第146話 後始末 公爵家side
~ミュウ達を見送ってから数分後~
「さて…と」
穏やかな母親の顔つきから、公爵家の娘の顔に変わり、側にいるメイルに話しかける。
「メイル、私の夫の内通者、執事長とそれに関与した人物の把握は?」
「既に出来ております、更に私の仲間が既に拘束して地下牢に入れております。」
この短時間でその行動力は凄い…訳ではない
実際の所は既にある程度の証拠を持っている為、後は捕まえるだけだったのだ
この事はエイト達にも伝えており、これによりフローラ家の体制は大きく変わる。
「流石ねメイル」
「はい」
「ミュウが連れてきたエイトと言う子は将来私達公爵家の跡を継ぐ者になるわ。」
「それは、彼が英雄だからですか?」
「それもあるわ」
メイルの言う通りだ。
しかし、肝心なのはそこではない
それだけではこの世界では生きていけない
しかし、エイトにはそれ以外のものを持っている。
「けど、彼はそれ以上のものを持っているわ。」
「それ以上のもの?」
「ええ、私達の話についていける知識があり、カイトにはない知性がある、さらに私達と話せる対話力、彼には貴族社会で生きていける力がある。」
と、ミュウの母は言う。
ミュウとの結婚(地位)だけなら、ミュウの母は反対していた、しかしエイトはミュウを成り上がる為の道具として見ているのではなく、1人の女性として心から愛していた。
更にミュウと結ばれる為に、平民の身でありながらここまで来て、お願いします と頭を下げに来たのだ。
「まぁお説教したい所はいっぱいあるけどね?」
「そうですね」
でも、と間を挟み、ミュウの母は母親の顔になって言う。
「あの子があんなに幸せそうに笑っていて、彼の為に泣いて、怒って、幸せになると、させると、そう言ったのよ?メイル」
「………はい」
「貴族の娘としては確かにあの浮気男の意見も理解は出来ます、でも、私はあの子の母親、あの子の幸せが1番なのよ。」
子供はいつか大きくなり、自分の所から巣立っていく、とても悲しく、嬉しく、そしてどんな未来に行くのか楽しみなのだ。
過去には懐かしさがあり、心が締め付けられるものもある。
それでも誰かが言った。
時計の針はさ、未来にしか進まない。ぐるっと一周して、元に戻ったように見えても、未来に進んでるんだ。
時計の針だったら、止めたり動かしたりできる。巻き戻すことだって出来る。でも、人の人生は違う。自分が歩む未来は自分で選ぶしかないんだ。自分で動かさない時間は動かないんだよ。
と、
「私は私の未来へ行く、あの子達の未来を影で応援して、守って、もう1つの帰る場所を守る。」
「私も最後までお供します、フローラ様。」
そう言うと、周りにいたメイド、執事達も集まり、ミュウの母の側に行く。
彼ら彼女らも共に行く事を決めた様だ
これから先は、今までとは違う過酷な道になる事を知っていながらだ。
退職届を出しても彼女は文句を言うつもりはなかったが、そもそも言う必要がないみたいだ。
「全く…貴方達も物好きねぇ」
「貴女が言いますか?フローラ様?」
そう言うと、皆も笑う
きっとこの先も彼女がいれば、この家は安泰だろう。
「ハァ、随分と好かれてますね、私も」
そう言いつつも、ミュウの母の顔はとても嬉しそうで、
皆も理解しているのか、当たり前ですよ
と言わんばかりの笑いをする。
「さて、では今回の後始末を行いますか。」
「そうですね、既に裏切り者達は地下に監禁されていますから、すぐにわかると思いますよ?」
そう言ってミュウの母はメイドのメイルを連れて行く、残りの人達はいつもの仕事に取り掛かる、人が減ったので多少キツくなるが
数ヶ月後には新しく人も入るだろう
(その人達の身元調査もしないといけないが、それはまた別の話)
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うご○メモ帳の作品を見ると
たかだか5年前なのに懐かしく感じる
もう見れないからかな?
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