第44話 新しい友達

放課後


今日の朝に起きた事件は、噂程度に広まっており、担任や他の教師達も何があったのかを回りくどい手で聞いているが、大抵の人達は知らぬ存ぜぬ状態だった


そもそも起きたの1クラスの中だけであり、他の人達もミュウの事を考えると言えないと悟り黙ってくれている


「ありがたい事だけど、なんか怖いんだよなぁ。」


「?…何が?」


瑛人はこの状況が少し怖いと言う、確かに同じクラスメイトとは言え関わりはあまりなかった、なのにこの状態はあまりにもおかしい


「こういうのは口が軽い人間によってすぐに広まるはずなんだ。」


特に陽キャ勢はこう言った情報網が凄く、仲の良い人達からの情報ですぐに広まるのだ

…しかし今回はそれがないのだ


「じゃあ誰かがやってるって事…?」


「…そう言う事だな、…また面倒な事が起こらなければいいんだけどな…」


「大丈夫、あたいが色々釘刺しておいたから。」


「釘刺したって…え?」


「よ!」


「おわ!?いつの間に!」


いつもはいない人がいきなり現れて驚く2人…しかし


「…って…あれ?」


「君って確か…」


そこにいたのは朝海斗の携帯を叩きつけ、水の入ったバケツの中にスマホを入れた女子だった


「あたいの名は有田杏実(ありたあんみ)…皆んなからはアリアンって呼ばれてるよ。」


「…朝はありがとう、実はあたいも彼奴(海斗)にちょっと恋心があったんだ。」


このクラスの女子の大半は海斗が好きだ、しかしミュウと付き合っていると嘘の情報をばらまいていた為、嫉妬を理由にミュウ達と関わっていなかったのだ


そのせいでミュウを助けるのが少し遅れてしまったのだ


「あんな奴に惚れるなんて…頭おかしいんじゃないか?」


「…否定はしないけど、なんか腹立つ…まぁそうなんだけどさ。」


有田は何故海斗に惚れたのかを説明し始めた


「彼奴って、顔も良いし、性格も…あれを見るまでは良いなぁって思ってたのよ。」


確かに、彼は建前は上手く作っており、こちらとしてもその事で手を焼いていた


「と言うか、俺達の所に何しにきたんだよ?…男探し?」


「ちゃうわ!…あたいはミュウと仲良くなりたくて来たの。」


「…私と?」


訳がわからないと言う顔で聞くミュウを見て有田はうんと頷く


「あたいさ、友達は多い方なんだけど、勝手な偏見と妬みであんたと仲良くしようとしなかった…だからちゃんと見ようと思って…駄目かな?」


原因は海斗だが、それを信じたのは彼女達だ、もしこれが虐めに発展していたら、彼女達も加害者側になる


(こう言う奴とは関わりたくないけど…)


「う…うん…いい…よ。」


(ミュウってこう言う奴だからな)危なかったら助けるけど


お人好しと言うか、流されやすいと言うか

兎に角本当に親しい人間にしかまともに話せないので、ミュウの為にも有田とは仲良くなった方がいいだろう


「!…いいの!ありがとう!これからよろしくね!…後…ハァそこの男も。」


「酷い言い方だな…まぁいいけど…んーと…アリアン…でいいのか?」


「お前が言うのかよ…まぁミュウの彼氏って事で特別出血大サービスで…面倒くさいし嫌だし言われてほしくないけど…いいよ。」


「お前面倒くさい野郎だな。」


「女だ!」


「…フフッ」


彼女が友達多いのは嘘ではないだろう、普通会って数分でここまで打ち解けるなんて事、そうそう起きない


海斗の所為で酷い目に遭ったが、海斗のお陰で新しい友達が出来たミュウであった


————————————————————

そして幸せの絶頂がすぐそこまで近づいてきている…

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