第7話 MOSって美味しいの?

 目の前に突如現れた半透明に光っているウィンドウ。

 IVASゴーグルを外して肉眼でも見る事ができた。


 「やっぱ、ARじゃないんだな。」


 よく見ると日本語で書かれたレベルアップの文章の下に[OK]の文字があった。


 「なんか馴染みのあるシステムだと感じるのは気のせいだろうか・・・ポチっとな」


 [OK]の文字を指先で触れてみた。


 「おお〜。今度はステータス画面に切り替わった!」


 

【八神 大地】

レベル: 2

称 号:『遥かなる異世界からの孤独な探訪者』『内気な人工妖精の朋友』『厳然たるゴブリンの宿敵。例え魔王と呼ばれようとも!』(new)『太古のハンターキラー』(new)


[習得技能]


語学

├基礎英語

├普通英語

├上級英語

├基礎異世界言語

└普通異世界言語


軽火器

├M5

├M250

└SFP9


火器整備


弾薬

├M26グレネード

├M84スタングレネード

└40x46mmグレネード


偵察

├ブラックホーネットNanoII

├RQ-20C PumaIV

├スイッチヴレード300+

└スイッチヴレード600+


衛生

├衛生資材

└救急救命士


[習得可能技能]


重火器(new)



 「何この称号の数々。しかも少しポエミーなのは最近の流行りか?」


 それよりも気になるのは[習得技能]についてだ。


 国防陸軍や米軍SOCOM(特殊作戦軍)麾下で実際に取得したMOS(Military Occupational Specialty)、所謂職種専門技能と違って表示された習得項目が少ない。

 だが、この[習得技能]のリストに載っていない技能でも、知識としてしっかり記憶されているのだが・・。

 

 「うーん、分からん!悩んでも始まらんし、ラプトルがうろついている世界だ、まずは索敵を何とかしよう!」


 このスキルウィンドウを見れたのはラッキーだった。今の状況にぴったりの装備の名を見つけたからな。


 「えっと、その前にこのウィンドウどうやって閉じるんだ?

 うーん、“クローズ・ウィンドウ”、“閉じろ”、“コントロール・W”

・・・・・“スキル・ウィンドウ”!」


 “スキル・ウィンドウ”が正解だった。

 

 「さて、ゴン。ブラックホーネットを四機ずつ交代のローテで二十四時間飛ばして、お前の索敵範囲を360度拡張するんだ。」


 「ピッ」


 ゴンは短く返事をすると、立ち上がってボディー後部のブラックホーネット専用収容・充電コンテナを展開して、ブラックホーネット・マイクロドローンを離昇させた。


 ブラックホーネットNanoIIはノルウェーのプロキシダイナミック社が開発したマイクロドローンである。


 その特徴は、一般的なドローンがマルチコプタータイプであるのに対して、このブラックホーネットNanoIIはヘリコプタータイプのシングルローターを採用しているところである。


 そして最大の特徴はその名の通り“サイズ”である。

 12×3cmの大きさにたった30gの重量しかなく、日本製のマイクロ全固体電池とカメラを搭載した現行モデルでは、45分の飛行時間に15分でのフルチャージを可能としていた。


 西側諸国に於けるベストセラー軍用マイクロUAVである。


 ゴンから離昇したブラックホーネットは、その名の通り蜜蜂の様な羽音をたてて四方へ飛んで行った。


 ちなみに、ブラックホーネット達の操縦はゴン任せだ。


 昔実家で飼っていた犬の「ゴン」とは違い、この「ゴン」はマルチタスクも難なくこなす優秀なインテル製の頭脳を持っているのだ。

 Intel inside!

 俺より賢いかも・・しらんけど。


 「キュ〜ンピッピ」


 何故か得意気な音を出している。

 ・・・バグったか?ゴン・・・



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

□ ブラックホーネットNano

市街戦でこれ使えたら、確かに敵の待ち伏せは難しくなるよね。

これ欲しいな〜

でも一機ななんと195,000ドル!


参考サイト:


https://dronemedia.jp/black-hornet-nano/


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