第147話 脱走 公爵家side

家に戻り、隠し扉の中に入る

ここは泥棒や公爵邸の中で罪を犯した人を一時的に幽閉する所だ。


「私達公爵家が何故こんなのを作ったのかは、理解出来ないけど、まさかこんな時に役に立つなんてね。」


「備えあれば憂いなしといいますからね。」


秘密基地も同様、必要性の感じないものも偶に役に立つ時がある、だからこそ整理とかが大変になるのだ。


「さてメイル、見張りは?」


「はいフローラ様、扉の外と中に4人、中の巡回が2人、計6人です」


万全の体制とは言い難いが、ないよりはマシだと思い、隠し扉を奥へと進む。


隠し扉から牢屋の扉まで約100m離れており

それはゆっくりと地下へと向かっている

帰る時が大変だが、脱走者がすぐに逃げれない様にする為でもあるので、文句は言えない。


「全く…相変わらずここは不便ですね。」


「本当です、水晶玉を使って監視する事は出来ますが、対処は出来ませんからね。」


ミュウの母とメイルの愚痴はごもっともだ。

日本で例えると防犯カメラと警備員みたいなものだ

防犯カメラの代わりとなる水晶も持ち主の魔力を使って録音、録画するので、常に監視は出来ず、使い勝手が悪いのだ。


その為、警備員の代わりとして、公爵家で雇っている人達が見張るのだ。


「お勤めご苦労様です」


そうこうしているうちに、扉の前まで行きそこの警備をしている者がミュウの母達に声をかける。


「貴方達もご苦労様です、中の人達を確認したいのでここを開けてください。」


「わかりました、少々お待ちください。」


警備兵はそう言うと、扉の鍵を開けてドアを開ける

鍵をかけているのは脱走防止だ

もし中にいる仲間が出たい時はノックをして

回数で確認してから外に出すのだ。


「元旦那様や元執事長はどういたしますか、フローラ様?」


「昨日言った様に、義実家の両親に連れて行って貰います、慰謝料はそれからです。」


メイルの質問にミュウの母はそう答える。

ミュウの父によって公爵家の顔に泥を塗ることになったのだ、日本の相場の300万円など安過ぎる程だ。


日本で例えるとそう言った動画関連を見る時に頭の悪い"浮気をした"女が男に1000万円の慰謝料を請求する額ぐらいが妥当だろう。


それ程の事を彼はしたのだ

無論それに加担した者達はそれ以下の額だが請求はする、それがケジメと言うものだ。


「それでメイル、あの人はどこの牢に?」


「はい、夜逃げ対策の為に、この…牢…に…?」


中に入り、牢の中に入っている者達を確認しながらミュウの父と執事長が収監されている牢を見たメイルは言葉を詰まらせて立ち止まる。


「…メイル?」


「…いません」


「え?」


いませんとはどう言う事だろうか?

…いない?ミュウの母はそう不思議に思っていると


「警備兵!」


「はい!」


メイルが焦ったかの様に声を荒げて

中にいた警備兵に声をかける

警備兵は急いでこちらに来てメイルの下まで来る。


「どうしましたか?」


「昨日から今日までで外に出た人はいますか?」


「は?」


何を言っているんだ?と言わんばかりの反応だが、事が事なので気にしていられない。


「私達、そして警備兵以外で外に出た人は!!!!」


「い…いません!」


「メイル…まさか」


メイルの慌てようと、外に誰が出たのかの確認…それはつまり。


「ええフローラ様、元旦那様と執事長の2人が忽然と消えました…脱走です。」


「な!?」


「まさか!?私達は昨夜から見張っていましたが、脱走した人など見ませんでした!」


ミュウの母と警備兵が驚くのも無理はない。

つまり、透明化の魔法か何かで脱走したと言うことになるが、それでも出入り口は1つ

大の大人が入れ替えのわずかな隙間から出るなんて不可能だ。


「…どうなっているの?」


ミュウの母がメイルにそう訪ねる。


「わかりません、ですが言える事があります。」


「それは一体…なんですか?」


警備兵がそう聞くとメイルは冷や汗をかきながら話す。


「今の状況が"最悪"だと言う事です…!!!」


その後警備兵及び、メイド、執事、ギルドナイト、騎士団と言ったありとあらゆる者達が総出でミュウの父と執事長の行方を追ったが誰1人として彼らの姿を見た者はいなかった。


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後10話くらいで、この章は終わる…かな?

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