタスは黙って人混みに消えて行った。
▽▽▽
「ダイチのおっちゃん!」
アスラン商会の裏門から入って中庭にJLTVを停車させると、裏門からカルタスが顔を出して呼びかけてきた。
「誰がおっちゃんだ!聞き捨てならん!俺はまだお兄ちゃんだ!」
「ボク、それは無理があると思うけど。」
「あら、イースちゃん。ダイチさまは十分素敵なお兄ちゃんよ。」
「・・・」
「何か言えよ、カルタス。」
「いや、何か別嬪なお姉ちゃんばかりだから、俺、ちょっと・・・」
「まあ、男として気持ちは分かる。だが、ウチの子に手出すなよ!」
「えー!コイツらみんなダイチのスケなのか!すげー、これがハーレム・・・」
「違うし!」「うげっ!」
勿論鉄拳がカルタスの頭に炸裂した。
▽▽▽
「それで、見つけたか?」
中庭のテラスにカルタスを連れて来て、話を聞いている。
そしたら、ロイタール達のシゴキから剣聖様も抜け出してきたのを見て、案の定カルタスが本気でビビっていたが、それ以上にゴンを見て目玉が飛び出すほど驚いていた。
その間、ゴンのインベントリからPumaIVの航空撮影を元にゴンに描かせたカムランの街の正確なA1サイズの住宅地地図を取り出して、石造りのテーブルに広げてみんなに見せた。
「それでカルタス。どの建物に潜伏しているか、この地図で指差せるか?」
「すげーよ、兄貴。この地図ってのこの街にピッタリ一致するよ!
エッと、ここがアスラン商会だから・・・・あった!ここと、ここと、ここと・・・・あと、ここと、ここと、ここと、ここ!全部で7カ所だよ。どうだぁ、すげぇだろ~!」
カルタスが指差した建物は、全て街はずれの倉庫だった。
「兄貴ってなんだよ。でも、まあよくやった、カルタス!これが約束の報酬だ。今晩確認するから、明日残りの報酬を取りに来い。」
銀貨7枚をカルタスに渡して、ヤツの頭をガシガシ撫でてやった。
「痛てーよ、兄貴ぃ。痛いって・・・へへへ。分かった。じゃあ明日また来るよ!ひゃっほ―――い!」
カルタスは飛んで帰って行った。
▽▽▽
その晩遅く、俺たちはアスランの応接室に集まった。
集まったのは、剣聖様、イケメン騎士のエトワル、フィンさん、ロイタール、ディーン、ワルレン、エルフのエルドリンク、ロコン、イースと俺。それから、何故か猫人族のキャシャさんが参加していた。
・・・彼女も神聖護国騎士団だった。
「やあ、エトワル君。ご機嫌は如何かニャ?」
「キャシャー。団長から隠れるとか言ってなかったか?さてはまた酒に釣られたな?この
「なんの事かニャ?私はいたって情け深い女ニャ。団長が上等な酒が手に入ったから、一緒に飲みたいと言うから付き合いに来たニャ。
こんなムサイ男達と飲むより、私みたいに魅力的な美女と一緒に飲みたい気持ちはよく分かるニャ。」
たしかに魅力的な“ばでー”でいらっしゃる・・・ふげっ!
「「むー」」
イースとコロンに脇腹を抓られてしまった。
「それじゃあ皆、これを見てくれ」
テーブルの上に置いた住宅地図の上に、A4サイズのタブレットを置いて皆に見せた。
タブレットには7カ所の潜伏所に飛ばした7機のブラックホーネットからの映像が順番に切り替わって写し出されている。
「ほう、闇夜の街がこんなに明るく見えるとは、大したものだの。」
「そうかニャ、私にはもっと良く見えるニャ。」
一番近くの潜伏倉庫に到着したブラックホーネットが、レンガ壁の上にある、扉が空いている明り取りの窓から中に潜入した。
「中もまるわかりですね。こりゃ密偵が楽出来ていいや。ウチでも欲しいですよ。」
「ロイタールの裏稼業の事は置いておくとして、この倉庫には7人の武装した男がいますね。槍も3本ありますね。弓と魔法使いは確認出来ませんね。」
イケメン騎士が素早く戦力分析を行った、
7カ所の潜伏先にはそれぞれ7~15人程の男達がいる事が分かった。
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