第65話 分かれての対峙

「ハァ…ハァ…ハァ…」


(クソ!勇者である僕が…押されてるなんて…)


今回の戦いはカイトの方が攻めている

技も勇者になったおかげか格段とレベルが上がり、普通の相手ならここで終わっていた


…そう、普通ならの話だ


「…どうした?もう終わりか?」


エイト自身もダメージを負っているが、カイトほどではない、何故ではあるが

今はエイトが優勢だ


「炎よ来れ、燃え盛る弾丸"ファイヤーボール"!!!」


エイトがカイトに向かって歩いていると

アイが魔法を唱えて攻撃してくる


「術式展開"アイスウォール"」


しかしアリアンの魔術によってそれはかき消され、エイトはアイを見る


「何?卑怯とでもいうの?」


「いや、そんな事は言わないよ?」


エイトがアイと話していると後ろからサユリが剣を持って斬りかかって来た


「遅いですよ?」


しかしそれもシルフィの剣によって止められる


「チッ、洗脳されてるからって私達が攻撃しないと思わないでね?」


サユリはそう言うと剣を構える

まだまだ未熟さはあるが多少は型が出来ている


「別に洗脳はされていませんが、貴女達の様な肉便器には説明の必要はありませんね。」


シルフィも剣を構え、エイトを守る

エイトとシルフィは目で会話して

サユリの相手はシルフィがする事を理解する


「あたいはあんたとだ、魔法使い。」


「いいわ、どっちが優れているかはっきりさせましょう?魔術使い。」


そして、アリアンは杖を持ちアイがエイトの邪魔しない様に術式を展開させる


これによりアイとサユリはカイトの援護に回れなくなった


しかしメグミを筆頭の他の取り巻き達も参加する可能性が高い

その事を踏まえて警戒していると


「私がメグミ達とやるわ。」


ミュウが隣に来てエイトに伝える


「…いいのか?」


「ええ、こう見えても魔王よ?…それにこれがあの魔王なら…」


「…だな」


「ミュウ!今だ!エイトを殺せ!」


ミュウがエイトと話しているとカイトがそう叫び始める

どうやらミュウは自分(カイト)を助ける為にエイトの隣に来たんだと思っている様だった


(人の話を本当に聞かないんだな…コイツ)


「殺していい?」


「お前前世の記憶を持ってから言葉が辛辣(しんらつ)だね?」


エイト自身もこれには同感だが

このまま殺して仕舞えば厄災とやらを防げなくなる

(英雄より弱い勇者が防げるかはさておき)


(アイは身体の弱いアリアンをサユリはメイドのシルフィを、コイツ以外は厄介ではないからコイツさえ殺れば、ミュウ達の洗脳も解ける!!)


だったらミュウに頼んでも動くわけないのだが、自分で言っている言葉が矛盾している事すら理解していないのだ


「エイト、気にしないでそのまま行って、私はメグミを見張ってるから。」


「ありがとう」


そう言ってエイトはカイトの所に歩き始め

ミュウはメグミに睨みを効かせる


「…僧侶である私は魔王とは相性が悪いわよ?」


「それがどうかしたの?私はエイトを守る…例えどんな手段を使おうとも、私の全てを…エイトを…奪おうとするなら…」


そう言うとミュウはメグミの前に立ち


(!?…いつの間に…早すぎて気づかなかった!)


「貴方達を皆殺しにする覚悟はあるわよ?」


「…それが貴女の覚悟…なんですね?」


そう言うとメグミは杖を構える

まるで別人のようなオーラを纏い

ミュウと対峙する


「…貴女ばかりには気をかけてはいられないわ。」


(でも、なったばかりの力でどこまで戦えるか…それに周りの人達の事も考えると状況は不味いわね)


しかし、数対1ではなく、今の所は1対1になっている状況に感謝する


——————————————————————

ウクライナとロシアとの戦争が早く終わる事を祈って…


続く





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