第25話 ガーツの覚醒

「ぐっ...」

ライトが左腕を抑えた。

相当なダメージを食らったようでもあった。

    

(せめて朱莉だけでも...)

どうにか朱莉を逃したい。

しかし、この状態で助けたとしても、助ける間に二人同時に殺され、全て水の泡になってしまう。


「ん...おはよーにーちゃん。」

朱莉が起きた。

これはかなり有利になった。

しかし、いま朱莉が逃げれるかどうか、そこが問題点である。


「朱莉!今すぐ逃げてあーちゃんのところで助けてもらえ!」

誰もがこの選択を取る事はできない。

ただ、死を覚悟したライトの前には効かない。


「でも...」


「いいからいけ!」

朱莉は黙って、走っていった。


バンッ


「あーちゃん助けて!にーちゃんが...にーちゃんが!」

なに!?

すぐに助けないとやばいな...


ボコッ


魔王がライトの部屋に乗り込んできた。


「ライト!」

ライト、もう少し耐えてくれ...


「『零』神牙撃!」

魔王はどんどん攻撃していった。


「雨神!」


「毒針!」


「炎龍神!」


..................


**


「はぁ、はぁ、」

魔王は体力を完全に消費し切った。

しかし、ガーツはピンピンしている。

どうしたものか。


「『封印』!」

!?

いきなり朱莉が技を出した。

これには魔王もライトも驚愕した。


「動けねぇ...くそっ!」

朱莉が技を使えるのはガーツも初耳のため、想定外だった。


「チッ!次はお前ら全員殺す!覚悟しとけ!」


ヴッ


「はぁ、あっぶ。」

ライトは致命傷負っている状態。

魔王は体力を使い切った状態。

その状態で朱莉が魔法を使ったので大きな逆転となった。


くそー逃げられたか〜。ただ、姉がいるなんて聞いてないぞ。

みんなしらなかったのか?


「にーちゃーん!」

朱莉が泣きながらライトに飛びついた。


「待て待て、死ぬ寸前のシーンみたくしないでくれ。」

こんな状況でもライトは朱莉を守っていた。


異次元


ヴッ


「あ、おかえり姉さん。で、どうだった?アイツラは殺せたかしら。」

ガーツが異次元に帰ってきた。

鏡だらけの空間で、暮らしにくそうだ。


「アイツラの中のちびが魔法を使った。しかもただの魔法じゃない、死神が使う魔力で構成された封印技だ。」

ラーナは少し暗い顔つきを見せた。


「だが、二人に致命傷を追わせた!微笑ましいことだろう!」

ガーツは慌てて喋りだした。


「そんなことで微笑ましく思う魔王がどこにいるっていうの。

私は部屋に戻る。」


ヴッ


「...くそ!」


「あの、ちびっこのせいだ!」


「私の計画を壊しおって。」


「魔法が使えるなんて聞いていない!」

ガーツは怒りの火花を散らしている。


ピキッ


「許さない...」

鏡にヒビが入った。


「先ずあいつから...」

また、ヒビが入った。


パリィン!


「ぶっ殺す。」

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