第109話 決別

「私に聞いて、どうするんですか?」


「簡単な話だよ、君が許せば、彼女達は見逃そう、そのかわり、今後どうなろうとも私は一切責任を取らない。」


「許さなければ?」


「彼女達を問題児として寮で隔離し矯正させる、そのかわりこの3年間2度と会う事はない。」


話を聞く限りでは、後者の方が良く

前者だと全て自己責任となる。


「お待ちください。」


「ん?」


「シルフィ?」


エイトが少し動揺しているとシルフィが手を挙げて、学園長に質問する。


「彼女達の話は出ていますが、肝心の男の話が出ていません、彼はどうするつもりですか?」


彼とはカイトの事だろう、名前を本当に呼びたくないのだろう、極力遠回しにわかるように話している。


「カイト君ですか…彼は今回の主犯格、例え勇者であろうとも、容赦はしませんよ。」


「つまり、確定の人間の話よりも、情状酌量の余地がある人間の話をするべきだから、言わなかった…と?」


「そういう事です、で、どうするのですか?」


「エイト、迷う事はないわ、学園長に任せましょう。」


ミュウの言ってる事は正しい、もはや彼女達はカイトのモルモットとなっている

エイトの言葉など絶対に届かない。


しかし、


「…………」


ここで迷ってしまうのは、前世のエイトではなく、この世界で生きて来たエイトの記憶が原因だ。


アイと仲良く昼寝をした日

メグミと一緒に川遊びをした日

サユリとご飯を食べた日

様々な記憶が頭の中をよぎり、選択を鈍らせる。


(本当に好き"だった"んだな。)


この事を言えばミュウとシルフィに夜

とことん搾られる事になるので黙っておく。


(でも、決めたんだミュウ達と共に生きていくと。)


屑と言われようが、優柔不断と言われようが関係ない、そう言うところも含めて自分なのだから。


「…エイト?」


「ああ、すまん、学園長、メグミ達をよろしくお願いします。」


そう言って頭を下げる、続けてミュウ達も頭を下げて、学園長にお願いする。


「頭を上げなさい、元々確認のつもりで君達を呼んだんだ、気にする必要はないよ。」


答えは既に決まっていたが、あくまでも双方の確認の為にエイト達を呼んだらしい

理解していたが、こう言うやり取りも必要なのだ。


知らなかった、言わなかったは

今後相手との関係を悪化させてしまう為

報連相は大切にすべきだ。


「ああそうそう、エイト君。」


「はい?」


「君のご両親はいつ帰ってくるのかね?」


「両親ですか?」


両親は仕事の都合で殆ど家にいない

その為、学園長も今回の件を言えなかったのだろう。


「ああ、今回の件はご家族にも知っておいてもらわないと困るのでね。」


「確かにそうですね。」


帰ってきた時にメグミ達が隔離されているなんて知ったら親は普通心配する

そしてその説明をしなければならないのは

学園長等の仕事だ。


「だからご家族が帰ってくる日にちを教えて欲しいのです。」


「でしたら、私が説明しますよ。」


「それが1番簡単ですが、出来るのですか?」


とても難しいだろう、何しろ自分の家族だ

他人事ではない。


「私にやらせて下さい、これは決別の意味も込めてやります。」


「決別?」


「元に戻ったとしても、あの時の様な関係には2度と戻らないでしょう、だからここで未練を全て断ちます。」


カイトのせいでこうなってしまったが、彼女達にも非はある

例え好感度が上がる様になっていたとしても

人として超えてはならないラインを彼女達は超えてしまったのだから。


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寝落ちして投稿を忘れてました(⌒-⌒; )




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