本当の愛とは
「不安だったのでしょう? 私が離れて行ってしまうことが。不満だったのでしょう? 私が他の人と仲良くすることが…………ふふっ……私、茜ちゃんを試したかったの。どれくらい私のこと愛してくれているのか知りたくてね」
「試したかった?」
わけが分からない。
「私は、本当の愛を求めた。でも、家族も、親戚も、友達も、恋人も、私に本当の愛をくれることはなかった。だから最後に、一番私を愛してくれていそうな茜ちゃんという親友を試した」
数秒間の沈黙。
「でも、結果はみんなと同じだった。自分のことしか考えていなかった。ねえ、こんな世界に生きている意味なんてないわ…………私を、茜ちゃんの大好きな私を、今すぐ殺してええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
私は、息をのんだ。
すがるように黒々と渦巻く鈴ちゃんの瞳。
「ねえ、早く」
「嫌だ! 私は鈴ちゃんに死んでほしくない!」
私の瞳から溢れ出す大粒の涙は、悲しさからだろうか。
「そんなこと言わないで! もう生きたくない。お母さんは、私を周りに自慢するための人形にも、ストレスをあたるためのぬいぐるみにも、自分の願望を押し付けるための
鈴ちゃんの口の端が醜く歪んだ。
私も鈴ちゃんの渦巻く闇に飲まれる。
「私も、もう生きたくない。私は、望まれた子ではなかった。お母さんにもお父さんにも求められないし、愛されない。曲がった性格だから、友達も鈴ちゃんだけ。私だけを愛してくれる人が欲しかった」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます