第10話 心のともしび

近況に本作に関連する兵器等の写真を紹介しております。


宜しかったら、ご参考にどうぞ。


それでは、本編をお楽しみください。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


◇◆◇コロン


 テュラナスは獲物の甲高い叫び声を耳にすると、極上の快楽を覚え興奮に心を震わせた。

 自分をこれ程喜ばせる獲物に愛いとさえ感じる程に。


 そして、この愛しい獲物の柔らかな肉に牙を突きたて、甘美な鮮血を味わいたいとテュラナスの片方の頭は思った。

 だか、もう片方の頭は獲物を嬲る快楽に我を忘れて、獲物の逃げ込んだ枝の束に夢中で爪を打ち付けていた。


 砕かれた枝と木の葉が辺りに飛び散った。


 双頭のどちらか一方のより強い衝動だけが、このテュラナスの体を支配できるのだった。


 その間、コロンは小屋の寝床に潜り込んで、自分の尻尾を抱いて、身を丸くしただ震えていた。


 「かあさま、かあさま、かあさま、かあさま・・・・たすけて」


 コロンはひたすら母を呼び続けた。


 『・・・恐怖に負けてはダメ。顔を上げて恐怖の正体を見定めるのです。

 愛しい娘よ、生きる事は戦いなの。戦って、そしてその手でつかみなさい・・明日を!

 コロン、生きて・・・』


 恐怖に震えたコロンの耳元に、優しくも力強い母の声が聞こえてきた。

 そして母の声は、絶望に挫けた少女の心に小さな種火を灯した。


 それは本当に母の声だったのかはわからない。もしかしたら幻聴だったのかもしれない。

 だが、大好きだった母の声は確かにコロンの心に届いたのであった。


 「かあさま・・わたし・・・」


 コロンは歯をきつく食いしばり、ありったけの勇気を燃やして立ち上がった。

 父の形見のナイフを手に。



 バン!


 「gGyaaaah−!」



 何かが爆発した音と共に衝撃波がコロンの体を震わせた。

 しかし、コロンはそのこともテュラナスの悲鳴さえ気付かずに、小屋の壁の枝越しにじっと一点を、自分の恐怖の源泉たるテュラナスを睨みナイフを両手で構えた。


 「ぅわあぁーーー!」


 コロンは壁に向かって突進した!


 粗末な木の枝の壁を突き抜け、スイッチヴレードの爆発で倒れているテュラナスの鼻先に父のナイフを全力で突き立てた!


 「mGuoooaaaa!」


◇◆◇大地


 空き地に飛び込むと同時に目に映ったのは、背中に深い傷を負った大きな双頭のクマが立ち上がって、足元に倒れた金髪の少女に腕を振り下ろそうとしている様子だった。

 クマの片方の頭の鼻先には、ナイフが刺さっていた。


 「させるか!クマヤロー!」


 立ち止まりながらM5を構え、セーフティを外して6.8mmの銃弾をクマの背中にフルオートで叩き込んだ。


 ダダダダダダダダダダダダダダンカチ


 20発のマガジン全弾を叩き込んだ。


 クマの怪物は長く息を吐きながら地面に倒れた。


 ♪テケテテッテテッテー♪


 【レベル差2以上上位の敵の討伐を確認しました。

クエスト:モンスターから少女を守れの達成を確認しました。

 レベルアップの条件が満たされました。

 八神 大地はレベル3になりました。】



 あっ、レベルが上がった。

 未だレベルアップの基準が分からんが、ステータス・ウィンドウを閉じて少女の無事を確認に向かった。


 M5のマガジンを交換しながら、クマの死体を迂回して倒れてる少女の側に歩み寄った。


 大きな耳とフサフサな尻尾・・・


 「ケモ耳少女、キター!」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

□SIG SAUER M5

元米軍関係米国人YouTuberの動画で、よくM5の重量増加とマガジンの装弾数減少を危惧するコメントを目にしました。

「コンマ1秒が生死の境目となる戦場で、M4の30ラウンドより少ないM5は確実にマガジンチェンジの回数が増加するので、それだけ兵士の危険が増加する」との主張でした。


読者諸兄のご意見をコメントでお教えください。


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