第108話 呼び出し

「…まーた学園長に呼ばれた。」


「今度はなんだろうね?エイト。」


「大方、彼奴、カイトの事だと思いますよ?エイトさん、ミュウ様。」


「本当に迷惑な奴だな。」


エイト達は学園長に呼ばれて、学園長室に向かっている

教室に戻った時、アイ達がいなかったのでカイトの所か、学園長に抗議しに行ったのだろう。


「学園長は今の所俺達寄りだけど、相手は勇者だからなぁ、国とかがなんか言って来ないのかな?」


「それは無いと思うよ?」


「なんで?」


「確かにこの学園は国によって成り立っていますが、育成しているのは学園なので、それに対しての口出しは出来ない筈ですよ?」


つまり、国は維持費としてお金は渡しているが学園の運営の仕方の権利は学園長が持っていると言う事だ。


「まぁ国が関わったら大変な事になるからなぁ。」


カルデア王国は日本国と違い君主制が成り立っている、それを補佐する大臣達もいるが

そいつらが全員まともな人間ではない

欲に塗れた人間達が学園の子供達に手を出せる状況を作って仕舞えば

この国はすぐに腐敗するだろう。


「確か、こんな言葉を聞いた事があるよ"なあ、坊っちゃん。教わらなかったのか? なぜ悪い子に育っちゃいけないかその理由を。嘘つき、卑怯者! そういう悪い子供こそ、本当に悪い大人の格好の餌食になるからさ"って。」


「それ、戦国時代をモチーフにした奴の言葉じゃん。」


「前世の記憶の1つですか、そんな言葉があるんですね。」


「あたいにはその前世は全くわからないけど、国が学園に関わらない理由はわかったよ。」


子供、つまり自分達は悪に憧れて真似する事がある

不良、ヤクザ、悪ガキ

学園内にもそう言う子供達は多くいる

しかし、大人の、本当の社会の闇

悪い大人にとってはそいつらは最も扱い易い

人間なのだ。


「だからこそ、今回は…いや、今回も彼奴絡みなのは確実だな。」


そんな事を呟きながら学園長室の前に着く

エイトはそこからミュウに譲り

ミュウは学園長室の前でノックを3回する。


「どうぞ」


「失礼します。」


学園長の声が中から聞こえたのでミュウがドアを開けて中に入る

続けてエイト、アリアンが入り、最後にシルフィがドアを閉める。


「態々済まないね、君達に用があったからね、さ、座りたまえ。」


「失礼します。」


そう言ってミュウは座る

エイト達は前回同様に後ろで立っているが、


「ああ、エイト君、君にも用があるんだ座ってくれたまえ。」


「わかりました、失礼します。」


エイトはそう言うとミュウの隣に座る

ミュウも学園長の前なので、ふざける事もなく真面目になる。


「つい先程、君の姉妹達が私の部屋に入ってきてね。」


「カイトの事でですか?」


「ああ、あの戦いに不満があったみたいだ。」


「大方、カイトが負けたのはおかしい、エイトと私がなんらかの不正行為をしたのだ!とかそんな所ですかね?」


「ええ、概ねあっているよ。」


(やっぱりそうでしたか、まぁ大体は予想していましたが。)


頭が悪いのか、簡単に想像ついてしまう

恋は盲目とは言うが、ミュウや自分はそこまで馬鹿になってはいない。


(女神アダマスの影響か?)


(それも十分ありえますね。)


後ろで2人は小声で話す

エイト達の会話の邪魔にはなるわけにはいかない。


「それで、それが今回私達をここに呼んだ理由になるのですか?」


「ああ、実は彼女達を問題児専用の隔離寮に移動させようと思ってね、それについてご家族であるエイト君に聞きたいと思ったんだよ。」


「………え?」


今の言葉はとても衝撃的な事で、まさに空いた口が塞がらなかった。


——————————————————————

エイトとミュウは実は小学生の頃に描いた

キャラクターだったりする(性格とかは全然違うけど。)

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