絶対に逃がさないから

 どうしよう。

 このままだと、鈴ちゃんを取られてしまう。

 どうすればいい…………?

 そうだ!

 もうすぐ夏休みだから、私の部屋に閉じ込めて独り占めしよう。

 鈴ちゃんの家族には、しばらく友達の家に泊まるって連絡すればいい。

 そして、鈴ちゃんに私の愛を教え込んであげるの。

 そしたら、手錠と、足枷を準備しないとね。

 

 夏休みに入った。

 鈴ちゃんには話をつけておいた。

 準備はできている。

 そろそろ来るはずだけど…………。

 チャイムが鳴った。

「いらっしゃい」

「お邪魔します」

 私の部屋に入るなり、鈴ちゃんは固まってしまった。

「全部、私の写真?」

「そうだよ。全部鈴ちゃんの」

「茜ちゃん、こんなの……こんなの……怖いよ」

 私は、なぜ鈴ちゃんが怖がっているのか分からない。

 走って逃げだそうとした鈴ちゃんの腕を強引に引っ張る。

「待って、行かないで」

「嫌っ! 離して!」

 鈴ちゃんがどうしても逃げようとするから、最終手段に出た。

「本当はこれ、使いたくなかったんだけどね」

 私はポケットから睡眠薬を取り出し、鈴ちゃんの口にねじ込んだ。

「ふふっ、絶対に逃がさないから」

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