カイトside 僕にとっての幼馴染み ミュウ.フローラ
僕が生まれたのはとある貴族の所だった
庶民とは違う裕福な暮らしに可愛い妹
優しい父に優しい母と何不自由なく過ごしていた
そんなある日僕は父の都合により、古くから父と仲の良かった貴族の家にお邪魔することになった
そしてそれが僕達の出会いだった
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フローラ邸
フローラと言う名の貴族に招待された父は僕を連れて行く
「お招き感謝いたします、フローラ殿。」
「いえいえクルージー殿も御健在で何よりです…してそちらの子は?」
「ああ、私の息子カイト.クルージーです、カイトご挨拶なさい。」
そう言われて僕は父に背中を押される
そして自分なりの礼儀作法で目の前の人に挨拶をする
「カイト.クルージーです、よろしくお願いします。」
「これはこれはどうも、実は私にも娘がおりましてな、ご挨拶させましょう。」
「そこの者よ、急ぎミュウを呼びに行きなさい。」
「はい、かしこまりました。」
ミュウの父は近くにいたメイドにそう伝えて、メイドは綺麗な姿勢を保ったまま、2階へと上がる
暫くすると、メイドが降りてきてミュウの父の側による
「お連れしました。」
「ご苦労下がって良い。」
「はい、失礼します。」
メイドは頭の下げ、その場から去る
そして階段の方を見ると
「………」
カイトは言葉を失った
人は綺麗な物、美しい物を見ると言葉を失うと聞くが、まさかその通りの事が起こるなんて、誰が予想できただろうか?
その姿はまだ幼く、まだ未発達というべき姿だが、何処か人を魅了する力を持っていた
(まだ魔力も能力も覚醒していないのにこれ程までとは…将来彼女は更に魅力がかかるだろう)
そう思ったカイトの父はその子の前に立ち挨拶をする
「初めまして、私はカイトの父、バイトと申します、以後お見知りおきを。」
「………」コク
彼女は何も言わず、お辞儀した
しかし作法はなっており、とても綺麗で
バイトは何も言わず、笑顔で後ろに下がった
「ほら、カイト、君も挨拶しなさい。」
「は…はい、わかりました。」
バイトはカイトの背中を押してもう一度挨拶をさせる
「カイト.クルージーです、よろしくお願いします。」
「………ん」コク
ミュウは一言(と言うか頷く時にたまに出る声を)発して頷く
そして父を見て何かを伝える
それを理解したのかミュウの父はミュウの肩に手を置いて話し始める
「この子の名前はミュウ.フローラ、私の1人娘だ。」
そう言ってミュウの父はミュウに目を向けて話す
「ミュウ、カイト君と外で遊んできなさい、私はクルージー殿と話をしてくる。」
そう言って2人は外に出て、父達は何か難しい話をし始めた
………これが彼女との初めての出会いだった
それからもちょくちょく遊びに行き、僕と彼女は仲良くなった
「ねぇねぇ、何して遊ぶ?鬼ごっこ?おままごと?なんでもいいよ!」
「…………別にいい。」
「え?何でもいいの?困ったなぁ、迷っちゃうよ。」
「…………」スタスタスタ
「あ!待ってよ!」
僕は彼女と少しでも仲良くなりたかった
その為に色んなことを話した
「ねぇねぇ、世界って丸いって言うんだけど、絶対嘘だよねぇ、だって、そしてたら落っこちちゃうもん。」
「…………」
「ねぇ、好きな食べ物って何?僕はやっぱり、アップルパイかなぁ、庶民の間でも人気で僕も気に入っているんだぁ。」
「…………」
彼女は僕の話を嫌とも言わずに全て聞いてくれた、それからも僕は色んなことを話して彼女と仲良くなっていった
しかし彼女は身体が弱いらしく
息を切らし、体を震わせながら途中よろけたりして、その時は僕が支えたりした
「……….っ!」ドンッ
「おっととと…」
その度に突き飛ばされたりしたけど、きっと貴族として恥ずかしい姿を見せたくないのだろう
だからこそ、僕が彼女を守ろう
彼女に相応しい男になろう
そして彼女と2人で幸せに暮らすんだ!
そう深く誓ったカイトは庭園の花畑の所に行き、花を千切って花冠と指輪を作る
そして彼女を驚かそうとこっそりと近づき
頭に冠をのせる
「…………!?」
「ねぇミュウ…大きくなったら僕が君をお嫁さんにして、守ってあげるよ!」
そして花で作った指輪を彼女の薬指にはめて
自分とお揃いだとわかるように左手を見せる
すると彼女は顔を真っ赤にして、涙を流しながら、走って去っていった
あまりの嬉しさに恥ずかしくて逃げたのだろう
「彼女は僕が守らないと、幼馴染みとしてずっとそばにいてやろう。」
彼女からの言葉をまだ聞いていない
でも心では繋がっている筈だ
だからこそ待とう
いつの日か彼女が自分の想いに応えてくれる日を
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それから月日は流れ、僕はカルデア学園に転向することになった
そして彼女にも一緒に来て欲しいと思ったら
彼女も転校してくれる事になった
こんなにも嬉しい事はない、きっと彼女も僕と一緒にいたかったのだ、だからこそついてきてくれたのだ
…それなのに、彼女に群がる虫が多くとても困っている、だからこそ僕は彼女の幼馴染みとして守らなければならない
だから僕は目の前にいる男から彼女を守るべく立ち上がった
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続く
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