強引な朝食

 パンとスープを持って鈴ちゃんのもとへ戻る。

「朝ご飯だよ」

 鈴ちゃんは、泣きはらした瞳で私を見つめる。

「ふふっ、私がいなくちゃ何もできないね」

 私はスープをスプーンですくって、鈴ちゃんの口をつついた。

「ほら、あーんして。あーん」

 鈴ちゃんは、嫌がってそっぽを向いた。

「あれ、食べてくれないの?」

 固く閉ざされた鈴ちゃんの唇を、人差し指でそっとなぞる。

「じゃあ、私、死んでもいい?」

「い……嫌」

「だよね」

 再び口元にスプーンを持っていき、鈴ちゃんがそれをすするのを私は嬉しそうに眺めた。

「かあいいね。大好き」

 鈴ちゃんの頬に軽くキスをした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る