第8話 森の中でクマさんに出会った。そしたら子ギツネもいた
ブラックホーネットの哨戒で分かった事は、この巨大樹の森がとてつもなく広いと言う事である。
予備のブラックホーネット12番機を巨大樹の梢の上まで飛ばして、上空から森全体を把握しようとしたのだが、限界高度まで上げてやっと北と東に山脈を確認する事ができた。
「Pumaを飛ばせたらもっと広範囲に探索出来たんだがな〜。この森の中じゃUAVを離着陸させるのは無理だな。」
いくら歩兵一人で投げて離陸させることができるPumaでも、全長1.5m、翼幅3mあるグライダーなのだ。森の中で飛ばす事は難しい。
そして、もう一つ重要なことが分かった。
「遥か北と東に山脈があり、西はヴェロキラプトルのテリトリー。南はゴブリンの縄張り。
さて、正しい選択はどっちだ?
ってもう、南一択しかないでしょ!」
という訳で、俺は南を目指している。
かれこれ三時間ほど歩いた。
正確なローカル時間は分からないが、左腕のコントロールデバイスの表示ではそろそろ13時になる。
「ゴン、食事にしよう。国防軍の戦闘糧食III型をくれ。それと水も。」
「ピッ」
ゴンからレーションとペットボトルの水を受け取って、巨木の根元に腰を下ろした。
さっき休憩を取った時、ダメ元でゴンにお願いしたらペットボトルの水が出てきてビックリしたよ。
いつまで続くのかは分からないが、当面水と食料は”ゴンヱモン”から貰えそうだ。
これでぐっとサバイバルの難易度が下がる。
「おっ!白米に牛飯だ!日本食バンザイ!」
レーションを温めている間にマイクロUAVの偵察映像を確認した。
今直上に飛ばしてるのがブラックホーネット11番機。それで現在俺達の4方を哨戒中なのが5~8番機。1~4番と12番機はゴンの専用コンテナ内で充電中だ。残り9と10番機は予備だ。
ゴンには合計12機のブラックホーネットNanoIIが収納されている。
「ゴン。ブラックホーネット11番機の映像を映してくれ。」
「ピッ」
IVASのHUDにブラックホーネット11番機のキ〇ノン製カメラがとらえたカラー映像が映し出された。
「相変わらず木の先っちょしか見えないか・・・。ゴン、そのままホバリングして、ゆっくり360度回転させてくれ。」
木の絨毯に見える巨大樹の森の映像が、ゆっくりと回転し始めた。
「ん!ゴン、ストップ!前方に煙が上がってないか?大分距離が離れているようだが、ゴン、煙の上がっている方角をマークしてくれ。」
ゴブリンが火を使うかどうか分からんが、何れにせよ人(もしくはゴブ)為的な
「明るいうちにたどり着けるか分からんが、先ずは牛飯!牛飯~!久しぶりの和食だぜい!」
牛飯を十二分に堪能した俺は、食休みも取らず煙の上がっていた南南西を目指して足を速めた。
途中、当然の様にゴブリンが出没したが、1キロメートルほどの距離でゴン+
そのまま歩き続け、俺の時計で18時を過ぎた頃、森の中も大分暗くなってきた。
俺は一旦足を止めて、充電の完了したブラックホーネット12番機を再び上空に飛ばして、目的の方角を索敵させた。
「2キロメートル前方に空き地があるな。いまは煙が上がってないが、さっきはそこで誰かが火を熾していたのかな?
ゴン。この空き地に向けてブラックホーネット12番機を全速で飛ばしてくれ。
さあ、俺たちもそこに向かおう!」
ゴンはブラックホーネットを秒速60mの最高速度で先行させた。
俺は森の中を駆け出した。
といっても早めのジョギング程度の速さだが、森の中だと結構きつい!
US SOCOM(米軍特殊作戦軍)での訓練を思い出したよ・・・。
飯食ったばかりでなくて良かった。思い出しただけで吐きたくなってきたからな・・・。
「ピー!ピー!」
突然ゴンが警告音?を上げだした。
IVASのHUDに強制的にブラックホーネットからの映像が映し出された。
それは、ちょうど少女が枝を組んで作られた小屋?に飛び込んで行き、それを追っていた双頭でしかも四本腕のグリズリー(ぽい何か。クマなのか?)がその小屋を滅多打ちしている様子だった!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
以前、山のキャンプ場に家族と車で行った時に、山道で黒いラブラドールを見かけました。
山に捨てられた犬かと思って近づいたら、ラブラドールではなくてクマだと分かりました。
遠目にはラブラドールに見えたのですが、クマだったとは!
私もビックリしたのですが、クマも驚いていたのが目を見て分かりました。
クマも驚くのですね。
一瞬ですが、心が通じ合えた気が・・・
ぼくたち分かり合えるんだね、ララァ
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