何かが壊れる音

「おはよう」

「おはよ」

 私があいさつすると、鈴ちゃんは耳に心地よい声であいさつを返してくれた。

 今日もかわいい。

 目の前に、鈴ちゃんがいると思うと、緊張しちゃう。

 そんなことには気づかないまま、鈴ちゃんは地雷を投下した。

「あのね、私、好きな人ができたんだ」

「えっ! 誰?」

 食い気味で、問いかける。

 私だよね。

 私しかありえない。

 茜ちゃんって言って。

「健人君だよ。最近付き合い始めたんだ」

 時が止まった。

 意識がもうろうとした。

 私じゃなかった。

 電撃が走ったようだった。

「そっか」

 かろうじてそれだけ言うと、その場を走り去った。

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