最終話
そうしてなんとか鉱山を発見したクズたち失楽の飛燕団は、採掘の結果や鉱山の性質を判断するのに長い時間がかかると知ると――次の旅に出た。
傭兵団一同と、案内役として親書や紹介状を預かったアウグストは船に乗り、大八洲へとたどり着いた。
「ああ、やっと着いたぜ……ケツいてぇ」
「ここが、出島って場所なのかな?」
「多分、そう。入港が許されたのは、ここだけ」
「効いていた通りの場所なのですっ! ここであってるのですよっ!……多分?」
「チチちゃんにとっては母国のはずだから、自身を持って欲しい所だけどね。……それにしても、独特な創りの家と服装だね」
「瓦とか浴衣や着物って、あっちにはなかったねっ! 大八洲では普通なんだがっ!」
「何でもいい。とにかく船旅の疲れを癒やせるところを――」
ギィンっと、クズのうなじ辺りで金属が衝突する音がする。
「――暗殺者か。見事な手際だが、狙う相手が悪かったな。今の俺に油断は――」
腰に下げていた剣を抜いたクズが、相手を吹き飛ばして距離を取る。
全身を黒い衣服、そして顔をマスクに包んだ相手――胸の膨らみから女性だろう。
殺気を向けてくる相手を睨み返すと――。
「――エロ……なのか?」
隠れていない目元と、目の色の特徴。
それは紛れもなく、クズの義妹であるエロディア・ヴィンセントと同様であった――。
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