第8話 主人公様との対峙

「折角の楽しいひと時だったのに…嫌になっちゃうわ…」はぁ


「やっぱり今度毒薬でも入れて彼を殺した方がいいと思うのですが?」


「…絶対にやめろよ?」


そうため息を零しつつ、彼女は酷く落ち込む

折角シルフィが状況を見て彼にバレない瞬間を狙って抜け出し、楽しいひと時を過ごしていたのに、会いたくない奴に会ってしまったのだ


彼も元々仲の良かった者達があんな男と仲良くしている姿を見てしまい、シルフィの言葉に少し反応してしまった

"本当にそうして欲しい"と思ってしまった


それでも静止させたのは、単にまだ彼女達の事が好きなのだろう、だからこそまだ彼女達が自分の元へ戻ってくれると思ってしまうのだろう、決して叶わない現実だとしても


「ああ、授業受けたくねぇ。」


受けると言うことはあいつらとも会わなくてはならない、今の精神状態で受けたとしても集中して受ける事は出来ないだろう

だが、受けなければ進級に関わる為

仕方なく受ける事にした


「私は寝るから、シルフィ、後よろしくね。」


「エイト様、授業が終わり次第迎えに参りますので、それまではコイツのお守りをお願いします。」


「まだ起きてるからね?と言うか今こいつ呼ばわりしなかった?」


「了解…でも、あそこの奴がどううごくかだな。」


「ねぇ?何で無視するの?私、泣いちゃうよ?」


「黙れば…ミュウ様あちらをご覧ください。」


「今、馬鹿って言おうとしたよね?バカって…………」


ミュウがシルフィに文句を言おうとして、シルフィのところを向くと、丁度良いところに


「フフ」ニコニコ


「チッ」ぷい


ナルシストで自己中、唐変木で朴念仁の鈍感ハーレム主人公様のカイト様がミュウをずっと見ていた


それに気づいたミュウは一瞬で寝る態勢に入り、そのまま寝た


(身体が弱いと思い込んでいる理由は理解できたが、人の気持ちは理解できないんだな)


カイトはそんなことは知らず、大切な幼馴染みが何処の馬の骨ともわからない男に誑かされていると思い込み、今度はエイトを睨みつける


「…シルフィ、どうにか出来ない?あんたも一応幼馴染み…に入るのだろ?」


「そうですね、私も含めて3人、世間から言えば幼馴染みに入りますね。」


「あと1人いるのかよ…そいつはどうしたの?学園にいる?」


「あいつに会いたくないから、不登校中です、そもそも私達3人だけで行く予定でしたから。」


「…マジかよ。」


「マジです。」


身近な人間にここまで嫌われているのに

全然理解しない姿は一種の尊敬に値する


(彼奴は永遠に理解する事は出来ないだろうなぁ)


そんな事を思いつつ、エイトは授業を受け始めた


——————————————————————

放課後


全ての授業が終わり、下校する時刻となった

周りの女子達はこぞってカイトのところへ行き、放課後デートを楽しもうと和気あいあいと囲んでいく


そこにはもちろん


「カイトお兄ちゃん!パフェ食べよ!パフェ!」


「いいえ、劇を見に行きましょう!」


「あたしの家でイチャイチャしようよー」


「「「「「それはだめ!!」」」」」


義妹達もいるわけで、そんな光景をずっと見たくはない、ミュウを起こしてとっとと立ち去ろう


そう思い、エイトはミュウの肩をゆすり

起こそうとする


「ミュウ、そろそろo」


「待て!穢らしい手で僕のミュウに触るな!!!!!」


が、先程まであそこにいたはずのカイトは

エイトの前に立ち、正義のヒーローみたく

こちらを指さす


「穢らわしい?俺はただ、ミュウを起こそうとしただけだが?」


「お前はミュウのなんなんだ!幼馴染みである僕を差し置いて何をしようとしている!」


エイトはまともな意見を言ったのだが

どうやら理解できなかったらしく、カイトは

ミュウを守る正義の味方と思い込んでいるようだ


つまり俺ことエイトは、主人公様と対峙しなければならないようだ


悪のエイト対正義のカイトの開幕ってわけだ


——————————————————————

私生活のせいで遅れることがあると思いますが、応援よろしくお願いします🥺

(最初の作品を超えたいと言う気持ちもありますね(^◇^;))

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