第6話 ハーレム主人公様の嫉妬

「俺の名はエイト、エイト•マクラレン」


「…マクラレン?」


その名前で頭を捻るカイト、それは当然だ

カイトのハーレム集団の中に同じ

マクラレンの名を持つ者が2人いる。


義理の妹 アイ•マクラレン

義理の姉 メグミ•マクラレン


そしてその2人は


「………」チッ


「………」ギロッ


エイトがカイトと話しているのが気に入らないのか、こちらを睨みつける。


「そこにいる2人がいるだろ?」


「………2人?…ああ」


「…そこの2人が俺と同じマクラレンだ、だから親近感があったんだろ?」


余計に睨まれてしまうが、正直どうでもいい

胸が苦しいが、気にしてはいけない。


「ああ、そうだったんだ。」


それで納得したのか、カイトは頷く

しかし、エイトはカイトに苛立ちを覚える

ハーレムの事は気にしているが、それ以前の問題だ。


「てか、お前同じクラスなのに覚えてないのか?こんな奴いたっけって、非常識じゃねえか?」


「す…済まない、僕は名前を覚えるのが苦手で…」


「だからと言って、あの言い方はあるのか?ミュウとシルフィは覚えてくれてたぞ?」


「いえ、人として当たり前です。」


嫌味たらしくシルフィは答える

しかし、それを感じ取れないのが主人公様の特権だ。


「まぁ、これからは気をつけるよ。」


まるで自分の事はどうでも良いかのように

カイトは言うので、嫌見たらしくエイトが話す。


「てか、俺は知ってるぞ?

カイト•クルージー、イケメンで、そこそこ頭が良くて、女にモテる男だ。」


(しかし、男からの信頼と女の子気持ちを感じ取る事が出来ないNTR主人公の特徴を持っているいけすかない野郎だ。)


