第26話 コロニー殲滅戦

 「コロン。M320 グレネードランチャーで40mm HE弾をジャンジャン撃ってくれ。巣穴と組織的抵抗を試みる敵を優先して狙うんだ。」


 「はい、ダイチさま。」


 コロンはコクリと頷いた。


 「ゴンはブラックホーネット5から10番機で索敵を厳に行ってくれ。ゴブリンの巣全体と俺たち周辺な。

 それと弾薬補給もたのむぞ。」


 「ピッ」


 「俺はM250で接近してくる敵を倒す。コロンも接近してくる敵に気づいたらMP7で倒してくれ。」


 「はい」と返事したコロンを見つめる。目に自信の光が宿っている。

 大丈夫だ!


 「よし、ミッションスタート!」


▽▽▽


 俺たちは進路前方に存在する3つのゴブリンのコロニーの内、俺たちに一番近くて規模の小さいな巣から殲滅する事に決めた。

 小さいとは言っても、2〜300匹位はいる。


 ゴブリンの巣に近づくにつれて、ゴブリンに遭遇する頻度が増えたが、コロンがサプレッサーを装着したMP7A2で仕留めて行った。

 全てヘッドショットで仕留めたんだぜぃ。ウチの子ギツネ天才かっ!


 

 そして目的の巣に到着した。


▽▽▽


 「よし、ミッションスタート!」


 バシュ  バーン!

 バシュ  バーン!

 バシュ  バーン!


 コロンの射撃が始まった。


 俺の右側でコロンは膝撃ちの姿勢でM320スタンドアローンを撃ちまくる。

 M320はバレルから外してグレネードランチャー単体として使える。


 そして俺とコロンの間で、ゴンが忙しくコロンに40mm×46 HE弾を補給している。


 間隔の広い巨大樹の間に散在しているゴブリンの巣穴が次々とHE弾で吹き飛んだ。


 ダダダ ダダダ ダダダ ダダダ ダダダ ダダダ


 巣穴からワラワラ飛び出してくるゴブリン達を、伏せ撃ち姿勢で構えたM250で次々に倒して行った。

 

 軽機関銃と言えども無闇矢鱈と連射できる物ではない。

 バレルが赤熱化しないよう発射レートを意識しつつ、3点バーストでゴブ共を仕留めていった。


 およそ10分程の攻撃で、だいたいコロニーの半分が吹き飛んだ。

 だが残り半分はコロンのM320の有効射程外だし、巨大樹の幹に隠れて射角が取れないので、此方から近づいて殲滅に向かわなければならない。


 「よーし、コロン。打ち方止め!

 これから巣の残りの掃討に向かう。M320グレネードランチャーはゴンに返して、MP7を装備するように。マガジンの残りはいくつだ?」


 「えっと、40発マガジンが・・4つです。」


 コロンはボディーアーマーに付けた弾納を手で確認しながら答えた。


 「ゴン、M250の200ラウンドマガジンを取ってくれ。」


 「ピッ」

 

 M250の200ラウンドのセミハードマガジンを新しいのに交換して、スリングに首を通して立ち上がった。


 「コロン。この方向に進むよ。コロンは右側をカバーしてくれ。俺は左側をカバーする。ゴンは後方警戒を頼む。」


 進行方向を右手で指し示しながら、簡単に作戦を説明した。


 「はい!」「ピッ」


 慎重にゴブリンの巣を進んで行った。

 途中、無傷だった巣穴にM26グレネードを放り込んで確実につぶして行く。

 するとさっきまで隠れていた生き残りのゴブ共がゾロゾロ出てくるのが見えた。


 タタタ タタタ タタタ タタタ タタタ タタタ・・・

 ダダダ ダダダ ダダダ ダダダ ダダダ ダダダ ダダダ・・・

 

 ゴブたちがバタバタと倒れる様子を見ていると、不謹慎だが”七面鳥撃ち”って言葉がよぎった。


 そう言えば以前に”turkey shoot(七面鳥撃ち)”って言ったら、”アイスマン”に”自分の勇敢な祖先に対して失敬だ!”と本気でぶん殴られたことを思い出した・・・。

 後でアイツから聞いた話だったが、太平洋戦争中日本軍の艦載機を一方的に撃ち落としたマリアナ沖海戦が由来だったそうだ。


 いかんな。集中しないと・・・


▽▽▽


 目につく限りの巣穴を爆破し、ゴブリンのコロニーの反対側まで到着した。


 「あらかた片付いたかな?」


 「ピ――!」


 すると突然さっき通り過ぎた中央の巣跡の建材が飛び上がって、中から半身をHE弾で焼かれ損傷した血だらけの大きなゴブリンが立ち上がって襲い掛かって来た。


 ゴンの警告ですぐさま後ろを振り返って、コロンの4.6x30mm弾と6.8×51mm弾のシャワーを浴びせた。


 Gu・・・uuuu・・・・


 俺とコロンの斉射を受け、大きなゴブリンは自分の血の池に倒れ込んだ。

 ここのボスだったのだろう。


 このコロニー最後のゴブリンが大地に沈んだ。

 

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