第9話 迫り来る恐怖と死と
◇◆◇コロン
「今日も一日頑張ったよ、かあさま・・・」
コロンは動物たちと一緒に、泉の畔の空き地に戻って来た。午後の森で採取して来た薪や食べ物を抱えて。
薪が濡れないよう巨木の根元に置いて、そして小鍋を持って水辺で牛蒡のような根菜と野草を洗ってナイフで切り、鍋に汲んだ水と一緒に入れて食事の用意をする。
その横ではアライグマが一緒にベリーを洗ってくれた。
水辺にはコロンを手伝おうと動物たちが集まってくる。
コロンは動物たちの優しさに、涙が零れそうになった。でもコロンは涙を堪えて、微笑みを浮かべながら周りの動物たちを優しく撫でて労った。
その時!突然動物たちが立ち上がって、神経質に鼻や耳をピクピク動かし始め、小鳥たちはバサバサと飛び立った。
空き地の空気が緊張に染まる!
「GuGyaaaa――!!」
「テュラナス!」
コロンは空き地に踏み込んできた双頭四腕のクマを一眼見るなり、身を翻して小屋へ向かって全力で駆け出した。
『コロン、良くお聞き。この森で
コロンは“暴君”の名を持つテュラナスを一眼見た瞬間魂が恐怖に震えたが、何度もくり返し聞かされた母の教えに体が反射的に反応した。
テュラナスは逃げ出そうとする矮小な
テュラナスは一瞬で獲物までの距離を詰めることが可能だったが、わざとコロンをゆっくりと追い立てて
コロンは辛うじてテュラナスの四本の腕から繰り出される斬撃を躱して、粗末な小屋の中に飛び込むことができた。
テュラナスは落ち枝の隙間に投げ込んだ獲物をいたぶる為に、わざと獲物を傷つけないよう組まれた枝の上の方を乱暴に壊した。
「きゃー!かあさま、助けてー!」
絶対的な暴力の奔流と厳然たる“死”の象徴を前にして、コロンは無意識のうちに母に助けを求めていた。
「かあさまー!」
コロンか声を振り絞って助けを求めたその時、天から黒い何かが一瞬で落ちてきて、テュラナスの背中で爆発した!
バン!
「gGyaaaah――!」
◇◆◇大地
ブラックホーネットからの映像を見た時、驚きのあまり心臓が飛び跳ねた。
正確な大きさは分からないが、二つの頭と四本の腕を持った巨大なクマが、金色の髪の少女を追いかけていた。
「ゴン!スイッチヴレード300!」
「ピッ」
ゴンは冷静に短く返事をして、インベントリからスイッチヴレード300+の発射ユニットを取り出した。
素早く筒型発射ユニットの脚を展開して地面に設置し、発射ユニットの下部を足で押さえながら発射ボタンを押した。
バシュ
俺は発射筒から上空に飛び出したスウィッチブレードを確認し、左腕のコントロールデバイスでIVASのHUDを操作し、ブラックホーネットの捉えたクマの怪物をロックオンした。
「ゴン!スイッチヴレード300+でターゲットを攻撃しろ!」
スイッチヴレードは遠隔操作しなければならない。
ゴンに攻撃を命令し、少女のいる空き地に向かって全力でダッシュした!
ゴンが遅れるが、人命!金髪少女の安全が最優先だ!
「間に合ってくれ!」
バン!
「gGyaaaah――!」
前方からスイッチヴレードの爆発音と、クマの叫び声が聞こえた。
あと少し!間に合え––!
IVASにゴンが表示してくれた、走りやすく且つ最適なルートを肺が痛くなるほど全力で走った!
・・・なんか自分でもビックリするくらい早いんだが・・・
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
□スイッチヴレード
ウクライナ戦争で一躍有名になったスイッチヴレードです。
Pumaと同じ会社の製品だったのですね。
下記リンクのサイトでPuma LEとSwitch Blade 300/600の映像が見られます。(CGですが)
参考サイト:
https://www.avinc.com/tms/switchblade
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