プロローグ:葛岡一樹の捻くれた思考

 人間は、大きく分けて2つに分類することができる。


 《勝ち組》と《負け組》だ。


 平和を謳いつつも競争を強いられる昨今の世の中。勝ち組と負け組は明確なボーダーラインを持って区別される。


 受験であれば合格点に達しているかどうか。

 大会であれば優勝かそれ以外か。

 恋愛であれば好きな人を手に入れられるかどうか。


 勝者と敗者を分けるボーダーラインは様々だ。


 そんな多種多様に存在する勝敗を分かつボーダーラインには、1つだけ共通解が存在する。




 《少数派か、そうでないか》




 そう。これが勝者と敗者を分ける、絶対的な共通解である。



 ……だってそうだろう?



 志望した学校に合格する人間も少数派。

 大会に優勝する人間も少数派。

 好きな人と付き合えるのも、少数派。


 どんな事象を取り上げたとしても、面白いくらいに勝つのはいつも少数派なのだ。




 ……そう、勝つのはいつも少数派だ。




 ならば、物理的に少数派であるぼっちは人生の勝者と言え、また華々しい青春をぼっちで過ごすことは、勝者としての素養を高める行為と言えるだろう。


 足掛け6年、友達なんてものは一切作らず、常に孤独の中で自分を磨き続け、あらゆる勝負事に勝ち続けてきたこの俺が言うのだから間違いない。



 

 ……友達いないのが可哀想? 独りぼっちが惨め?




 笑止。不埒千万ふらちせんばん。逆だ逆。


 誇れ、崇めろ、奉れ。




 ──だってぼっちは究極の少数派。勝ち組に分類される人間なのだから。

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