本当に腹が立って仕方ないのか

エイトの声は少々荒っぽくなる

たしかにここの学園には人が多い

しかし、自分のクラスくらいは名前を覚えていてもおかしくないし、普通だ。


なのに自分が世界の中心で回っているかの如く、動く世界と"あれ?僕なにかやりましたか?"見たいな言動に心底腹が立つ。


どんどんとその怒りが増して行く、しかし、それを止めたのは、ミュウだった。


「…ねぇ」


「ん?」


「もう、良いよね?」


どうやらミュウはエイトの様子がおかしい事に気づいたらしく、エイトとシルフィに隠れながら二言言う。


「ありがとう、後は家に帰ってからやってみるよ。」


そう言って、ミュウはそのまま寝に入る。


「…え?どう言う事?」


「あー、それ聞く?女の子には知られたくない事もあるんだぞ?」


「…気になりはするけど、それは…失礼だな。」


そう言ってカイトは席に着くために戻ろうとするが、ふと思い出したかのようにこちらに戻り、ミュウの所へ行く。


「ほら、ミュウも行くよ、君は此処じゃないだろ?」


手を伸ばし、ミュウを連れて行こうとするカイト…しかし


「………」


ミュウは心底嫌だ言わんばかりのオーラを放ちながら、2人に助けを求めた。


「…あー、彼女熟睡してるし、無理矢理起こすのは酷くないか?」


「大丈夫だよ、一回起こして、こっちに来てからまた寝て貰えばいいから。」


「それ流石に酷すぎじゃないか?」


「さっきから何なんだよ!お前は!」バンッ


机を叩き、エイトを驚かせる

この学園での席は特に決まっていない、つまり、彼女がカイトの所に行かなくてはならない理由はないのだ。


「お前こそ、何でミュウを来させようとするんだ?」


「それは僕はミュウの幼馴染みだからだ!」


「それで?」


「は?」


「お前の事をずっと待っている人達がいるんだぞ?」


彼女達の事、特にアイ達については辛い所もあるが、それでも彼女達はカイトと一緒にいたいからあそこまでするのだ。


「カイトさん、そろそろ授業が始まります、早く席に着いては?」


「……そうだな」


シルフィの言葉が決定打になったのか、カイトは後ろにいる彼女達と時計を確認して

今度こそ席に戻った。


「助かった、ありがとう。」


「いえ、こんな簡単に下がるとは思いませんでしたけど、まぁよかったです。」


そうして2人も席につき、授業を受ける準備を始める。


——————————————————————

~授業中~


「………」


「あの人ずっと見て来ますねぇ」ボソ


「ああ、気持ち悪いくらいにな。」


次の授業が終われば昼休みになるのだが、それまでの間、彼は時間さえ有ればミュウの事を見ていた。


(これは誰だって嫌になるよ)


いつもは彼女の近くにいる為、あんな事をした姿は見た事がないが、今日は他の女子達もいる中でずっとあの調子だ。


「スゥ…スゥ…」


(それにしても、コイツもずっと寝てるなぁ)


多分起きていたら、アイツが此処に来るから寝てるんだと思うけど、それにしても寝すぎである。


そんな事を思いつつ、授業を受けていると

不意に隣から腹を突かれる。


「!?」ビク


声を上げそうになるが必死に堪えて、それをやった張本人に顔を向ける。


「………」


するとミュウと目が合い、お互いが至近距離になる。


「…っ」ドキッ


心臓の鼓動が一瞬高まり、席から立ちそうになるが、周りからの白い目線は嫌なので我慢する


「………」ジー…


「………」?


しかし先ほどからずっとこちらを見てるだけで、何もしてこない。


(…何がしたいんだ?)


それがわからず困惑していると

逆にいたシルフィがノートに書いて説明する。


『今日の昼、一緒にご飯を食べたいそうです。』


(………は?)


そんなわけあるかと思い、ミュウにノートを見せる…すると。


「………」コクコク


(…マジですか?)


口で言えや!っとツッコミたくなるが、それは置いといて。


『いいの?』


とエイトは自分のノートにそう書いてミュウに見せる、するとミュウは自分のノートに何か書いて、それを見せる。


『(`・ω・´)d』


「………」フンス!


(…コイツがシルフィにいじられる原因ってこれじゃね?)


そう思いつつ、エイトはミュウのノートに

(●´ω`●)と書くと


「クスッ」


こんな事されるとは思わなかったのか、とても可愛らしい顔で笑った。


(…何をやってんだか)


そんな事を思いつつ、シルフィはあんなに楽しそうにしている彼女を見て、微笑んだ。


エイトと一緒にご飯を食べれる、たったこれだけなのに、彼女はわかるほど喜んでいた。


そしてそれはとある男にも伝わり、酷く嫉妬する。


「…何であんな男と」


彼には理解出来なかった、彼とミュウは小さい頃からずっといて、彼がずっと恋心を抱いている相手でもある。

どんな時も一緒で、いつか自分の伴侶となる相手…の筈なのだが。


(最近の彼女は変だ、彼女は"あんな子"じゃない。)


周りの女の子達は授業に集中している為、気が付いていないが、カイトは拳を強く握りしめていた。


(まだ、告白すらしていない僕だけど、彼女は初心だから、気づいていない筈)


気づいているし、嫌いである。


(でも、彼女だって僕のこと好きな筈)


嫌いだし、関わりたくないと思っている。


(あんな男といたら彼女が可哀想だ)


自分の意思でいて、幸せに笑っている。


(彼女の為にも幼馴染みとしてガツンと言ってやろう)


彼女の為に何かをするのなら、何もしないでほしい。


(全てが間違っている)彼が彼女の為に昼休みの時間にエイトを呼んで

彼女の事をしっかりと伝えてやろう考える。

そうすれば彼は自分に感謝して

彼女を解放して、彼女の好感度もだいぶ上がるだろう…と。


そう思い、授業を真面目に受け始めた。


——————————————————————

人気があればRPG要素を入れようと思います。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る