ここから問題に一石を投じる(掛け紙の話)

最初に言っておきますね。

自分の言葉で、本音で話す事はいい事ですし、皆出来ることならそうしたいですよね。

けど、いつでも本音で話していたら当然ですが、嫌な気持ちになったり喧嘩に発展してしまいますよね。

だから、時にはニュアンスを変えたり、オブラートに包んでさり気なく伝えたりするのですよ。

それで気づく人もいるし、気づかない人もいますけど…

……個人的には、気づかない人には正論で殴っても罰当たりじゃないと思ってますが…そうもいえないのが人間社会の厄介な所です。

ええ、それって年功序列っていうんですけどね。

(いやホント、末っ子の子供ってだけでこっちの意見に耳を貸さないおじ達まじで器ミジンコだと思う)



少々愚痴っぽくなりましたが、今回は何かと話題に上がる宗教絡みの話になります。

最近ですと、元首相の事件で色々言われてる某教会さんのお金商法じみた話がよく上がりますね。


因みに、私は宗教に関してはあまり信じてません。一部の宗派のお金絡みの話もそうですが、幼い頃に事件になっていた某宗教絡みのニュースが忘れられないからですね。妄信、本当に怖い。

(あれはカルトじみてるから、また違うと思いますが…)

ですが、信じてる人達にとっては良いものなのも、忘れてはいけないです。信仰することで救われたと思う人達も沢山います。

結局は信仰って、個人の心でどう思うかですからね。


で、どのへんが信仰絡みと言いますと

時々困る掛け紙関連の事です。

今回の掛け紙というのは、訃報や亡くなった時、法事やお盆、お彼岸で使われる白黒の方ですね。


お盆やお彼岸はある程度の形式が決まっているのですが、難しいのは法事に関するものです…

何故かといいますと、結切の上に入れる文字(御仏前、御霊前、志、御供、等など)が、宗教、それから宗派によって違うんですよ!

なので、一般的な物では分からない事もたまにあります。


一回こんなことがあって、

40代前くらいの女性のお客様が、法事で使いたいので何を付けるの?と言われました。

当時、まだ20代の私は法事の掛け紙の知識をようやく覚えて、すらすらと説明しました。


それで細かな内容を聞いて「こちらですね!」とお伝えしましたが、何だか納得がいかないご様子のお客様。

なんでも「供物」にしたかったそうです。

そんな時は、総合カウンター的な場所の店員さん達に聞くといい、と先輩達から教わっていましたので、お客様に「確認してまいります」と一言言って、お客様の細かな用途を説明して、専門の本で調べてもらいました。

すると店員さんに「供物の方がいいよ」と言われました。

今度はその本を持って説明すると、お客様は納得された様子で、「供物」を付けて品物をお渡ししたんですよ。


それから、数時間後に

そのお客様が再度現れて凄い形相で私にこう言われました。


「あんた!こののし紙間違ってたじゃないの!あれから一応総合カウンターの店員に聞いたら、御仏前だっていわれたわよ!」


ええええ……。

わざわざそれを言いに来たのかよ、この人。

まあ、そう言われてもな気持ちはありますが、こっちも仕事でやってますので、謝りますよね。


「申し訳ございません」

「全くちゃんと覚えなさいよね!最初からあんたの顔が気に入らなかったのよ!私を不快にさせて!」


結構な頻度で、顔が気に食わないとか、何かムカつく顔付きをしてると一部の女性から定評のある私ですが、今回も結構な理不尽のオンパレードですね!

キレそうでしたが、相手がお客様なのでひたすら謝罪してたら、言ってスッキリしたのか帰って行きました。

本社にクレーム入ったらマズいな、と若干ひやひやしながら、先輩方に今回の事を報告しました。

(これは、後にトラブルになったときに対処をしやすくするためです。報連相)


「言いたい事言って帰ったんだよね、それならお客様もスッキリして何もしないよ」


との話でした。

それから、一応総合カウンターの社員さん(はじめに聞いた人とは別の方)に今回の事を話すと


「あのお客様ね。一応調べたんだけど、御仏前ですねって案内したのよ。でもあれ、大まかに調べると御仏前でもお供物でも、どっちでも大丈夫みたいよ」

「えええ…」


ホントに理不尽!


「なんだかさ、人を試すみたいなお客様だったね…」


顔で判断されるのはどうしたらいいですかね、とその人たちに相談をしまして、言われたのは

「もしかしたら、私のちょっとした話し方のニュアンスで、お客様からしたら引っかかる所があったのかもしれないよ」と言われました。

オブラートに包む言い方ですが、それは素直に反省です。

こちらは不信感を煽ったつもりはなくても、お客様からすれば、煽られた気分にさせてしまったのかもしれないという事です。


「たまたまお客様の機嫌が悪かったのかもしれないね」

「しょうがないよ、運が悪かったね」


総合カウンターの店員さん達が励ましてくれました。

私が結構落ち込んでいたからだと思います。

クレームがあると、数日は引きずってじめじめしている私なのですが、これは仕事です。

アドバイスはよく聞いて考えていました。


それから、私は掛け紙と言われた時は

「お待ち下さいね!」と声掛けをしてから、自分の店にある簡易的な掛け紙の用途表を一緒に出して、お客様の前で調べるようにしました。

顔が安心されないなら、書類という確実な情報を先に見せて安心させようって作戦です。


それでも怪訝そうな顔をされるときは、


「すみません、前に掛け紙で色々とお叱りを受けましてね、難しいんですよ。宗派ごとにも違って来ますしね」


とお伝えしてました。

ポイントは、あくまで丁寧に伝える事ですよ。

言葉遣いも、この一件から少し気を付けたり、直してみたりするように心掛けました。

ホントに難しい時は総合カウンターの本で調べて説明してましたよ。


私にぶつけてスッキリしたのか、何もなかったのですが、それから少し似ている人が来店されました。本人かは分からないのですけども。

お客様が掛け紙を聞いてきたので、用途表を出して


「すみませんね。先日ですね、掛け紙の用途でお叱りを受けましてね、いや、ほんっと難しいんですよね!」


と言ったら、顔が引き攣っておられました。

御本人なのかな、と思いつつ、あれだけ言ったのにまた買いに来るわけないよな、と思い直して対応しましたけども。


その人は、何も言われずに買って行かれました。

多分別人だな、うん。

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