第45話 奇跡の再会
「そう言えば、今日予定とかある?」
「唐突だな…すまないが、俺とミュウはこの後用事があるんだ、諦めてくれ。」
朝の騒動で疲れてはいるが、2人にはやらなければならない事がある
「…それってなんの用事?」
「…猫…探してる…」す
そう言ってスマホを取り出して写真を見せる
まだいなくなる前のシルフィの写真だ
小さい仔猫が元気に遊んでいる写真が数百枚と保存してある
「…この仔は?」
真剣に1枚1枚見ている有田
もしかして…と口に零しながら質問する
「シルフィって言う…野良猫だよ、俺達じゃ飼えないから、里親が見つかるまでの間一緒に育てようって。」
もちろん見つけたら綺麗に身体を洗って感染対策をしっかりしてから渡すつもりだった
…今となっては希望も薄いが
「…この仔って、1週間前ぐらいからいなくなってた?」
「…うん…橋…の下…燃えてて…」
「え?なんて?」
コミュ障のミュウがそんなにペラペラと話せるわけもなく、しどろもどろしながら話す
そんなミュウの為に瑛人が話す
「…その仔は約1週間前までは橋の下で住んでいたんだ…けど放火によってそこが燃えて行方不明になってたんだ。」
簡潔に説明する
すると有田は驚きの表情をしながらこちらを見る
「…その猫…ウチにいるかも」
「「………へ?」」
そして2人が変な声が出る程の事を言った
————————————————————
有田宅
「ぴゃー!」シュバ!
「シルフィ!!!」
綺麗な姿となってより一層可愛くなったシルフィが2人に目掛けて走って来る
「おい!こら!…もふもふになりやがって。」
「もふもふ、ぷにぷに肉球♪」
「ぴゃ!…ぴ…ぴゃー!?」
「…2人ともその辺に、シルフィ?が困ってるよ。」
あの後有田は瑛人達に自分の家まで案内して玄関のドアを開ける、すると目の前にいたシルフィが元気な声で鳴いて来たのだ
そして有田は嬉しさと可愛さで暴走している2人を止める
「は!?ごめんシルフィ…嬉しくてつい…」
「あと少しで……….」じゅるり
「ぴゃ!?」ビクッ
なんか涎の音が聞こえたが気のせいだろう
そう考えた有田は2人に聞く
「この仔がお前達の探していた仔猫か?」
「ああ、間違いない…けど、どこで見つけたんだ?」
瑛人の質問はごもっともだ、生きている事は何よりも嬉しい事だが、それなら何処にいたのか気になる
(まぁ殆ど有田の家だが)
「…ああ、確か…そう、あたいが家に帰るときに車に轢(ひ)かれそうだったから、助けたんだよ。」
きっと海斗が襲ってくる事を本能的に察知して逃げたんだろう
そしてあんな小さい身体で必死に逃げて奇跡的に拾われたのだろう
「…あの、…あ…アリアン。」
「ふぇ?」
いきなりあだ名で呼ばれて驚く
そしてシルフィを抱きながら、言う
「あ…ありが…とう…シルフィ…救って…くれて。」
「ぴゃー!」
「俺からも礼を言わせてくれ、ありがとう、お前のおかげで、生きる希望が1つ戻ったよ。」
そう言って2人は頭を下げる
そして続けて話す
「…それとこの仔を引き続き育てて欲しいんだけど…いいかな?」
家庭の事情的に厳しい2人にとって安全な場所はここしかない
外で育てても、命の危険がある以上、有田の家で育ててもらう方が安全なのだ
「お願…い…シルフィ…守って…」
「…ぴゃー」うるうる
2人と1匹のお願いに有田はため息をつきながら答える
「そんなの断る訳ないでしょ?」
「…ありがとう!」
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その後2人(特にミュウ)は、シルフィに会えなかった分の養分を得る為にお腹に顔を埋めたり、おもちゃで遊んだりと、幸せのひとときを味わった
「………あのゴミ…あんな所にいたんだ」
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